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326 倒し方
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ルキアスは曲面の『鏡』を試みる。
(あれ?)
魔法は脳裏で魔法の断片を積み木を組むよう、あるいは魔法陣を描くように構築する。アレンジする場合はその断片を差し替えることになる。
尤も、生活魔法のように一般的なものは慣用句同様、一つのパッケージとして憶えるので断片一つ一つを意識することはほぼ無い。そうして使うのが一般的だ。
だがルキアスは天職を持ち合わせていないこともあり、断片にも目を向けていた。生活魔法のアレンジもある程度できるまでにだ。
ところがそんなルキアスでも『鏡』を曲面にするのは一筋縄では行かない。
『鏡』を平面にする断片の削除は可能だ。しかしそれをするだけでは不定形になってしまう。『均し』てみてももパン生地を手で平らに伸ばすようなもので、鏡面が波打ってしまう。これではアレンジする意味が無い。
「おい、もう『鏡』は終わりなのか?」
ルキアスが考え込んでいたら声を掛けられた。
(観戦中だった……)
『鏡』のアレンジが直ぐにできないなら観戦を優先させる方が良さそうだ。
ルキアスは再度『鏡』を張った。
戦闘はもう大詰めの様子だ。ボスには矢が幾本も深々と突き刺さっている。どうやらボスは転がることで、自ら矢を深く刺してしまったらしい。
(それで弓矢なのかぁ)
銃弾ではそうは行かない。例外的なものを除けば刺さったっきりになる。追加ダメージを与えられないから弓矢よりも倒すのに時間が掛かるに違いない。
(一人で普通に倒すのは無理そう。普通じゃないならどうにでもなりそうだけど……)
普通じゃない方法。それは『傘』に乗っての空中からの射撃だ。一方的に攻撃できる。ボスは飛び道具を持っていないようだから多少時間が掛かっても無傷で倒せるだろう。
(でも何か違う気がするんだよなぁ。宝箱を形振り構わず取りに行くなら別だけど、そこまでして欲しいとは思わないし)
宝箱の中身はランダムなのだ。実用的な装備が出る可能性は低い。これで挑むのはギャンブルに過ぎると言うものだ。
ルキアスは一人でボスに挑むのは止めることにした。
そんな事を考えている間にも部屋の中の戦闘が終わった。
「いいのが手に入ったぜ!」
ボスに挑んでいたパーティーは宝箱の中身が幸運にも望んでいた物だったらしく、ほくほく顔で出て来た。
「おー、そりゃすげぇな」
「何が出たんだ?」
「それはな……」
屈託無く成果の話をする探索者達。ルキアスは彼らが意外と和気藹々なのに驚いた。
(あれ?)
魔法は脳裏で魔法の断片を積み木を組むよう、あるいは魔法陣を描くように構築する。アレンジする場合はその断片を差し替えることになる。
尤も、生活魔法のように一般的なものは慣用句同様、一つのパッケージとして憶えるので断片一つ一つを意識することはほぼ無い。そうして使うのが一般的だ。
だがルキアスは天職を持ち合わせていないこともあり、断片にも目を向けていた。生活魔法のアレンジもある程度できるまでにだ。
ところがそんなルキアスでも『鏡』を曲面にするのは一筋縄では行かない。
『鏡』を平面にする断片の削除は可能だ。しかしそれをするだけでは不定形になってしまう。『均し』てみてももパン生地を手で平らに伸ばすようなもので、鏡面が波打ってしまう。これではアレンジする意味が無い。
「おい、もう『鏡』は終わりなのか?」
ルキアスが考え込んでいたら声を掛けられた。
(観戦中だった……)
『鏡』のアレンジが直ぐにできないなら観戦を優先させる方が良さそうだ。
ルキアスは再度『鏡』を張った。
戦闘はもう大詰めの様子だ。ボスには矢が幾本も深々と突き刺さっている。どうやらボスは転がることで、自ら矢を深く刺してしまったらしい。
(それで弓矢なのかぁ)
銃弾ではそうは行かない。例外的なものを除けば刺さったっきりになる。追加ダメージを与えられないから弓矢よりも倒すのに時間が掛かるに違いない。
(一人で普通に倒すのは無理そう。普通じゃないならどうにでもなりそうだけど……)
普通じゃない方法。それは『傘』に乗っての空中からの射撃だ。一方的に攻撃できる。ボスは飛び道具を持っていないようだから多少時間が掛かっても無傷で倒せるだろう。
(でも何か違う気がするんだよなぁ。宝箱を形振り構わず取りに行くなら別だけど、そこまでして欲しいとは思わないし)
宝箱の中身はランダムなのだ。実用的な装備が出る可能性は低い。これで挑むのはギャンブルに過ぎると言うものだ。
ルキアスは一人でボスに挑むのは止めることにした。
そんな事を考えている間にも部屋の中の戦闘が終わった。
「いいのが手に入ったぜ!」
ボスに挑んでいたパーティーは宝箱の中身が幸運にも望んでいた物だったらしく、ほくほく顔で出て来た。
「おー、そりゃすげぇな」
「何が出たんだ?」
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屈託無く成果の話をする探索者達。ルキアスは彼らが意外と和気藹々なのに驚いた。
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