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280 弾丸の威力
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「おいおい、また黄昏てんのか?」
ルキアスがどんよりとした雲を背負ってラビット丼を食べているところに話し掛ける声。
「ロマさん……」
「今度はどうしたってんだ?」
「実は……」
ルキアスは蒸気銃が今以上には威力を上げられないことを語った。威力を上げなければならないと考えた理由、即ちライフル弾の威力についてもだ。
「兄弟……、それってのはな……」
今度ばかりはロマもルキアスに残念な子を見るような視線を送った。
勿論助言もする。ライフル弾にはもっと威力があるものがあると。
ライフル弾には弱装弾が三種類、標準弾、それに強化弾が三種類ある。それぞれの使える目安の階層は弱い方から第一〇階層、第二〇階層、第三〇階層、第四〇階層、第五〇階層、第六〇階層、第七〇階層までとなっている。それより深い階層に適応できる弾丸は用意されていない。発射できるライフルが存在しないからだ。
因みに各弾丸の通称は、目安の階層を使って「一〇弾」「二〇弾」のように、あるいは「一〇のほにゃらら弾」のように呼ばれる。
そしてもしも七〇階層より深く潜ろうとするなら、魔法の天職を有するか、武技の天職を有してそれを駆使し、それに堪える武器を使わなければ難しい。
ロマはそんな話をした。
ルキアスは話を聞き終わった後、酸っぱいものを口一杯に頬張ったような顔をした。蒸気の温度を高めれば蒸気銃でどこまででも行けると思っていたから少なくない時間を費やし、手を掛けたのだ。それなのに二〇弾相当にしかならなかった。ところがライフル弾はそうするまでもなくもっと威力が出せると言う。歯痒い限りであった。
こうなった原因が貧乏性にあるのは理解するところ。しかし止めようと思って止められるものでもないから切ないルキアスだ。
ロマと別れた後には直ぐに銃器店へと向かった。
弾丸の値段は一発当たりの目安が一〇弾が五〇ダール、それから二〇弾から順に、一〇〇、二五〇、五〇〇、一〇〇〇、二五〇〇、五〇〇〇ダールだ。一箱一〇〇発の箱単位で買うことになる。たまには特売もあるらしい。
ルキアスは一通り揃えたいところだったが、五〇弾まで手を出すかどうかと言う懐具合。それで思い悩んでいたところ、思わぬ方向で標準の四〇弾までを買うことになった。
店主の話によると、ルキアスの手持ちのライフルが対応するのは標準の四〇弾までだったのだ。
ルキアスがどんよりとした雲を背負ってラビット丼を食べているところに話し掛ける声。
「ロマさん……」
「今度はどうしたってんだ?」
「実は……」
ルキアスは蒸気銃が今以上には威力を上げられないことを語った。威力を上げなければならないと考えた理由、即ちライフル弾の威力についてもだ。
「兄弟……、それってのはな……」
今度ばかりはロマもルキアスに残念な子を見るような視線を送った。
勿論助言もする。ライフル弾にはもっと威力があるものがあると。
ライフル弾には弱装弾が三種類、標準弾、それに強化弾が三種類ある。それぞれの使える目安の階層は弱い方から第一〇階層、第二〇階層、第三〇階層、第四〇階層、第五〇階層、第六〇階層、第七〇階層までとなっている。それより深い階層に適応できる弾丸は用意されていない。発射できるライフルが存在しないからだ。
因みに各弾丸の通称は、目安の階層を使って「一〇弾」「二〇弾」のように、あるいは「一〇のほにゃらら弾」のように呼ばれる。
そしてもしも七〇階層より深く潜ろうとするなら、魔法の天職を有するか、武技の天職を有してそれを駆使し、それに堪える武器を使わなければ難しい。
ロマはそんな話をした。
ルキアスは話を聞き終わった後、酸っぱいものを口一杯に頬張ったような顔をした。蒸気の温度を高めれば蒸気銃でどこまででも行けると思っていたから少なくない時間を費やし、手を掛けたのだ。それなのに二〇弾相当にしかならなかった。ところがライフル弾はそうするまでもなくもっと威力が出せると言う。歯痒い限りであった。
こうなった原因が貧乏性にあるのは理解するところ。しかし止めようと思って止められるものでもないから切ないルキアスだ。
ロマと別れた後には直ぐに銃器店へと向かった。
弾丸の値段は一発当たりの目安が一〇弾が五〇ダール、それから二〇弾から順に、一〇〇、二五〇、五〇〇、一〇〇〇、二五〇〇、五〇〇〇ダールだ。一箱一〇〇発の箱単位で買うことになる。たまには特売もあるらしい。
ルキアスは一通り揃えたいところだったが、五〇弾まで手を出すかどうかと言う懐具合。それで思い悩んでいたところ、思わぬ方向で標準の四〇弾までを買うことになった。
店主の話によると、ルキアスの手持ちのライフルが対応するのは標準の四〇弾までだったのだ。
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