生活魔法は万能です

浜柔

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294 やり方を変えた

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 挨拶もそこそこに、ダン老人の方からルキアスに尋ねた。

「それでお前様はワシに何の用かの?」
「はい。射撃姿勢のことなんですけど……」

 ルキアスはダン老人に昨日今日の探索で感じた事を話した。

「ほっほっほ。もうそこに辿り着くとはの。ワシはお前様を見くびっておったようだの」
「えっと、それって……」
「基本姿勢だけでは戦闘に堪えられぬで、その先があるからの」

 これはルキアスの予想通り。

「やっぱりそうなんですね! お願いします。教えてください!」

 ルキアスは頭を下げる。

「教えるのは吝かではないがの。しかしそれには対価が必要だの?」
「はい。これ……ですよね?」

 ルキアスは『収納』から鍋を取り出し、蓋を開ける。中身はアイスクリームの入ったボールだ。ところがそれなりに時間が経ってしまっていることもあって、アイスクリームがかなり融けている。勢い込んで開けて見せたのを少し後悔した。すかさず『冷却』するが融けてしまった分はどうにもならない。
 しかしダン老人は融けている点は気にしない様子で、むしろ楽しげにする。

「ほっほっほ。これは腕を上げたかの?」
「少しやり方を変えました。それと道具も」

 前回上手く出来なかったのは在り合わせの道具を使ったせいでもあった。

「銃も似たようなものでの、その場その場でやり方を変え、道具も持ち替えなければならぬの」
「道具も……、ですか?」
「うむ。むしろ道具の使い分けの方が重要だの」
「道具ですか……」

 ルキアスに銃を各種取り揃えるだけの余裕は無い。だから銃の買い足しには及び腰だ。

「それはどんな使い分け……ですか?」
「そうビクビクせずとも善いでの」

 ダン老人はルキアスが何に慄いているのか見抜いていた。……訳ではなく、予めロマから大体の事情を聞いていた。だからルキアスに手持ちの資金が少ないのも判っている。

「何、難しいことではないでの。強い弾丸は遠距離に、弱い弾丸は近距離に、強い弾丸を使う時は重い銃を、弱い弾丸を使う時は軽い銃を使うのが基本なだけだの」
「銃の重さって関係するんですか?」
「うむ。重い方が反動が少ないでの」
「え!?」
「お前様の持っている銃が標準弾までなのも軽めの銃だからだの」
「ええ……」

 ルキアスは意外な話に言葉を失った。

「驚くのも無理はないの。折角だからこんな話より先にアイスクリームを食わんかの?」
「あ、はい……」

 取り敢えずこの場の五人で分けて食べることにした。ロマが子守りしていた子供もまだ帰っていなかった。
 だからロマは聞かずにいられなかったらしい。

「何でまだ居るんだ?」
「そっちで何か話始めたから帰りそびれただけよ」
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