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345 生まれたての子鹿のように
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デナンの指導を受けながら鍛えること一〇日、鍛練後のルキアスはよろよろだ。
「痛た……」
生まれたての子鹿のように脚をプルプルさせている。
「ほう、ここか? ここか?」
「あ゛っ! ……」
ニケットがルキアスの太股をツンツン突っつくと、ルキアスは一瞬悲鳴を上げて天を仰ぎ、顔を苦悶に歪めて息を詰まらせた。
「〃「わっはははは!」〃」
ルキアスの醜態に一同大受けだ。
「わ! 笑い事じゃないでしゅ!」
噛んだ。一旦声を出せる程度に鎮まった痛みが不意にぶり返すのだ。これがまた笑いを誘う。
「〃「わっはははは!」〃」
「あ゛っ! ……」
抗議しようと脚に力を入れたら痺れるような痛みが奔る。堪らず機械仕掛けの人形のような動きになるルキアスだ。
「まあ、デナンに見込まれたのが運の尽きだったな」
「デナンは教えたがりだからな。特に筋肉に関しては一家言どころか三家言も四家言もあるからな」
「意味が判らないよ」
三家言や四家言の言葉は存在しない。
「他人の一家言でも役に立つと思ったら採り入れるくらいに考えてくれ……、ってか説明させるなよ」
「あはは……」
「まあ、そんくらい熱心ってことだ」
「そんなに褒めるなよ」
「褒めてねぇし」
「何!?」
「俺結構恨みに思ってるんだぜ? まあ、役に立ってるから差し引きゼロってところだがな」
と、ネナイト。
「え? ってことは?」
「今のルキアスの姿はデナンに出会って直ぐの俺と同じだ」
「あ、それで魔法を使う割に体力があるんだ」
「そう言うこったな。ルキアスも直慣れるさ」
「期待しておくよ」
慣れれば痛みは消える筈なのだ。
「そういやルキアスは盾の魔法を使えるのか?」
話が一段落したと見たのか、ニケットが尋ねた。
「え? 使えないけど」
「じゃあ、あの爆風をどうやって立ったままやり過ごしてるんだ?」
「あれは『傘』だよ」
「〃「『傘』!?」〃」
「『傘』も鍛えれば強くなるんだ」
「ほほぉお?」
デナンが妙に食い付いた。恐らく「鍛えれば」の部分に反応したのだ。
「痛た……」
生まれたての子鹿のように脚をプルプルさせている。
「ほう、ここか? ここか?」
「あ゛っ! ……」
ニケットがルキアスの太股をツンツン突っつくと、ルキアスは一瞬悲鳴を上げて天を仰ぎ、顔を苦悶に歪めて息を詰まらせた。
「〃「わっはははは!」〃」
ルキアスの醜態に一同大受けだ。
「わ! 笑い事じゃないでしゅ!」
噛んだ。一旦声を出せる程度に鎮まった痛みが不意にぶり返すのだ。これがまた笑いを誘う。
「〃「わっはははは!」〃」
「あ゛っ! ……」
抗議しようと脚に力を入れたら痺れるような痛みが奔る。堪らず機械仕掛けの人形のような動きになるルキアスだ。
「まあ、デナンに見込まれたのが運の尽きだったな」
「デナンは教えたがりだからな。特に筋肉に関しては一家言どころか三家言も四家言もあるからな」
「意味が判らないよ」
三家言や四家言の言葉は存在しない。
「他人の一家言でも役に立つと思ったら採り入れるくらいに考えてくれ……、ってか説明させるなよ」
「あはは……」
「まあ、そんくらい熱心ってことだ」
「そんなに褒めるなよ」
「褒めてねぇし」
「何!?」
「俺結構恨みに思ってるんだぜ? まあ、役に立ってるから差し引きゼロってところだがな」
と、ネナイト。
「え? ってことは?」
「今のルキアスの姿はデナンに出会って直ぐの俺と同じだ」
「あ、それで魔法を使う割に体力があるんだ」
「そう言うこったな。ルキアスも直慣れるさ」
「期待しておくよ」
慣れれば痛みは消える筈なのだ。
「そういやルキアスは盾の魔法を使えるのか?」
話が一段落したと見たのか、ニケットが尋ねた。
「え? 使えないけど」
「じゃあ、あの爆風をどうやって立ったままやり過ごしてるんだ?」
「あれは『傘』だよ」
「〃「『傘』!?」〃」
「『傘』も鍛えれば強くなるんだ」
「ほほぉお?」
デナンが妙に食い付いた。恐らく「鍛えれば」の部分に反応したのだ。
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