生活魔法は万能です

浜柔

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289 構え方

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「何だ、そのへっぴり腰は! もっとシャキッと立たんか!」
「は、はい!?」

 ルキアスは突然の怒声にビクッとなった。その勢いで仰け反り気味になる。

「ばっかもーん! それでは撃った時に引っ繰り返ろうが! もっと自然体で立て!」
「はい!」

 ルキアスは跳び上がりそうな勢いで真っ直ぐ立った後、力を抜いて楽にするのを心懸けつつ銃を正面に構えた。しかしへっぴり腰と言われた時より銃が安定しなくて不安だ。

「向きがなっとらん。銃を下ろしてまずは的に向かって真横に向け」

 今度のダン老人の声には叱りつける色が無く、ルキアスはビクビクすることも無く言われた通りに銃を下ろし、横を向く。

「左足を靴の長さ一個分だけ引いて、足先を少し外側に向けよ」

 ルキアスは足を引いて足先を開く。

「足はそのままに的に向かって銃を構えよ」

 ルキアスは銃を構えた。先よりは幾らか安定度が増している。

「床尾は肩のこの凹んだ部分に押し当てよ」

 ダン老人は銃床を掴んでその尾部をルキアスの鎖骨の直ぐ横の凹んだ部分に押し当てる。そして手を放し、ルキアス自身で位置を決めるよう促す。
 ルキアスはこれまで床尾の位置を気にしていなかった。何なら身体から浮いてたくらいだ。だから少し位置取りに手間取りながら、安定する場所を探った。

「右肘は肩と水平に、左肘が銃の下に置くつもりで左脇は締めよ」

 ルキアスは言われた通りにするが、酷く窮屈に感じた。

「そのまま頬を銃に寄せて照準器で狙え」

 ルキアスは益々窮屈に感じながら照準器を覗いた。

「撃て!」

 ルキアスは引き金を引いた。
 撃ったのは標準弾。普段使いの一〇弾に比べれば一〇倍の反動が来る。衝撃で軽く仰け反り、肩には鈍い痛み。これに合わせるように銃口も軽く跳ね上がった。
 それでも我流で試し撃ちした時よりも跳ね上がりは少なく安定している。

「そのまま構えを確かめながら残り四発を撃て」

 弾倉の残りが四発。ルキアスは特に床尾と腕の位置を確認しながら射撃した。
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