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455 岩山
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火柱が消えても暫くは近寄れない。上を飛ぶにも熱気が渦巻いていて高度を上げなければ難しそうだ。
だが森が完全に焼き払われたことで見晴らしが利く。
「おい、あそこに突き出してるのがそうじゃねぇか?」
タイラクが指差す方に皆が目を向ける。
ベクロテのダンジョンの入口の岩山を背側から見たような光景がそこには在った。
「こっちからじゃはっきりしないから回り込んでくれ」
「はい」
ルキアスは火柱が立っていた範囲を避けて『傘』を回り込ませる。
「こりゃ決まりだな」
「そうね。あれはダンジョンだわ」
回り込んでみれば岩山にぽっかり洞窟が口を開けている。向きは北東。大陸の中央を向いている。そしてその洞窟の奥が仄かに明るい。昼日中の今は周りが明るくてはっきりとは行かないが、洞窟内が輪郭程度であれ浮き上がって見える。これが単なる洞窟であれば中は真っ暗で何も見えない筈だ。
「ルキアスに付いて来て正解だったぜ」
「あらあら、タイラクったらにやけちゃって」
「楽しい探索が待ってるんだ。これが喜ばずに居られるかって。正直な話、ベクロテのダンジョンはまるで変化が無くて退屈になってたからな」
「そうね……、以前わたしが居た頃と全く変わりが無かったわね」
「だろ? んじゃ早速……って訳にも行かねぇか」
「タイラクに理性が残ってて助かるわ。今日は先に宿を決めましょう。その後は拠点探しね。探索をするのはその後」
「おいおい、暫くお預けかよ?」
「それはそうよ。もしかすると六人がずっと暮らすことになるんだから」
『ダンジョンダウジング』の反応がここである以上、少なくともルキアスは滞在する。そしてダンジョンとは関係無くルキアスに付いて来たメイナーダとユアもだ。
「……確かにな」
「タイラクが理解してくれたところで西に見えた町に行きましょう。あそこが一番近そうだったから」
「了解です」
ルキアスは『傘』を飛ばし、町から少し離れた場所に下りる。直接乗り込んでは驚かせて騒ぎになりかねないからだ。
そこから歩いて町へと向かうのだが、何やら町が騒がしい。少し足を速め町まで行くと、人々が右往左往慌てている。
「おい、何か起きたのか?」
タイラクが通り掛かった男を掴まえた。彼はタイラクの風采にギョッとするが、どうやらそれに勝る恐怖があるらしい。
「あんたら見なかったのか? 東に火柱が立ったんだぞ? ありゃきっと天変地異の前触れだ。あっ、と、こうしちゃ居られない。早く逃げる準備をしなきゃ」
彼はタイラクの手を振り払うように走り去った。
「東の火柱……」
「ほら! 大丈夫じゃなかったじゃない!」
シャルウィがキャンキャン吠えるが皆苦笑いするだけである。今更火柱が起きなかったことにはできない。
「まあ、先に宿をさがしましょうよ」
このルキアスの提案に反論は無かった。
だが森が完全に焼き払われたことで見晴らしが利く。
「おい、あそこに突き出してるのがそうじゃねぇか?」
タイラクが指差す方に皆が目を向ける。
ベクロテのダンジョンの入口の岩山を背側から見たような光景がそこには在った。
「こっちからじゃはっきりしないから回り込んでくれ」
「はい」
ルキアスは火柱が立っていた範囲を避けて『傘』を回り込ませる。
「こりゃ決まりだな」
「そうね。あれはダンジョンだわ」
回り込んでみれば岩山にぽっかり洞窟が口を開けている。向きは北東。大陸の中央を向いている。そしてその洞窟の奥が仄かに明るい。昼日中の今は周りが明るくてはっきりとは行かないが、洞窟内が輪郭程度であれ浮き上がって見える。これが単なる洞窟であれば中は真っ暗で何も見えない筈だ。
「ルキアスに付いて来て正解だったぜ」
「あらあら、タイラクったらにやけちゃって」
「楽しい探索が待ってるんだ。これが喜ばずに居られるかって。正直な話、ベクロテのダンジョンはまるで変化が無くて退屈になってたからな」
「そうね……、以前わたしが居た頃と全く変わりが無かったわね」
「だろ? んじゃ早速……って訳にも行かねぇか」
「タイラクに理性が残ってて助かるわ。今日は先に宿を決めましょう。その後は拠点探しね。探索をするのはその後」
「おいおい、暫くお預けかよ?」
「それはそうよ。もしかすると六人がずっと暮らすことになるんだから」
『ダンジョンダウジング』の反応がここである以上、少なくともルキアスは滞在する。そしてダンジョンとは関係無くルキアスに付いて来たメイナーダとユアもだ。
「……確かにな」
「タイラクが理解してくれたところで西に見えた町に行きましょう。あそこが一番近そうだったから」
「了解です」
ルキアスは『傘』を飛ばし、町から少し離れた場所に下りる。直接乗り込んでは驚かせて騒ぎになりかねないからだ。
そこから歩いて町へと向かうのだが、何やら町が騒がしい。少し足を速め町まで行くと、人々が右往左往慌てている。
「おい、何か起きたのか?」
タイラクが通り掛かった男を掴まえた。彼はタイラクの風采にギョッとするが、どうやらそれに勝る恐怖があるらしい。
「あんたら見なかったのか? 東に火柱が立ったんだぞ? ありゃきっと天変地異の前触れだ。あっ、と、こうしちゃ居られない。早く逃げる準備をしなきゃ」
彼はタイラクの手を振り払うように走り去った。
「東の火柱……」
「ほら! 大丈夫じゃなかったじゃない!」
シャルウィがキャンキャン吠えるが皆苦笑いするだけである。今更火柱が起きなかったことにはできない。
「まあ、先に宿をさがしましょうよ」
このルキアスの提案に反論は無かった。
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