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424 浮かない顔
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更に一週間が経ち、ルキアスはそこはかとない危機感を抱き始めた。今は一日中肉を、皮を、アダマントを『捏ね』る毎日だ。このままでは探索の勘が鈍ってしまう。
だからと言ってこの階層では探索できない。魔物を狩ってこそ勘も戻ろうと言うものなのにその魔物に遭遇してしまえば数秒で永遠の眠りをプレゼントされるだろう。
そんな願い下げなプレゼントをされることなく探索できる第一一階層に早く戻りたくなっていた。
「兄弟、浮かない顔だな?」
「ロマさん……」
ロマは相変わらず悩みのある時にどこからともなく現れる。
ただルキアスはここ二、三日、ロマの姿を見なかった気もした。突き詰める必要のない事だからわざわざ問うものでもないが、頭の片隅に引っ掛かった。
とは言え、現状について相談したい方が先だ。かくかくしかじかと説明する。
「そうだなぁ……。探索の勘は長めの休暇くらいに考えて諦めて貰うしかないな」
「ですよね」
「探索に戻る時のための体力作りくらいはできそうだがな」
「……そのくらいだよね」
動きながら、あるいはどこかに力を入れたままでは『捏ね』るのが難しいので、作業時間の前か後となるが、今でもやってないこともない。
ロマにもルキアスの消極さが見て取れたらしく、腕を組んで考える。
「他に探索に備えるって意味では……、そう言や兄弟は銃を作ってなかったか? あれを強化したいんじゃなかったか?」
「うん。でもあれって火薬を使った弾丸より威力を上げられなくて……」
「おや? 銃を自作するだなんて興味深い話だね? どんなのを作ったんだい?」
たまたま通り掛かったのかフヨヨンが話に入って来た。
話して減るものでもないので、ルキアスは蒸気銃作成の経緯を話した。
「それは蒸気の使い方が間違ってるんだよ」
「どう使えばいいと……?」
「弾を飛ばすのは蒸気じゃなく空気を使うのさ。そして蒸気はその空気をタンクにチャージするために使うのさ」
フヨヨンは概要を説明した。空気をタンクに圧縮注入することで高圧が実現できる。この時タンクに人力で数百気圧もの圧力で注入するのは非現実的だから蒸気でポンプを動かして注入する。
ただ、空気も蒸気同様に圧力を上げて行けばどこかで頭打ちになる。それが蒸気より高い圧力と言うだけである。
「蒸気より限界が高い他にもメリットはあるよ。銃が熱くならないし、即応も可能さ。チャージした空気を小出しにすることである程度の連発もできるね。その分チャージの手間は掛かるけど、そのくらいは我慢するしかないね」
「……」
ルキアスは酷く遠回りをしていたことが判ってがっくりとなった。
だからと言ってこの階層では探索できない。魔物を狩ってこそ勘も戻ろうと言うものなのにその魔物に遭遇してしまえば数秒で永遠の眠りをプレゼントされるだろう。
そんな願い下げなプレゼントをされることなく探索できる第一一階層に早く戻りたくなっていた。
「兄弟、浮かない顔だな?」
「ロマさん……」
ロマは相変わらず悩みのある時にどこからともなく現れる。
ただルキアスはここ二、三日、ロマの姿を見なかった気もした。突き詰める必要のない事だからわざわざ問うものでもないが、頭の片隅に引っ掛かった。
とは言え、現状について相談したい方が先だ。かくかくしかじかと説明する。
「そうだなぁ……。探索の勘は長めの休暇くらいに考えて諦めて貰うしかないな」
「ですよね」
「探索に戻る時のための体力作りくらいはできそうだがな」
「……そのくらいだよね」
動きながら、あるいはどこかに力を入れたままでは『捏ね』るのが難しいので、作業時間の前か後となるが、今でもやってないこともない。
ロマにもルキアスの消極さが見て取れたらしく、腕を組んで考える。
「他に探索に備えるって意味では……、そう言や兄弟は銃を作ってなかったか? あれを強化したいんじゃなかったか?」
「うん。でもあれって火薬を使った弾丸より威力を上げられなくて……」
「おや? 銃を自作するだなんて興味深い話だね? どんなのを作ったんだい?」
たまたま通り掛かったのかフヨヨンが話に入って来た。
話して減るものでもないので、ルキアスは蒸気銃作成の経緯を話した。
「それは蒸気の使い方が間違ってるんだよ」
「どう使えばいいと……?」
「弾を飛ばすのは蒸気じゃなく空気を使うのさ。そして蒸気はその空気をタンクにチャージするために使うのさ」
フヨヨンは概要を説明した。空気をタンクに圧縮注入することで高圧が実現できる。この時タンクに人力で数百気圧もの圧力で注入するのは非現実的だから蒸気でポンプを動かして注入する。
ただ、空気も蒸気同様に圧力を上げて行けばどこかで頭打ちになる。それが蒸気より高い圧力と言うだけである。
「蒸気より限界が高い他にもメリットはあるよ。銃が熱くならないし、即応も可能さ。チャージした空気を小出しにすることである程度の連発もできるね。その分チャージの手間は掛かるけど、そのくらいは我慢するしかないね」
「……」
ルキアスは酷く遠回りをしていたことが判ってがっくりとなった。
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