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196 衝撃
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ちょいおこのザネクの機嫌も『傘』に乗り慣れるに順って上向いた。足下を気にせず進めるのは快適だ。緊張感から解放される。それでもクロコダイルの上を通る時ばかりは少し緊張する。ルキアスが『傘』を人の背丈程の高さに上げるので噛まれる心配は要らないが、何事にも絶対がある訳ではないのだ。
一方、ルキアスは『傘』移動の試行錯誤を繰り返す。乗っていたら普通に差すのと勝手が違う。動かせば自分も一緒に動くので加速し続ける。だからと全く動かさなかったら止まってしまう。風の影響だ。速度を維持するには風圧で減速させられる分だけ動かさなければならない。
ただどの程度動かし続ければ良いかはもう勘だ。断続的に加速と減速を繰り返しながらちょうど良い塩梅を探らなければならない。
方向転換もかなり難物。『傘』の向きが垂直のまま曲がろうとすると外側に身体を持って行かれそうになる。一度ザネクが落ちそうになったこともあって、今は慎重に動かしている。
勿論曲がる時に限らず急加速急減速は御法度だ。『傘』を上に向けて差しているため、可能な限り平面に近くしても上面は真ん中が高く周辺が低くなっている。引っ掛かる部分が無いから足を滑らせれば『傘』から容易に落ちる。元が見た目程には滑らないので乗っていられるが、状況を考えればスリリングだ。水に濡れでもしたらかなり危険だろう。
(やっぱり少し怖いな……)
万が一落ちても高度が低いため、それ自体ではそうそう死にはしないし、大きな怪我もしないだろう。しかしその先に魔物が居たり、沼だったりしたなら命の危険が飛躍的に高まる。
一度考え始めると、ついさっきまで暢気に乗っていたのが空恐ろしくなるルキアスだ。
しかし危険は別の方向からやって来た。
突然突き上げられるような衝撃を感じた瞬間、パリンと『傘』が崩壊。
「うわわっ!」
「うおっ!」
ルキアスとザネクは地面に突き落とされた。しかし落ちたのは固い地面の場所で、それぞれに受け身を取ることで事無きを得る。固い地面らしき場所を選んで進んでいたお陰だ。
しかしこれで安心する訳には行かない。何が原因で『傘』が崩壊したか。通って来た方向に目を向ける。と、メガフロッグが水の中から這い上がって来るところであった。
「どうやらあいつの舌にやられたみたいだな」
「あー……」
『傘』は内側からの衝撃に比較的弱い。内側を下に向けているのは魔物に弱点を晒していたようなものだったのだ。
一方、ルキアスは『傘』移動の試行錯誤を繰り返す。乗っていたら普通に差すのと勝手が違う。動かせば自分も一緒に動くので加速し続ける。だからと全く動かさなかったら止まってしまう。風の影響だ。速度を維持するには風圧で減速させられる分だけ動かさなければならない。
ただどの程度動かし続ければ良いかはもう勘だ。断続的に加速と減速を繰り返しながらちょうど良い塩梅を探らなければならない。
方向転換もかなり難物。『傘』の向きが垂直のまま曲がろうとすると外側に身体を持って行かれそうになる。一度ザネクが落ちそうになったこともあって、今は慎重に動かしている。
勿論曲がる時に限らず急加速急減速は御法度だ。『傘』を上に向けて差しているため、可能な限り平面に近くしても上面は真ん中が高く周辺が低くなっている。引っ掛かる部分が無いから足を滑らせれば『傘』から容易に落ちる。元が見た目程には滑らないので乗っていられるが、状況を考えればスリリングだ。水に濡れでもしたらかなり危険だろう。
(やっぱり少し怖いな……)
万が一落ちても高度が低いため、それ自体ではそうそう死にはしないし、大きな怪我もしないだろう。しかしその先に魔物が居たり、沼だったりしたなら命の危険が飛躍的に高まる。
一度考え始めると、ついさっきまで暢気に乗っていたのが空恐ろしくなるルキアスだ。
しかし危険は別の方向からやって来た。
突然突き上げられるような衝撃を感じた瞬間、パリンと『傘』が崩壊。
「うわわっ!」
「うおっ!」
ルキアスとザネクは地面に突き落とされた。しかし落ちたのは固い地面の場所で、それぞれに受け身を取ることで事無きを得る。固い地面らしき場所を選んで進んでいたお陰だ。
しかしこれで安心する訳には行かない。何が原因で『傘』が崩壊したか。通って来た方向に目を向ける。と、メガフロッグが水の中から這い上がって来るところであった。
「どうやらあいつの舌にやられたみたいだな」
「あー……」
『傘』は内側からの衝撃に比較的弱い。内側を下に向けているのは魔物に弱点を晒していたようなものだったのだ。
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