生活魔法は万能です

浜柔

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387 会場準備

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 講習会当日。会場は訓練場の一つを貸し切っている。

「広すぎない?」

 ルキアスは率直に疑問を上げる。だがデナンは言う。

「これでも狭いくらいだ」
「ええ……」

 五人で会場の配置を整理している間に気の早い人がぽつぽつとやって来る。その中に紛れてザネクも来た。

「ルキアス、手伝いに来たぜ」
「ザネク! 今日はよろしく!」

 ザネクとデナン達をそれぞれに紹介した後、ザネクも加わって打ち合わせを続ける。
 するとまた声を掛けて来る人がやって来た。

「ルキアスくん、おはよう……ね」
「あ、リュミアさん、おはようございます……、え? エリリース!?」

 エリリースがリュミアに同行していた。

「わたくしも見学させていただきますわ」
「う、うん……?」

 ルキアスは内心で小首を傾げた。エリリースは『傘』の鍛え方をもう知っているのだから、改めて聞く必要は無い。
 しかしそれは久しぶりに会ったエリリースを前にしては些細な事だ。

「……大歓迎だよ! ゆっくりして行って!」
「そうさせていただきますわ」
「わたしはお手伝い……ね。天職と疑われないためには具体例が多い方がいいもの……ね」

 リュミアは一緒に実演してくれるらしい。

「なるほど! おねがいします」

 更に準備も進み、受講者も集まり始める。

「やあ、噂を聞いて寄らせて貰ったよ」
「今日はよろしく頼む」

 実業家のキルシルセッカに消防隊中隊長のハーベイだ。
 メイナーダもユアを連れてやって来た。

「ルキアスちゃん、来たわよ。ゆっくり見せて貰うわね」

 それからも続々と受講者が増え、ざわめきが大きくなる。人が会場には入りきれるか怪しくなってくる。

「こんなに……」

 ルキアスは若干動揺する。だがデナンはしたり顔だ。

「だから言ったろ。『狭いくらい』だとな」
「驚いたよ……」

 だが驚きはそれに留まらない。開始間際になって後の方から喧騒が巻き起こった。
 その喧騒が割れ、その合間を筋骨隆々として異様なまでの存在感を放つた偉丈夫がやって来る。

「タ、タイラク・ベンハルザ!?」
「って誰?」

 デナンが声を裏返しつつ呼んだ名前にルキアスは心当たりが無い。

「お……、ば……、し……、深層組だ!」

 デナンの言葉は最後だけはっきり聞こえた。
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