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343 爆風
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「ちょっ!」
ルキアスは慌てた。ネナイトの動作に一瞬で記憶が蘇る。味方まで巻き込む魔法が放たれた光景だ。
そう、あの時のパーティーはデナン達だったのだ。
デナン達は全力でボスから離れ、ジャンプ一発転がりながら伏せる。ルキアスも一応話は聞いていたが、いきなり来るとまでは考えていなかった。どう動けばよいのか迷っている間に魔法は放たれている。
魔法を放ったネナイトは既に逃げに入っている。ルキアスだけが逃げ遅れだ。
だがこんな時、ルキアスには頼りになる相棒? があった。
「『傘』!」
困った時は『傘』である。幾度も身の危険から守ってくれた『傘』は今回も十全に役割を果たしてくれた。
魔法が起こした爆風は『傘』を貫通しない。回り込んだ風が吹き荒んでルキアスの髪や服をはためかせるが、それ以上の攻撃性は持ち得ない。ネナイトを始め、爆風に吹き飛ばされて転がって行くパーティーメンバーを余所に、ルキアスだけがその場に立ち留まった。
ルキアスからは『傘』越しに土煙に霞んでボスのシルエットが見える。真ん丸だった筈のそれがデフォルメされた三日月のように欠けている。間違いなくボスに刻まれた致命的な傷だ。ところが三日月は横に転がったかに見えた後、形を歪めてまた消えた。
(塞がった!?)
シルエットだけで見れば大きく抉れた部分が塞がったように見えた。ルキアスは油断無く銃を構える。
だがボスのシルエットはそれ以上動くことは無く、やがて土埃も晴れた。残ったのは倒れて動かなくなったボスだ。
「やったな!」
「しっかし爆風はどうにかならんもんかね」
「それ含めての醍醐味じゃねぇか」
「違ぇねぇ」
「〃「わっはははは!」〃」
デナン達は爆風で飛ばされるのも楽しんでいるようだが、ルキアスはげんなりした顔で右手をパタパタと横に振った。
宝箱から出たのはここの宝箱としては低品質な剣であった。
「外れだな」
「これはどうにもならんな」
「飲み代も厳しいぞ」
「いや、槍を買ったらお終いだろ」
「だよな……」
「え、えーと……、どんまい?」
何となく励ます衝動に駆られたルキアスだ。
「〃「わっはははは!」〃」
するとデナン達は何故か揃って陽気に笑った。
ルキアスは慌てた。ネナイトの動作に一瞬で記憶が蘇る。味方まで巻き込む魔法が放たれた光景だ。
そう、あの時のパーティーはデナン達だったのだ。
デナン達は全力でボスから離れ、ジャンプ一発転がりながら伏せる。ルキアスも一応話は聞いていたが、いきなり来るとまでは考えていなかった。どう動けばよいのか迷っている間に魔法は放たれている。
魔法を放ったネナイトは既に逃げに入っている。ルキアスだけが逃げ遅れだ。
だがこんな時、ルキアスには頼りになる相棒? があった。
「『傘』!」
困った時は『傘』である。幾度も身の危険から守ってくれた『傘』は今回も十全に役割を果たしてくれた。
魔法が起こした爆風は『傘』を貫通しない。回り込んだ風が吹き荒んでルキアスの髪や服をはためかせるが、それ以上の攻撃性は持ち得ない。ネナイトを始め、爆風に吹き飛ばされて転がって行くパーティーメンバーを余所に、ルキアスだけがその場に立ち留まった。
ルキアスからは『傘』越しに土煙に霞んでボスのシルエットが見える。真ん丸だった筈のそれがデフォルメされた三日月のように欠けている。間違いなくボスに刻まれた致命的な傷だ。ところが三日月は横に転がったかに見えた後、形を歪めてまた消えた。
(塞がった!?)
シルエットだけで見れば大きく抉れた部分が塞がったように見えた。ルキアスは油断無く銃を構える。
だがボスのシルエットはそれ以上動くことは無く、やがて土埃も晴れた。残ったのは倒れて動かなくなったボスだ。
「やったな!」
「しっかし爆風はどうにかならんもんかね」
「それ含めての醍醐味じゃねぇか」
「違ぇねぇ」
「〃「わっはははは!」〃」
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宝箱から出たのはここの宝箱としては低品質な剣であった。
「外れだな」
「これはどうにもならんな」
「飲み代も厳しいぞ」
「いや、槍を買ったらお終いだろ」
「だよな……」
「え、えーと……、どんまい?」
何となく励ます衝動に駆られたルキアスだ。
「〃「わっはははは!」〃」
するとデナン達は何故か揃って陽気に笑った。
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