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459 橋なら
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「しっかしこのままじゃ、切り株を乗り越えるのが面倒だし、危なっかしいよな」
タイラクはぼやいた。切り株に毒虫が潜んでいたら刺されてしまい、探索者でもない人を案内するには危険だと言う。
妙に虫に拘る様子に、ルキアスもザネクもタイラクが虫嫌いなのだと察した。ただ二人とも毒虫は避けたいので特に異論は無い。
「橋ならどうでしょう? 切り株から切り株へ」
「できるのか?」
「多分……」
と言うことで、三人はタイラクが倒した木で幹が真っ直ぐなものを選び、斧で枝を落とし、切り株間の距離を測り、枝を落とした木をその長さに切り、その木を半分に割って両端を三角に削り、刈り株の方には三角の切り込みを入れ、切り株の切り込みに三角に削った木の端を填め込んだ。
この作業に旋盤などの出番は無かった。
「これはこれで時間が掛かったな」
「『加熱』で燃やすよりはマシだったけどね」
「つっても先が長ぇな」
「確かにこの分だと何日掛かるか判らないかな……」
「まあでも考え方はこうだよな」
タイラクは造ったばかりの橋に乗って感触を確かめる。生木の橋はギシギシ言って、あまり強度を試す真似はできそうにないが、ダンジョンまでの通行手段としては最も適切だと思われた。
「こうなったらフヨヨンを呼び寄せるか?」
「え!? フヨヨンさんだったらどうにかできるんですか? いえ、それより来てくれるんですか?」
「あいつも変化が無くて退屈してた口だからな。未踏破のダンジョンが在ると知れば勇んでくるだろうさ」
「それは心強いです!」
「なあ、フヨヨンって誰だ?」
「あ、それは……」
ルキアスはフヨヨンを知らないザネクに説明した。
「メイナーダさんがもう一人みたいな感じか?」
「……」
「……強ち間違いでもないな」
ザネクの感想にルキアスもタイラクも微妙な顔をした。
この時この近くの村と、ベクロテのダンジョンの奥とでそれぞれ誰かがくしゃみをしたのを三人は知る由もない。
「……って話にしたんだが、どうだ?」
ラナファーベの町に戻ると、タイラクは事の次第をツアゾも含め、宿に居残ったメンバーに説明した。
「わたしはタイラクとルキアスちゃんにお任せするわ」
「……時間稼ぎのつもりか?」
「ったく疑り深いオヤジだな」
「ダンジョンを見付けたって言う癖にそこまで行けないなんて言う奴を信用できると思うか?」
「そんなもん、俺たちだけならどうにでもなるさ。あんたが自分の目で確かめないと信じそうにないからややこしくなるんだ」
「ああ言えばこう言うだな」
「チッ! ったく癇に障るオヤジだぜ」
「そりゃ、こっちの台詞だ」
タイラクとツアゾの相性はどうにも悪いようだ。
タイラクはぼやいた。切り株に毒虫が潜んでいたら刺されてしまい、探索者でもない人を案内するには危険だと言う。
妙に虫に拘る様子に、ルキアスもザネクもタイラクが虫嫌いなのだと察した。ただ二人とも毒虫は避けたいので特に異論は無い。
「橋ならどうでしょう? 切り株から切り株へ」
「できるのか?」
「多分……」
と言うことで、三人はタイラクが倒した木で幹が真っ直ぐなものを選び、斧で枝を落とし、切り株間の距離を測り、枝を落とした木をその長さに切り、その木を半分に割って両端を三角に削り、刈り株の方には三角の切り込みを入れ、切り株の切り込みに三角に削った木の端を填め込んだ。
この作業に旋盤などの出番は無かった。
「これはこれで時間が掛かったな」
「『加熱』で燃やすよりはマシだったけどね」
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「確かにこの分だと何日掛かるか判らないかな……」
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「え!? フヨヨンさんだったらどうにかできるんですか? いえ、それより来てくれるんですか?」
「あいつも変化が無くて退屈してた口だからな。未踏破のダンジョンが在ると知れば勇んでくるだろうさ」
「それは心強いです!」
「なあ、フヨヨンって誰だ?」
「あ、それは……」
ルキアスはフヨヨンを知らないザネクに説明した。
「メイナーダさんがもう一人みたいな感じか?」
「……」
「……強ち間違いでもないな」
ザネクの感想にルキアスもタイラクも微妙な顔をした。
この時この近くの村と、ベクロテのダンジョンの奥とでそれぞれ誰かがくしゃみをしたのを三人は知る由もない。
「……って話にしたんだが、どうだ?」
ラナファーベの町に戻ると、タイラクは事の次第をツアゾも含め、宿に居残ったメンバーに説明した。
「わたしはタイラクとルキアスちゃんにお任せするわ」
「……時間稼ぎのつもりか?」
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「ダンジョンを見付けたって言う癖にそこまで行けないなんて言う奴を信用できると思うか?」
「そんなもん、俺たちだけならどうにでもなるさ。あんたが自分の目で確かめないと信じそうにないからややこしくなるんだ」
「ああ言えばこう言うだな」
「チッ! ったく癇に障るオヤジだぜ」
「そりゃ、こっちの台詞だ」
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