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418 肉をとにかく
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タイラクは結論を出したらしい。
「ルキアス、暫くここで肉を『捏ね』てくれ。それなりに報酬を払うぜ」
ルキアスにとって好ましいとは言えないことを言い出した。
「そうだね。そうして貰わないといけないね。その内に『捏ね』る人材も発掘しないとだね」
フヨヨンも食を優先させたくなったと見えてタイラクに全面的に同意するが、ロマはその言葉に引っ掛かりを覚えたらしい。
「フヨヨンが自分で『捏ね』られるようになれば好きなように『捏ね』られるんだから、その方が都合良くないか?」
「そう言う考えもあるね。いいだろう。ボクも少しやってみるとするよ」
ロマが目配せするのでルキアスにも意図が判った。代わりの人材を見付けるのはほぼ不可能だ。育てるにも時間が掛かる。同じ育てるならフヨヨン自身が行うのが最も早いだろう。さもなければ「見付かるまで」との言い方でルキアスがいつまでもフヨヨンに拘束されかねない。それはルキアスにとって避けたい未来だ。
「まあ、今はとにかく肉を頼むぜ。今回は外でな」
脱線しそうになる話をタイラクが思い切り引っ張って元に戻した。外でするのはルキアスを皆に周知する意味もあるようだ。
このタイラクの提案にはルキアスも乗る以外に無い。今後のこともあるが、ルキアス自身、もっと肉を食べたいのだ。
そして皆でルキアスの寝かされていた部屋を出た。
ルキアスはこの時初めてここがダンジョンの大きな部屋の一角なのを目の当たりにした。殆どの建物が二階建ての集合住宅だ。スペースの都合で平屋にできないらしい。
皆にルキアスを紹介していては日が暮れるから後回しにするとのことで、ルキアスは早速肉を『捏ね』る。
何故かフヨヨンにじっと手許を見られて居心地が悪い。
「何か見えますか?」
「肉が見えるね」
「……魔力でも見えるのかと思いました」
「魔力なんて見えたら苦労しないよ。いやむしろ苦労しかしないね」
「え? 魔力が見えたら便利じゃありませんか?」
「考えてもごらんよ。こんな階層で魔力が見えようものなら魔力に塗り潰されて何も見えなくなってしまうよ。身動きできないよ」
「……なるほど」
「そりゃそうと、忘れてたんだが兄弟は体調に問題ないか?」
ロマはルキアスが息苦しいと言ったのを思い出したようだ。
「あ、そう言われれば『捏ね』始めたらむしろ息苦しさが減ったような……」
「ほほう、それはまた興味深い話をしているね。魔力に当てられるような状況なら魔力を使った方が改善が見られるのだね」
「今までそんな話は無かったんですか?」
「考えてもみたまえ。こんな階層に自力で達する探索者が魔力に当てられると思うかい?」
「思いません」
普通に階層を突破して来たなら魔力に当てられるような状況では階層突破できずに撤退しての再挑戦だろう。魔力を使うもう使わないもない。
「だろう? 魔力に当てられるのは低レベルのヤツだけさ」
フヨヨンは我が意を得たりと頷くが、ルキアスは思うのだ。
(そんな階層にぼくみたいな低レベルを連れて来ないでよ……)
「ルキアス、暫くここで肉を『捏ね』てくれ。それなりに報酬を払うぜ」
ルキアスにとって好ましいとは言えないことを言い出した。
「そうだね。そうして貰わないといけないね。その内に『捏ね』る人材も発掘しないとだね」
フヨヨンも食を優先させたくなったと見えてタイラクに全面的に同意するが、ロマはその言葉に引っ掛かりを覚えたらしい。
「フヨヨンが自分で『捏ね』られるようになれば好きなように『捏ね』られるんだから、その方が都合良くないか?」
「そう言う考えもあるね。いいだろう。ボクも少しやってみるとするよ」
ロマが目配せするのでルキアスにも意図が判った。代わりの人材を見付けるのはほぼ不可能だ。育てるにも時間が掛かる。同じ育てるならフヨヨン自身が行うのが最も早いだろう。さもなければ「見付かるまで」との言い方でルキアスがいつまでもフヨヨンに拘束されかねない。それはルキアスにとって避けたい未来だ。
「まあ、今はとにかく肉を頼むぜ。今回は外でな」
脱線しそうになる話をタイラクが思い切り引っ張って元に戻した。外でするのはルキアスを皆に周知する意味もあるようだ。
このタイラクの提案にはルキアスも乗る以外に無い。今後のこともあるが、ルキアス自身、もっと肉を食べたいのだ。
そして皆でルキアスの寝かされていた部屋を出た。
ルキアスはこの時初めてここがダンジョンの大きな部屋の一角なのを目の当たりにした。殆どの建物が二階建ての集合住宅だ。スペースの都合で平屋にできないらしい。
皆にルキアスを紹介していては日が暮れるから後回しにするとのことで、ルキアスは早速肉を『捏ね』る。
何故かフヨヨンにじっと手許を見られて居心地が悪い。
「何か見えますか?」
「肉が見えるね」
「……魔力でも見えるのかと思いました」
「魔力なんて見えたら苦労しないよ。いやむしろ苦労しかしないね」
「え? 魔力が見えたら便利じゃありませんか?」
「考えてもごらんよ。こんな階層で魔力が見えようものなら魔力に塗り潰されて何も見えなくなってしまうよ。身動きできないよ」
「……なるほど」
「そりゃそうと、忘れてたんだが兄弟は体調に問題ないか?」
ロマはルキアスが息苦しいと言ったのを思い出したようだ。
「あ、そう言われれば『捏ね』始めたらむしろ息苦しさが減ったような……」
「ほほう、それはまた興味深い話をしているね。魔力に当てられるような状況なら魔力を使った方が改善が見られるのだね」
「今までそんな話は無かったんですか?」
「考えてもみたまえ。こんな階層に自力で達する探索者が魔力に当てられると思うかい?」
「思いません」
普通に階層を突破して来たなら魔力に当てられるような状況では階層突破できずに撤退しての再挑戦だろう。魔力を使うもう使わないもない。
「だろう? 魔力に当てられるのは低レベルのヤツだけさ」
フヨヨンは我が意を得たりと頷くが、ルキアスは思うのだ。
(そんな階層にぼくみたいな低レベルを連れて来ないでよ……)
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