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441 翌朝早く
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翌朝早くにルキアスは出発の準備を整えた。旋盤、ボール盤、フライス盤が物としては小型ではあるものの、それなりに嵩張って『収納』を圧迫し、ザネク達へのお土産に持って帰ろうとしたリザード先生肉やリザード大将肉の量が限られた。旋盤等を置いては帰る訳にも行かないので致し方なしだ。
同行するのはメイナーダとユア。見送るのはロマだ。他は見張りを除いて酔い潰れてしまっていてこんな朝早くには起きて来れないらしい。
「メイ、兄弟を頼むぜ」
「任されるわ。じゃあ、ルキアスちゃん、早速行きましょうか」
「はい」
「それで『傘』を出して貰えるかしら? ルキアスちゃんはもうこのダンジョンに戻って来ないかも知れないのだから、『傘』に乗って少し観光しながら上がりましょう」
「俺が命懸けで通り抜ける所もメイに掛かっちゃ観光気分か……」
「あら、わたしだって空を飛ぶのでもなければ観光なんてできないわよ? だから今回はいい機会よね」
「そんなもんかねぇ」
それでもとても観光気分にはなれないと、ロマは頭を振った。
程なくして出発だ。
「それじゃロマさん、皆さんによろしく伝えてください」
「おう」
三人が横たわっても余裕のある広さでほぼ全周を覆う形の『傘』に乗り、メイナーダの案内でダンジョンを進む。索敵もメイナーダが行って可能な限り魔物を避ける。観光の対象は魔物ではないのだ。
特に代わり映えのない人口的な洞窟のダンジョンを二つ上がったところでユアがルキアスの服を摘んで引っ張った。
「ユア?」
「ユアも一緒に行く」
「え?」
ルキアスはユアがどこに行きたがっているか咄嗟には判らず、メイナーダに目でお伺いを立てた。
「ルキアスちゃんは他のダンジョンに行くのよね? それも誰も知らないようなダンジョンに」
「それはその……」
「事情が話せないなら話してくれなくてもいいのだけど、わたし達が一緒に行くことに変わりはないわ」
「メイナーダさんはユアを学校に通わせるために稼がなきゃいけないんじゃ?」
「贅沢をしなければユアが大人になるまで十分に暮らせるだけのお金は貯まってるから大丈夫よ」
「だからってユアが通う学校のことだって……」
「ほんとを言うとね。この町に居辛くなってるの。だからここに居続けるのもちょっとね……」
「もしかしてぼくが余計な事を頼んだから……?」
魔物の大発生が起きた時に多の探索者を助けるように頼んだのを気にしているルキアスだ。
「それは違うわ。居づらく感じ始めたのはその前からだもの。別の町に行くことも考えていたけれど、ルキアスちゃんと会えなくなってまで行くほどではなかったのよ。でもそのルキアスちゃんがこの町を出て行くのだから、付いて行くしかないじゃない?」
「う、うん……」
ルキアスは背筋に寒気を一瞬感じたが、メイナーダの口の端が可笑しそうに歪んでいるのに気付いて、肩を落とした。
同行するのはメイナーダとユア。見送るのはロマだ。他は見張りを除いて酔い潰れてしまっていてこんな朝早くには起きて来れないらしい。
「メイ、兄弟を頼むぜ」
「任されるわ。じゃあ、ルキアスちゃん、早速行きましょうか」
「はい」
「それで『傘』を出して貰えるかしら? ルキアスちゃんはもうこのダンジョンに戻って来ないかも知れないのだから、『傘』に乗って少し観光しながら上がりましょう」
「俺が命懸けで通り抜ける所もメイに掛かっちゃ観光気分か……」
「あら、わたしだって空を飛ぶのでもなければ観光なんてできないわよ? だから今回はいい機会よね」
「そんなもんかねぇ」
それでもとても観光気分にはなれないと、ロマは頭を振った。
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「ユア?」
「ユアも一緒に行く」
「え?」
ルキアスはユアがどこに行きたがっているか咄嗟には判らず、メイナーダに目でお伺いを立てた。
「ルキアスちゃんは他のダンジョンに行くのよね? それも誰も知らないようなダンジョンに」
「それはその……」
「事情が話せないなら話してくれなくてもいいのだけど、わたし達が一緒に行くことに変わりはないわ」
「メイナーダさんはユアを学校に通わせるために稼がなきゃいけないんじゃ?」
「贅沢をしなければユアが大人になるまで十分に暮らせるだけのお金は貯まってるから大丈夫よ」
「だからってユアが通う学校のことだって……」
「ほんとを言うとね。この町に居辛くなってるの。だからここに居続けるのもちょっとね……」
「もしかしてぼくが余計な事を頼んだから……?」
魔物の大発生が起きた時に多の探索者を助けるように頼んだのを気にしているルキアスだ。
「それは違うわ。居づらく感じ始めたのはその前からだもの。別の町に行くことも考えていたけれど、ルキアスちゃんと会えなくなってまで行くほどではなかったのよ。でもそのルキアスちゃんがこの町を出て行くのだから、付いて行くしかないじゃない?」
「う、うん……」
ルキアスは背筋に寒気を一瞬感じたが、メイナーダの口の端が可笑しそうに歪んでいるのに気付いて、肩を落とした。
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