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404 受け止めた
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ガッキョオオォォンン……。
耳をつんざくような甲高い激突音を起て、光の壁は魔物の突進を受け止めた。
エリリースが瞑ってしまっていた目を恐る恐る開く。
「今のは一体……?」
「ザネクの天職『大盾』が魔物を弾き返したの……よ。ザネクは使いたがらないのだけど……ね」
「確かに使ってるところを見たこと無いけど、どうして? こんなに凄いのに……」
疑問を投げ掛けたのはルキアスだ。ルキアスの目には探索に有用そうな天職を持ち腐れさせるのは酷く勿体なく見える。ましてや『傘』を盾として使う必要が感じられなかった。
だが有用でも本人がしたい事との齟齬はあるものだ。
「……動けないんだよ。『大盾』を使うと酷くゆっくりにしか動けなくなる。俺、剣士だぜ? 動けないなんて致命的だろ」
「でもこんなに強い盾なら今みたいな使い方はできるよね?」
「そりゃここが行き止まりだからだ。これが広い場所だったら後に回り込まれて一巻の終わりだ」
これが『要塞』なら動けずとも全周防御なので隙は出来ない。だが『大盾』は一方向のみの防御で、敵の回り込みに対応するには足を止められない。だが『大盾』を出したのではそれに追従できるだけの速さが出せない。それが隙になってしまうのだ。その上、『大盾』を引き摺っていては剣を思うように振れず、攻撃もままならない。こうして防御も攻撃も中途半端では戦うに戦えない。
そこでザネクは『大盾』を捨てる決心をした。これなら攻撃が劣化しない。剣士として防御よりも攻撃を優先させたのだ。
話を聞き終えたルキアスはもう反論を持ち合わせていなかった。それでも勿体ないと思いつつ見ていると、ザネクが小さく呻いた。
「くっ……」
話をする間にも魔物は幾度となく『大盾』に体当たりを敢行していた。
「姉ちゃん、破られる。早くなんとかしてくれ」
天職であっても術者が二〇レベル間近程度では六〇レベルの魔物を抑え続けるのは難しいらしい。『大盾』を出し直すのもタイミングがシビアで、失敗の可能性を考えればおいそれとは行えない。
リュミアは言葉でなく、杖で床を二度突いて応えた。ザネクの状況は理解していたらしく、大きな魔法の準備中のようだ。下手に返事をして集中力を途切れさせないよう、動作で示したのだ。エリリースの安全を考えれば魔法を何度も放つ猶予など無い。
魔物の体当たりが繰り返される度に『大盾』の立てる軋み音が増してゆく。
限界はそう時を置かずに訪れた。
『大盾』が砕け散る。
しかしその瞬間に合わせるようにリュミアが魔法を放つ。
「『水魔刃』」
無数の水で出来た刃が魔物へ殺到する。
魔物はその勢いに弾き飛ばされながら切り刻まれた。
耳をつんざくような甲高い激突音を起て、光の壁は魔物の突進を受け止めた。
エリリースが瞑ってしまっていた目を恐る恐る開く。
「今のは一体……?」
「ザネクの天職『大盾』が魔物を弾き返したの……よ。ザネクは使いたがらないのだけど……ね」
「確かに使ってるところを見たこと無いけど、どうして? こんなに凄いのに……」
疑問を投げ掛けたのはルキアスだ。ルキアスの目には探索に有用そうな天職を持ち腐れさせるのは酷く勿体なく見える。ましてや『傘』を盾として使う必要が感じられなかった。
だが有用でも本人がしたい事との齟齬はあるものだ。
「……動けないんだよ。『大盾』を使うと酷くゆっくりにしか動けなくなる。俺、剣士だぜ? 動けないなんて致命的だろ」
「でもこんなに強い盾なら今みたいな使い方はできるよね?」
「そりゃここが行き止まりだからだ。これが広い場所だったら後に回り込まれて一巻の終わりだ」
これが『要塞』なら動けずとも全周防御なので隙は出来ない。だが『大盾』は一方向のみの防御で、敵の回り込みに対応するには足を止められない。だが『大盾』を出したのではそれに追従できるだけの速さが出せない。それが隙になってしまうのだ。その上、『大盾』を引き摺っていては剣を思うように振れず、攻撃もままならない。こうして防御も攻撃も中途半端では戦うに戦えない。
そこでザネクは『大盾』を捨てる決心をした。これなら攻撃が劣化しない。剣士として防御よりも攻撃を優先させたのだ。
話を聞き終えたルキアスはもう反論を持ち合わせていなかった。それでも勿体ないと思いつつ見ていると、ザネクが小さく呻いた。
「くっ……」
話をする間にも魔物は幾度となく『大盾』に体当たりを敢行していた。
「姉ちゃん、破られる。早くなんとかしてくれ」
天職であっても術者が二〇レベル間近程度では六〇レベルの魔物を抑え続けるのは難しいらしい。『大盾』を出し直すのもタイミングがシビアで、失敗の可能性を考えればおいそれとは行えない。
リュミアは言葉でなく、杖で床を二度突いて応えた。ザネクの状況は理解していたらしく、大きな魔法の準備中のようだ。下手に返事をして集中力を途切れさせないよう、動作で示したのだ。エリリースの安全を考えれば魔法を何度も放つ猶予など無い。
魔物の体当たりが繰り返される度に『大盾』の立てる軋み音が増してゆく。
限界はそう時を置かずに訪れた。
『大盾』が砕け散る。
しかしその瞬間に合わせるようにリュミアが魔法を放つ。
「『水魔刃』」
無数の水で出来た刃が魔物へ殺到する。
魔物はその勢いに弾き飛ばされながら切り刻まれた。
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