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357 チープ
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「ルキアスくん、お食事に付き合って欲しいのだけど、いいかし……ら?」
「リュミアさん? お久しぶりです」
「ええ。お久しぶり……ね。それで、お食事一緒にしてくれるかし……ら?」
「はい」
ザネクと話した翌日の夕方、ルキアスはリュミアに呼び止められて夕食に誘われた。特に用事がある訳でもないルキアスに断る理由は無い。無論、料理が高額な店だったら入る前に撤退したことだろう。
ただ、店の席に座った後で少し気になった。
「ガノスさんやザネクと一緒じゃなくていいんですか?」
「たまには……ね。二人もどこかに食べに出掛けてるはず……ね」
「だったらいいんですけど……」
「それより今日はわたしの奢り……ね。好きなのを頼んで……ね」
「それじゃ、かつ丼とシーサーペントの串焼きで」
ルキアスは控え目にし過ぎない方が良いことを学んでいた。相手次第ではあるものの、ルキアスのような貧乏性ではない探索者から奢られる時には大外しはしない筈だ。
その予想はどうやら当たっていたようで、リュミアは当たり前のように料理の注文をした。
ルキアスが入った食堂の向かいのカフェにはルキアス達の様子を窺う影が二つある。
「リュミアのやつ、誰と会うのかと思ったらルキアスとか言ったか? まさかあいつと!?」
「んな訳あるかよ。兄ちゃん、焼き餅焼きだな」
ガノスとザネクだ。リュミアの後をこっそりつけて来ていたのだが、ガノスが不穏な想像をし始めたのでザネクが直ぐに突っ込みを入れた。
「つっても気になるだろ?」
「……まあ、誰と会うか判らなかったのはな」
「だろう。だろう」
ガノスは誤魔化すようにうんうんと頷いた。
「しかしルキアスとか……」
ザネクは向かいに座るガノスにも聞こえないような小さな声で悩ましげに呟いた。リュミアが何を話そうとしているのか予想できてしまったのだ。
ザネクと会った昨日の今日でリュミアが会いに来たのだから、用件は何となく予想できるルキアスだ。しかし話をする前に食事。リュミアはラビット丼を注文していた。
「ラビット丼お好きなんですか?」
以前にみんなで食事した時もリュミアはラビット丼だった覚えのあるルキアスだ。幾ら何でもルキアスが二品注文したからラビット丼で節約したとは考えたくない。
「そう……ね。このチープな見た目でチープな味わいが時々不思議と恋しくなるの……ね。だけど、自分で料理してもこの味がなかなかでないの……ね」
「なるほど!」
ラビット丼が恋しくなる気持ちが何となく判るルキアスだ。しかし何となく判るだけである。ルキアスの料理は殆どの場合芋や水溶き小麦粉などを焼くだけなのだ。味が出せる出せないなんて高次元な話ではない。
食事はほぼ同時に終わった。リュミアの食べるのが遅いのか、リュミアがルキアスに合わせたのかはルキアスに判別できなかった。
「それで、話と言うのはやはりザネクの事ですか?」
ルキアスの方から切り出した。
するとリュミアが柳眉を下げる。
「判りやすかったかし……ら?」
ルキアスは素直に頷いた。
「リュミアさん? お久しぶりです」
「ええ。お久しぶり……ね。それで、お食事一緒にしてくれるかし……ら?」
「はい」
ザネクと話した翌日の夕方、ルキアスはリュミアに呼び止められて夕食に誘われた。特に用事がある訳でもないルキアスに断る理由は無い。無論、料理が高額な店だったら入る前に撤退したことだろう。
ただ、店の席に座った後で少し気になった。
「ガノスさんやザネクと一緒じゃなくていいんですか?」
「たまには……ね。二人もどこかに食べに出掛けてるはず……ね」
「だったらいいんですけど……」
「それより今日はわたしの奢り……ね。好きなのを頼んで……ね」
「それじゃ、かつ丼とシーサーペントの串焼きで」
ルキアスは控え目にし過ぎない方が良いことを学んでいた。相手次第ではあるものの、ルキアスのような貧乏性ではない探索者から奢られる時には大外しはしない筈だ。
その予想はどうやら当たっていたようで、リュミアは当たり前のように料理の注文をした。
ルキアスが入った食堂の向かいのカフェにはルキアス達の様子を窺う影が二つある。
「リュミアのやつ、誰と会うのかと思ったらルキアスとか言ったか? まさかあいつと!?」
「んな訳あるかよ。兄ちゃん、焼き餅焼きだな」
ガノスとザネクだ。リュミアの後をこっそりつけて来ていたのだが、ガノスが不穏な想像をし始めたのでザネクが直ぐに突っ込みを入れた。
「つっても気になるだろ?」
「……まあ、誰と会うか判らなかったのはな」
「だろう。だろう」
ガノスは誤魔化すようにうんうんと頷いた。
「しかしルキアスとか……」
ザネクは向かいに座るガノスにも聞こえないような小さな声で悩ましげに呟いた。リュミアが何を話そうとしているのか予想できてしまったのだ。
ザネクと会った昨日の今日でリュミアが会いに来たのだから、用件は何となく予想できるルキアスだ。しかし話をする前に食事。リュミアはラビット丼を注文していた。
「ラビット丼お好きなんですか?」
以前にみんなで食事した時もリュミアはラビット丼だった覚えのあるルキアスだ。幾ら何でもルキアスが二品注文したからラビット丼で節約したとは考えたくない。
「そう……ね。このチープな見た目でチープな味わいが時々不思議と恋しくなるの……ね。だけど、自分で料理してもこの味がなかなかでないの……ね」
「なるほど!」
ラビット丼が恋しくなる気持ちが何となく判るルキアスだ。しかし何となく判るだけである。ルキアスの料理は殆どの場合芋や水溶き小麦粉などを焼くだけなのだ。味が出せる出せないなんて高次元な話ではない。
食事はほぼ同時に終わった。リュミアの食べるのが遅いのか、リュミアがルキアスに合わせたのかはルキアスに判別できなかった。
「それで、話と言うのはやはりザネクの事ですか?」
ルキアスの方から切り出した。
するとリュミアが柳眉を下げる。
「判りやすかったかし……ら?」
ルキアスは素直に頷いた。
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