生活魔法は万能です

浜柔

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258 熱に強い材料

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 夜になり、ルキアスはベンチに座って独り考える。
 蒸気銃をどうにかする材料をタダで手に入れるには、金属なら第三階層の宝箱を拾って回る、第三階層の鉱山で採掘する、もっと深い階層の魔物を狩る、の三つがある。
 宝箱を拾うのは迂遠だ。材質を選べないし、アダマントのような希少な品なら幾つ宝箱を拾えば良いか判らない。アダマント狙いで銅に「どうだ」と言わんばかりにひょっこり顔を出されたら殺意さえ抱いてしまうだろう。
 採掘はそもそも利権関係があるようだ。勝手に採掘しようものなら後から刺されかねない。第二階層の森林もそんな感じだ。
 もっと深い階層にはそもそも行けない。深い階層に行くために必要な品を深い階層で手に入れるのが矛盾している。
 つまり買う一択なのだ。

(金属以外ならどうかな……?)

 金属以外でパッと思い付くのは木材と竹だ。しかし銃身には使えないし、断熱材としても些か頼りない。あまり高温では使えない上、焼け焦げて頻繁に替える必要がある。

(あ……、銃身より木材の焼け焦げの方が問題だった)

 思考を巡らせている間に、目先では銃身の強度より手に持っても熱くないようにする方が重要なのを思い出した。

(熱に強くて伝わりにくいもの……)

 腕組み考えてもこれと言って思い付かない。

「よう、兄弟。何を珍しく難しい顔をしてるんだ?」
「ロマさん……」

 まるで監視されてるのではと疑いたくなるタイミングだ。これはもう驚くしかない。
 しかしルキアスは出会った時からロマが誰かしらにお節介を焼いていたのを思い出し、特殊な技能でも持ってるのだろうと考える。
 ロマが隣に座って話を促すのに合わせ、事情を話した。

「実は銃をまた改造したいんだけど、熱に強い材料を思い付かなくて……」
「熱に強い? どんな感じに?」
「熱が伝わりにくくて木のように燃えたりしない感じ」
「燃えないってだけならガラスだが、割れるからな……。オークの骨はどうだ? 熱は少し伝わるが、燃えたりはしないぞ」
「骨……。なるほど……」

(ただ解体が手間だしグロテスクなんだよね……)

 そこが気乗りしない点だ。

「どうした? 骨なんてオークを丸々売った金で買えばいいだろ」

 ロマはルキアスの心を見透かしたように言った。

「でもそれって損なんじゃ?」
「肉が無駄にならないようにルキアスが解体できるなら損だろうな」

 下手な解体をしたものを持ち込むと減額、最悪は買い取り拒否になる。そうなったら丸々売って骨だけ別途買うよりも損なのだ。

「あ……、うん、無理」
「だろ?」
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