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279 無駄な事
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ルキアスは両手を突いて項垂れ、ザネクはそんなルキアスを小首を傾げて見やった。
「どうした? 問題があるのか?」
「うん。蒸気銃じゃこれ以上威力を上げられないのが判ったんだよ……」
蒸気の流路や流量を最適化することで幾らかは威力を上げられるが、それだけだ。それ以上はどう足掻いても上げられない。それでも普段使いのライフルより大幅に威力があるなら救われもするが、そこまでではなかった。普段使いの安物のライフル弾より幾らか強い程度だ。
一方、ルキアスのライフルは口径さえ合えば弾丸の種類を選ばない。限界はあるものの、弾丸を変えればもっと威力を上げられる。
実のところルキアスが普段使いにしている弾丸は弱装弾の類で、発射薬の魔石が通常品よりも大幅に少ない。弾丸の値段は使われる魔石の量に依存すると言っても過言ではないため、然程威力を必要とされない一方で収益性の悪い低階層向けに安価で使えるよう用意された品物なのだ。
標準的な魔石使用量ならこの一〇倍近い威力となるが、普段使いの弾丸より遥かに高価なためにルキアスは未だ使ったことが無く、威力がどれほど高いかを知らない。
ともあれ、蒸気銃はライフル弾と比べても将来性が全く無い。蒸気銃こそ将来性があると思っていたルキアスには大誤算だった。
「ぼくは全く無駄な事をやってたんだよ……。あー! もう!」
ルキアスは頭を掻きむしって天を仰いだ。今ばかりは自己嫌悪でどうにもやるせない。足も手も忙しなく貧乏揺すりをし、歯軋りの音も止められない。
「お、おう。まあ、そんな時もあるさ」
ザネクは腕を組んで「うんうん」と頷いた。慰めようも無いのでルキアスが時間に癒されるのを待つばかりなのだ。それからルキアスの横で片膝を突き、ルキアスの肩に手を掛けて言う。
「今日はもう帰ろうぜ」
ルキアスは頷いた。
打ち拉がれて帰るルキアスの足取りは重い。
そんなルキアスが視界に収る位置をザネクは無言で歩いた。
「どうした? 問題があるのか?」
「うん。蒸気銃じゃこれ以上威力を上げられないのが判ったんだよ……」
蒸気の流路や流量を最適化することで幾らかは威力を上げられるが、それだけだ。それ以上はどう足掻いても上げられない。それでも普段使いのライフルより大幅に威力があるなら救われもするが、そこまでではなかった。普段使いの安物のライフル弾より幾らか強い程度だ。
一方、ルキアスのライフルは口径さえ合えば弾丸の種類を選ばない。限界はあるものの、弾丸を変えればもっと威力を上げられる。
実のところルキアスが普段使いにしている弾丸は弱装弾の類で、発射薬の魔石が通常品よりも大幅に少ない。弾丸の値段は使われる魔石の量に依存すると言っても過言ではないため、然程威力を必要とされない一方で収益性の悪い低階層向けに安価で使えるよう用意された品物なのだ。
標準的な魔石使用量ならこの一〇倍近い威力となるが、普段使いの弾丸より遥かに高価なためにルキアスは未だ使ったことが無く、威力がどれほど高いかを知らない。
ともあれ、蒸気銃はライフル弾と比べても将来性が全く無い。蒸気銃こそ将来性があると思っていたルキアスには大誤算だった。
「ぼくは全く無駄な事をやってたんだよ……。あー! もう!」
ルキアスは頭を掻きむしって天を仰いだ。今ばかりは自己嫌悪でどうにもやるせない。足も手も忙しなく貧乏揺すりをし、歯軋りの音も止められない。
「お、おう。まあ、そんな時もあるさ」
ザネクは腕を組んで「うんうん」と頷いた。慰めようも無いのでルキアスが時間に癒されるのを待つばかりなのだ。それからルキアスの横で片膝を突き、ルキアスの肩に手を掛けて言う。
「今日はもう帰ろうぜ」
ルキアスは頷いた。
打ち拉がれて帰るルキアスの足取りは重い。
そんなルキアスが視界に収る位置をザネクは無言で歩いた。
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