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339 小食
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「く、苦しい……」
貧乏性のルキアスにとって食べ物を残すなど言語道断だ。限界まで食べた。……食べきれなかったが。
「おいおい大丈夫か? 何も無理して食うこたねぇのに」
「でも……」
「まあ、勧めたのはこっちだがな。そんなに小食とは思わなかったぜ」
「いや、明らかに多すぎたよ」
「俺らがルキアスくらいの歳の頃にはそんくらいの量、ペロッと行ったもんだがな」
「まあ、それだけ注文する金は無かったがな」
「違えねぇ」
「それって食べてないんじゃ……」
「そうとも言うが、細かい事は気にするな」
「気にするよ!」
「〃「わっははははっ!」〃」
「……」
ルキアスは理不尽さにちょいおこになるが、デナン達は陽気に笑う。ルキアスの毒気も抜かれようと言うものだ。
一頻り笑った後でデナンは居住まいを正した。
「なあ、ルキアス。暫く俺らと第一〇階層のボスをやってみないか? 勿論収入は次から山分けだ。それに順番待ちもしなくていい」
デナンの表情は真剣そのものだ。嘘や冗談ではないことが窺える。
だがルキアスは今日とは打って変わった待遇での誘いに戸惑った。無論今日のような待遇で何度も付き合おうとは考えないのだが。
ルキアスが目を白黒させて黙っていると、デナンは続けた。
「期間はそうだな。一ヶ月でどうだ? ルキアスが抜けたくなったらもっと早く抜けてもいい」
「一ヶ月……」
「ああ。ルキアスがパーティーを組みたいヤツは他に居るだろ?」
ルキアスは一つ頷いた。パーティーでもやって行ける自信が付いたらまたザネクと組みたいと考えている。
「だからお試しで一ヶ月だ。実は俺らもそれが都合がいいんだ。確実に魔物を倒すならパーティーの人数は増やした方がいいんだが、人数を増やせば分け前が減る。この兼ね合いを見極めなきゃならねぇんだが、これが実際に試してみなきゃ判らねぇ」
「もし一人増やしていつも今日みたいに終わるなら断然一人増やした方がいいからな」
「だが『短期間だけ入ってくれ』なんて話を持って行けるヤツはそうそう居ねぇ」
「その点、ルキアスならルキアスの方も短期間が良さそうだからな」
「そんな訳でどうだ?」
パーティーメンバーが口々に言うのを聞いている内にルキアスも少し落ち着いた。
彼らの話が本当ならお互いにメリットがある。そして嘘を言う人達には見えず、話は本当なのだろうと思われた。
「じゃあ、お願いします」
「そうこなくっちゃな! 待ち合わせはボス部屋の前だ」
「もし来なかったらルキアス抜きで始めるだけだから気楽にな」
「うん」
ルキアスが頷き、話は纏まった。
程なくして解散し、ルキアスは残り物の料理を手持ちの鍋に入れて持ち帰った。鍋一つに全部の料理を入れざるを得なくて味が混じってしまい、けして美味しいものではなくなっていたが。
(鍋も幾つか買い足そうかな……)
貧乏性のルキアスにとって食べ物を残すなど言語道断だ。限界まで食べた。……食べきれなかったが。
「おいおい大丈夫か? 何も無理して食うこたねぇのに」
「でも……」
「まあ、勧めたのはこっちだがな。そんなに小食とは思わなかったぜ」
「いや、明らかに多すぎたよ」
「俺らがルキアスくらいの歳の頃にはそんくらいの量、ペロッと行ったもんだがな」
「まあ、それだけ注文する金は無かったがな」
「違えねぇ」
「それって食べてないんじゃ……」
「そうとも言うが、細かい事は気にするな」
「気にするよ!」
「〃「わっははははっ!」〃」
「……」
ルキアスは理不尽さにちょいおこになるが、デナン達は陽気に笑う。ルキアスの毒気も抜かれようと言うものだ。
一頻り笑った後でデナンは居住まいを正した。
「なあ、ルキアス。暫く俺らと第一〇階層のボスをやってみないか? 勿論収入は次から山分けだ。それに順番待ちもしなくていい」
デナンの表情は真剣そのものだ。嘘や冗談ではないことが窺える。
だがルキアスは今日とは打って変わった待遇での誘いに戸惑った。無論今日のような待遇で何度も付き合おうとは考えないのだが。
ルキアスが目を白黒させて黙っていると、デナンは続けた。
「期間はそうだな。一ヶ月でどうだ? ルキアスが抜けたくなったらもっと早く抜けてもいい」
「一ヶ月……」
「ああ。ルキアスがパーティーを組みたいヤツは他に居るだろ?」
ルキアスは一つ頷いた。パーティーでもやって行ける自信が付いたらまたザネクと組みたいと考えている。
「だからお試しで一ヶ月だ。実は俺らもそれが都合がいいんだ。確実に魔物を倒すならパーティーの人数は増やした方がいいんだが、人数を増やせば分け前が減る。この兼ね合いを見極めなきゃならねぇんだが、これが実際に試してみなきゃ判らねぇ」
「もし一人増やしていつも今日みたいに終わるなら断然一人増やした方がいいからな」
「だが『短期間だけ入ってくれ』なんて話を持って行けるヤツはそうそう居ねぇ」
「その点、ルキアスならルキアスの方も短期間が良さそうだからな」
「そんな訳でどうだ?」
パーティーメンバーが口々に言うのを聞いている内にルキアスも少し落ち着いた。
彼らの話が本当ならお互いにメリットがある。そして嘘を言う人達には見えず、話は本当なのだろうと思われた。
「じゃあ、お願いします」
「そうこなくっちゃな! 待ち合わせはボス部屋の前だ」
「もし来なかったらルキアス抜きで始めるだけだから気楽にな」
「うん」
ルキアスが頷き、話は纏まった。
程なくして解散し、ルキアスは残り物の料理を手持ちの鍋に入れて持ち帰った。鍋一つに全部の料理を入れざるを得なくて味が混じってしまい、けして美味しいものではなくなっていたが。
(鍋も幾つか買い足そうかな……)
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