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197 向き
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ザネクは体勢が万全ならメガフロッグ二、三頭など敵にしない。僅かな時間で倒し、魔石の回収まで済ませてしまう。だから意識が向かうのは専ら『傘』だ。
「しかしどうしてだ? ルキアスの『傘』はメガフロッグの舌で壊されるようなもんでもないだろ?」
「内側を叩かれたからだよ」
ルキアスは溜め息混じりに言った。
これはルキアスの反省点だ。乗ることだけの信頼性を重視して『傘』を上に向けて差していた。これなら上で多少暴れても外側だから盾としての機能が強く働いて簡単には崩壊しない。しかしこの状態で下から攻撃を受ければ内側で受けることになり、盾としての機能があまり働かずに崩壊しやすい。
「だとしてもあっさり壊れたよな?」
ルキアスの『傘』なら内側からだったとしてもメガフロッグ一頭の攻撃くらい防げそうだ。
「衝撃が強かったから一度に攻撃されたのかも」
「そっか、それだ。確かにそんな感じだった」
ザネクが思い返せば衝撃は極々僅かな時間差で複数あったように思えた。だとするなら今回はたまたまだったかも知れない。しかし同じ事がまた起きない保証は無いし、むしろ魔物を相手にしているのだから起きると考えるべきだろう。
「ならどうする?」
「少し怖いけど、『傘』は下向けてみようか?」
「下向けるとどうなるんだ?」
「強く踏んだだけで壊れるかも」
「そりゃ怖い……」
ザネクの顔が引き攣った。
「でもそうするしかないんだろ?」
「多分……」
「じゃあ、しゃあなしだ」
ザネクの了解も得たことで、ルキアスは『傘』を下に向けて差す。そして二人で乗り込むのだが、下を向ければ真ん中が低くなっていて真ん中が高かったこれまでとは勝手が違う。勢い、ザネクがつんのめるように手を突くと、ミシッと『傘』が軋んだ。
「こえぇ……」
ザネクはルキアスが言った通りに容易に壊れそうなのを実感した。
それでもじっとしていれば大丈夫だと確信するまでにそう長くは掛からなかった。
「しかしどうしてだ? ルキアスの『傘』はメガフロッグの舌で壊されるようなもんでもないだろ?」
「内側を叩かれたからだよ」
ルキアスは溜め息混じりに言った。
これはルキアスの反省点だ。乗ることだけの信頼性を重視して『傘』を上に向けて差していた。これなら上で多少暴れても外側だから盾としての機能が強く働いて簡単には崩壊しない。しかしこの状態で下から攻撃を受ければ内側で受けることになり、盾としての機能があまり働かずに崩壊しやすい。
「だとしてもあっさり壊れたよな?」
ルキアスの『傘』なら内側からだったとしてもメガフロッグ一頭の攻撃くらい防げそうだ。
「衝撃が強かったから一度に攻撃されたのかも」
「そっか、それだ。確かにそんな感じだった」
ザネクが思い返せば衝撃は極々僅かな時間差で複数あったように思えた。だとするなら今回はたまたまだったかも知れない。しかし同じ事がまた起きない保証は無いし、むしろ魔物を相手にしているのだから起きると考えるべきだろう。
「ならどうする?」
「少し怖いけど、『傘』は下向けてみようか?」
「下向けるとどうなるんだ?」
「強く踏んだだけで壊れるかも」
「そりゃ怖い……」
ザネクの顔が引き攣った。
「でもそうするしかないんだろ?」
「多分……」
「じゃあ、しゃあなしだ」
ザネクの了解も得たことで、ルキアスは『傘』を下に向けて差す。そして二人で乗り込むのだが、下を向ければ真ん中が低くなっていて真ん中が高かったこれまでとは勝手が違う。勢い、ザネクがつんのめるように手を突くと、ミシッと『傘』が軋んだ。
「こえぇ……」
ザネクはルキアスが言った通りに容易に壊れそうなのを実感した。
それでもじっとしていれば大丈夫だと確信するまでにそう長くは掛からなかった。
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