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327 丸くする
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(『鏡』を丸くするのは探索にも使えそうだよね)
ルキアスは『鏡』を曲面にしたなら日頃の探索でも役に立つと考えた。
平面では曲がり角の先を一望できない。これが理由で足を止める場合もあるのでそれなりに切実な問題だ。
だが何かあったような引っ掛かりを覚えつつも、知っている魔法で曲面を形作るものが思い当たらない。平らにする機会は多い一方、均一な弧を描く曲面にする機会が殆ど無いからだろう。
(生活魔法に限らなければ……)
攻撃魔法や生産魔法の中にはめぼしい魔法があるかも知れない。知っている人に聞かなければ判らないのだが。
無論ここで聞きたいのは魔法の有る無しについてだ。そして魔法の名前さえ判れば文献を調べることも可能だろう。魔法そのものについて尋ねないのは天職が感覚で使われがちだからだ。尋ねても「こんな要素が含まれる」と言った答えは望めない。
尋ねる相手として候補として挙げられるのは、リュミア、エリリース、シャルウィ、それにメイナーダ。
連絡を取るにはリュミアやエリリースならザネク経由、シャルウィは直接、メイナーダはロマ経由になってしまうが、いずれにしても通り掛かるのを待ち構えるか、さもなければ受付にでも伝言を頼むしかない。
(メイナーダさんが一番知ってそうだから、どうせならメイナーダさんに教わりたいなぁ)
ルキアスが知る限りの一番の魔法の使い手はメイナーダだ。知識もそうだと予想する。もし望んだ結果が得られなくても、一番の人に師事してだめなら諦めも付こうと言うものである。
早速ロマを捜す……。
「よう、兄弟。随分難しい顔してんな?」
……までもなかった。
「ロマさん! ちょうど捜しに行こうかと!」
「ほう。俺を? 俺に用か?」
「うん。メイナーダさんに連絡取って欲しくって」
「……」
ロマはガクッと肩を落とした。
「……いや、兄弟。それは俺に会いたいんじゃなくて、メイに会いたいんだろ」
「あ! そうとも言うよね!」
「そうとしか言わねぇよ! ったく……」
ロマは不服そうにぼやく。
「それで? メイにどんな用事なんだ? 繋ぎを取るにも話の内容が何も判らないんじゃ、持って行きようがないだろ?」
「あー、確かに。それは……」
ルキアスはかくかくしかじかと『鏡』を丸く曲げる案について説明した。
「……あー、それな。兄弟?」
「?」
「別にメイに教わらなくても大丈夫じゃないか?」
「え? でも?」
「なあ、兄弟。忘れちゃいないか? 兄弟の得意な魔法があったろ」
「ぼくが得意って……」
「『傘』だよ『傘』。あれって丸いだろ? 円柱は無理っぽいが、索敵に使うなら球面で良くないか?」
「ああ! ほんとだ!」
灯台下暗しとばかりに『傘』が丸いのを失念していたルキアスだ。
しかしこれにはそれなりに理由がある。『傘』は丸くするのではなく、凹ませる深さを変えるものなのだ。
それはそれとして、『鏡』を曲面にする糸口は見付かった。
ルキアスは『鏡』を曲面にしたなら日頃の探索でも役に立つと考えた。
平面では曲がり角の先を一望できない。これが理由で足を止める場合もあるのでそれなりに切実な問題だ。
だが何かあったような引っ掛かりを覚えつつも、知っている魔法で曲面を形作るものが思い当たらない。平らにする機会は多い一方、均一な弧を描く曲面にする機会が殆ど無いからだろう。
(生活魔法に限らなければ……)
攻撃魔法や生産魔法の中にはめぼしい魔法があるかも知れない。知っている人に聞かなければ判らないのだが。
無論ここで聞きたいのは魔法の有る無しについてだ。そして魔法の名前さえ判れば文献を調べることも可能だろう。魔法そのものについて尋ねないのは天職が感覚で使われがちだからだ。尋ねても「こんな要素が含まれる」と言った答えは望めない。
尋ねる相手として候補として挙げられるのは、リュミア、エリリース、シャルウィ、それにメイナーダ。
連絡を取るにはリュミアやエリリースならザネク経由、シャルウィは直接、メイナーダはロマ経由になってしまうが、いずれにしても通り掛かるのを待ち構えるか、さもなければ受付にでも伝言を頼むしかない。
(メイナーダさんが一番知ってそうだから、どうせならメイナーダさんに教わりたいなぁ)
ルキアスが知る限りの一番の魔法の使い手はメイナーダだ。知識もそうだと予想する。もし望んだ結果が得られなくても、一番の人に師事してだめなら諦めも付こうと言うものである。
早速ロマを捜す……。
「よう、兄弟。随分難しい顔してんな?」
……までもなかった。
「ロマさん! ちょうど捜しに行こうかと!」
「ほう。俺を? 俺に用か?」
「うん。メイナーダさんに連絡取って欲しくって」
「……」
ロマはガクッと肩を落とした。
「……いや、兄弟。それは俺に会いたいんじゃなくて、メイに会いたいんだろ」
「あ! そうとも言うよね!」
「そうとしか言わねぇよ! ったく……」
ロマは不服そうにぼやく。
「それで? メイにどんな用事なんだ? 繋ぎを取るにも話の内容が何も判らないんじゃ、持って行きようがないだろ?」
「あー、確かに。それは……」
ルキアスはかくかくしかじかと『鏡』を丸く曲げる案について説明した。
「……あー、それな。兄弟?」
「?」
「別にメイに教わらなくても大丈夫じゃないか?」
「え? でも?」
「なあ、兄弟。忘れちゃいないか? 兄弟の得意な魔法があったろ」
「ぼくが得意って……」
「『傘』だよ『傘』。あれって丸いだろ? 円柱は無理っぽいが、索敵に使うなら球面で良くないか?」
「ああ! ほんとだ!」
灯台下暗しとばかりに『傘』が丸いのを失念していたルキアスだ。
しかしこれにはそれなりに理由がある。『傘』は丸くするのではなく、凹ませる深さを変えるものなのだ。
それはそれとして、『鏡』を曲面にする糸口は見付かった。
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