生活魔法は万能です

浜柔

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318 二〇弾

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「二〇弾を二箱お願い」
「はいよ」

 銃器店の店主は軽い調子で返事をすると、カウンターの向こうから箱を二つ取り出した。

「二万ダールだ」
「じゃあ、これ」

 店主はルキアスの差し出した紙幣の金額を確かめる。

「毎度。兄ちゃんは明日からでも一〇階に行くのかい?」
「え? あー、明日からじゃないですけどぼちぼちです」

 二〇弾を長く撃っていないので、第六階層や第七階層で練習するつもりでいるルキアスだ。

「ほう。相変わらず慎重だな」
「はい。無理して怪我してもつまらないので」
「そうだな。それがいい」

 店主は「うんうん」と頷いて同意した。




 翌日のルキアスは第六階層に降り立った。
 二〇弾を使おうともやる事は変わらない。魔物を探して撃つ。それだけだ。
 これを第二階層ではなくわざわざ第六階層に降りて行うのは流れ弾が怖いからだ。二〇弾は一〇弾に比べてそれなりに遠くまで飛ぶ。これが第二階層では問題になる。第二階層での狩りで生活をする探索者も多く、それだけ人と擦れ違う確率も高い。適当に銃を撃とうものなら通り掛かった人に中りかねないのだ。これを避けるには十分周囲に気を配らなければならないが、そうできる範囲には限界と言うものがある。第六階層なら回廊の先だけ見れば事が済むので負担も少なくなると言うものだ。

 索敵についてルキアスは今、勘と『鏡』での目視と半々で行っている。勘のみに頼ろうとも考えて練習を繰り返しもした。しかし感じられないことが多いのだ。念のため出している鳴子代わりの『鏡』が割れてハッとすること度々だった。そんな不安を残すようなら併用した方が安全確実だ。とは言え僅かずつでも勘の比重を増やすように努力している。

「いた」

 魔物を発見して銃を構える。勘に頼るまでもない。少し先の脇道から出て来たホーンラビットだ。向こうも気付いたようで、角先を向けてくる。
 ルキアスは立ち撃ちの基本姿勢を取る。ダン老人の助言もあって、可能な限り基本姿勢を取るようにしている。この姿勢を何も意識せずに取れるようになったら漸く応用的な姿勢を試す予定だ。
 ホーンラビットを照準に収め、引き金を引く。銃声が響く。
 ルキアスは少し顔を顰めた。

(反動が強くなるのを忘れてた)

 弾丸は外れ、ホーンラビットが突進して来る。ホーンラビットははぐれ個体だったようで後続は無い。
 ルキアスはすかさず次弾を装填して引き金を引く。ホーンラビットの動きが止まった。
 ルキアスは倒したホーンラビットを『収納』に入れて先に進んだ。
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