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297 走って
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ものはついでで、ルキアスはライフルより先にピストルでの立ち回りを習う。走って、止まって、狙って、撃って、また走る。その繰り返しだ。
ただ疑問も浮かぶ。
「走りながら撃てなきゃいけなくないですか?」
「お前様は勘違いしとるの。遠距離攻撃は止まって撃つものだの。魔法や弓もだの」
「え……?」
ルキアスはその真偽を確かめたくてザネクやリュミアを見るが、二人はルキアスと目が合ったら小さく頷いた。メイナーダは小首を傾げているが、その横のロマが左手でメイナーダを指差しながら右手を左右に振っている。メイナーダは参考にならないらしい。
つまり魔法や弓も止まってうつものだと言うことだ。
「如何に止まる時間を短くするかが大事よの」
走りながらでも発射準備はできる。照準と発射を如何に短時間で行うかが課題だ。
これをルキアスが納得できたところでピストルを置き、本命のライフルでの立ち回りに入る。
だからと言って、する事は特に変わらない。走って、止まって、狙って、撃って、また走る。その繰り返しだ。ただライフルはピストルより大きく長い分、立ち止まる前にある程度の準備が必要だ。銃口を目標に向けておかなければ止まる時間が長くなってしまう。
この前準備に少々手間取った。撃つ方向が左なら特に苦は無い。だが正面に向ける場合は銃口が不安定になり、安定させようとするとへっぴり腰になる。
「そこ! またへっぴり腰になっとるの!」
「え? はい! で、でも……」
「デモもストもないでの。もっと左脇を締めて、左手はもっと銃床に近い部分を持つでの」
「もっと近く……」
ルキアスは前の方を持った方が安定すると考えて伸ばし気味だった左腕を締め、引き金に程近い場所を持ってみる。右手にあまりに近く、銃を点で支えるかのようで撃つ前には銃口がふらふら安定しないように見えた。だが撃ってみればこれまで以上に安定する。
「あれ? ぶれない? どうして?」
「銃のぶれは肘が安定していないせいのことが殆どでの。肘を身体に付けて安定させれば銃も安定するものでの」
「なるほど……」
ただこの持ち方で安定するのは正面に向けて撃つ時に限られる。左半身で構える場合は自然な持ち位置が銃の前の方になる。
このためルキアスは撃つ向きに応じて左手で持つ位置を変えるよう心懸けつつ訓練を繰り返した。
やがてユアがメイナーダの腕の中で眠りに就き、夕刻も迫る。
「ではここまでにしようかの」
「ありがとう……ございました……」
訓練中には気を留めていなかった息が、ずっと走り通しで切れているのにここで初めて気付かされたルキアスだった。
ただ疑問も浮かぶ。
「走りながら撃てなきゃいけなくないですか?」
「お前様は勘違いしとるの。遠距離攻撃は止まって撃つものだの。魔法や弓もだの」
「え……?」
ルキアスはその真偽を確かめたくてザネクやリュミアを見るが、二人はルキアスと目が合ったら小さく頷いた。メイナーダは小首を傾げているが、その横のロマが左手でメイナーダを指差しながら右手を左右に振っている。メイナーダは参考にならないらしい。
つまり魔法や弓も止まってうつものだと言うことだ。
「如何に止まる時間を短くするかが大事よの」
走りながらでも発射準備はできる。照準と発射を如何に短時間で行うかが課題だ。
これをルキアスが納得できたところでピストルを置き、本命のライフルでの立ち回りに入る。
だからと言って、する事は特に変わらない。走って、止まって、狙って、撃って、また走る。その繰り返しだ。ただライフルはピストルより大きく長い分、立ち止まる前にある程度の準備が必要だ。銃口を目標に向けておかなければ止まる時間が長くなってしまう。
この前準備に少々手間取った。撃つ方向が左なら特に苦は無い。だが正面に向ける場合は銃口が不安定になり、安定させようとするとへっぴり腰になる。
「そこ! またへっぴり腰になっとるの!」
「え? はい! で、でも……」
「デモもストもないでの。もっと左脇を締めて、左手はもっと銃床に近い部分を持つでの」
「もっと近く……」
ルキアスは前の方を持った方が安定すると考えて伸ばし気味だった左腕を締め、引き金に程近い場所を持ってみる。右手にあまりに近く、銃を点で支えるかのようで撃つ前には銃口がふらふら安定しないように見えた。だが撃ってみればこれまで以上に安定する。
「あれ? ぶれない? どうして?」
「銃のぶれは肘が安定していないせいのことが殆どでの。肘を身体に付けて安定させれば銃も安定するものでの」
「なるほど……」
ただこの持ち方で安定するのは正面に向けて撃つ時に限られる。左半身で構える場合は自然な持ち位置が銃の前の方になる。
このためルキアスは撃つ向きに応じて左手で持つ位置を変えるよう心懸けつつ訓練を繰り返した。
やがてユアがメイナーダの腕の中で眠りに就き、夕刻も迫る。
「ではここまでにしようかの」
「ありがとう……ございました……」
訓練中には気を留めていなかった息が、ずっと走り通しで切れているのにここで初めて気付かされたルキアスだった。
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