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365 習熟訓練
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(ザネクの天職、聞きそびれちゃったな……)
ルキアスは第四階層を飛びながら、ふと思い出した。鑑定師の件で話す最中になら尋ねる機会くらいはあった筈だ。ザネクの天職が何か判らなければどう悩んでいるのかも判らない。
だが直ぐに思い直した。
(いや、知らなくていいのか)
知れば助言をしたくなったりもするだろう。しかしそれは余計なお世話になる。ザネクはきっと他人にあれこれ言われたくない筈だ。知らなければ不愉快な思いをされるだろう話をすることもない。
ただ少し考えないでもない。
(ザネクに天職が増えるようなら、ぼくも挑戦してみるかなぁ)
ルキアスも万が一にでも手に入れられるなら欲しいと思うのが天職であった。
それはそれとして、ルキアスが第四階層を飛んでいるのは加減速の習熟のためだ。この階層なら他の探索者が多くなく、魔物に空から襲われる心配も無い。それに飛ぶ練習なのだから、身体が鈍るのを心配して宙から魔物を撃つのを躊躇う必要も無い。楽して稼げるなら楽な方が良いのだ。
ただ飛ぶ時の感覚は今までと明らかに勝手が違う。必要となる魔力も多い。
(スピードを上げたら魔力がきつくなるんだよなぁ)
あまり速度を上げると息切れしてしまう。魔力が急激に減った時に出る筋肉疲労に似た倦怠感だ。
従来の『傘』の差し方なら風圧を強く感じるまでに速度を上げなければ魔力の負担が小さかった。だが改良後の差し方だと風圧を然程感じなくても魔力の負担が重くなる。
これは加速度、動かそうとする強さに応じた魔力消費だから避けられない事象だ。これが判るからルキアスもぼやく以外に何もできない。
(遠くに行く時は前のやり方がいいかな)
ルキアスはその時々に応じて使い分けようと考えた。
飛んでいる最中に基点を地面から自身へ、あるいはその逆へと変更できるのが一番だが、今後の課題だ。この第四階層で試して万が一にも『傘』を維持できなくなった時に沼へと落ちかねない。ここで無為なリスクを冒す意味は無いのだ。
そうして日がな一日、ルキアスは『傘』の習熟と生活費稼ぎに勤しんだ。
ルキアスは第四階層を飛びながら、ふと思い出した。鑑定師の件で話す最中になら尋ねる機会くらいはあった筈だ。ザネクの天職が何か判らなければどう悩んでいるのかも判らない。
だが直ぐに思い直した。
(いや、知らなくていいのか)
知れば助言をしたくなったりもするだろう。しかしそれは余計なお世話になる。ザネクはきっと他人にあれこれ言われたくない筈だ。知らなければ不愉快な思いをされるだろう話をすることもない。
ただ少し考えないでもない。
(ザネクに天職が増えるようなら、ぼくも挑戦してみるかなぁ)
ルキアスも万が一にでも手に入れられるなら欲しいと思うのが天職であった。
それはそれとして、ルキアスが第四階層を飛んでいるのは加減速の習熟のためだ。この階層なら他の探索者が多くなく、魔物に空から襲われる心配も無い。それに飛ぶ練習なのだから、身体が鈍るのを心配して宙から魔物を撃つのを躊躇う必要も無い。楽して稼げるなら楽な方が良いのだ。
ただ飛ぶ時の感覚は今までと明らかに勝手が違う。必要となる魔力も多い。
(スピードを上げたら魔力がきつくなるんだよなぁ)
あまり速度を上げると息切れしてしまう。魔力が急激に減った時に出る筋肉疲労に似た倦怠感だ。
従来の『傘』の差し方なら風圧を強く感じるまでに速度を上げなければ魔力の負担が小さかった。だが改良後の差し方だと風圧を然程感じなくても魔力の負担が重くなる。
これは加速度、動かそうとする強さに応じた魔力消費だから避けられない事象だ。これが判るからルキアスもぼやく以外に何もできない。
(遠くに行く時は前のやり方がいいかな)
ルキアスはその時々に応じて使い分けようと考えた。
飛んでいる最中に基点を地面から自身へ、あるいはその逆へと変更できるのが一番だが、今後の課題だ。この第四階層で試して万が一にも『傘』を維持できなくなった時に沼へと落ちかねない。ここで無為なリスクを冒す意味は無いのだ。
そうして日がな一日、ルキアスは『傘』の習熟と生活費稼ぎに勤しんだ。
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