生活魔法は万能です

浜柔

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451 乗り方

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 ルキアス一行は一度休憩を挟んで飛び続け、眼下に見える木々の影が長くなったところで近場の町に泊まることにした。バスで走っても丸々一日掛かるところを午後の時間だけで着いたのだからかなりの速度だ。
 町から少し離れた場所に降り、歩いて町に入る。その歩く途中、タイラクは頻りに腕をぐりぐり回していたりする。

「ザネク、調子はどう?」
「絶好調だぜ……と言いたいところだが、かなり疲れたな」

 体力や魔力はそれ程でなくても、ずっと気を抜けないために気疲れが酷いらしい。

「それで思ったんだが、休憩を多めに入れてルキアスの『傘』に俺とシャルウィも乗せてくれないか? 少し窮屈でも短時間で区切れば堪えられると思うんだ」
「うーん……、全員で乗れるか試して見ないとかなぁ……」

 『傘』は鉢形になるので、床面は中心が最も低く水平に近いので安定し、端になる程反り上がって座り心地が悪くなる。乗り込むだけなら可能でもその状態で堪えられるかは別問題だ。

「それならタイラクが地上を走ればいいんじゃないかしら?」
「おいおい、そりゃねぇぜ」
「だけど、身体が鈍ってしょうがないんじゃないの?」

 メイナーダはタイラクが腕をぐりぐり回していたのを言った。

「それはそれ。これはこれだ。休憩を多く挟むならその時間で身体を動かせるんだから、問題ないさ」
「汗臭いのは嫌よ?」
「な……」

 事実上の運動禁止であった。このためタイラクは宿を決めた後にまた町から出て夜遅くまで走り回った。
 翌朝。ルキアスが大きく『傘』を差し、六人で乗り込んでみる。

「外から見たら広く見えるのに乗ると窮屈だな……」
「床が平らにできないから」

 広さだけなら全員で横に並んで寝られる程もある。これで床が平らならゆっくり座れるだろう。しかし曲面になっているので端の方には座れない。有効な面積は半分に満たないだろう。

「椅子を置ければ少し違うでしょうけどね」

 椅子を置くのも床が平らでなければ難しい。この解消に床板を置こうにも、床板が欲しくなるのは『収納』に入れられない程の広さを要する時だ。『収納』に入れられるように狭い板を敷き詰めたのでは床の傾きが消えない。一枚物でなければならないのだ。
 だから椅子などの事は忘れ、座り方をあれこれ検討する。その結果、ルキアス以外は『傘』の真ん中に足を向け、『傘』に寄り掛かる形で落ち着いた。
 ルキアスは前を見なければならないので内側を向くような座り方をできないので真ん中付近に前を見て座る。だがこうして漫然と真ん中付近に座ったのでは皆の足がお尻に当たりがちだった。
 途中、通り掛かった町に休憩も兼ねて寄り、広い丸椅子を一つ調達した。その椅子を『傘』の真ん中に置いてルキアスが座り、そこまで足の届かないユアを除く四人が椅子の下に足を伸ばすことで落ち着いた。
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