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169 キモく
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「買っちった……。うひ……、うふふ……」
ルキアスは今かなりキモくなっていた。擦れ違う人が間を空けて通り過ぎる。しかしそんなのにも気付きやしない。頭の中にあるのは早く試し撃ちすることばかりだ。幾つになっても新しいおもちゃを手にしたら試したくてしょうがないものである。
「ルキアス、キモくなってるぞ」
「ふえっ!?」
突然耳元で話し掛けられて跳び上がって後退った。振り返ればザネクが腹を抱えて笑っていた。
「ザネク! びっくりするじゃないか!」
「悪い悪い、そこまで驚くとは思わなかったもんでな」
ザネクはまだ笑っている。
「しかし何をそんなに浮かれてるんだ?」
「銃を買ったんだ」
「買った?」
「うん。ちょうどお金が出来たから」
「あ、なるほどな! でも俺はてっきりルキアスはずっと自作の銃を使うんだと思ってたぜ」
「自作の銃は緊急時に使えないからしょうがないよ」
「そっか……」
この意見にはザネクも同意せざるを得ない。だからと言って「そうだな」とも答えられないので曖昧な言い方だ。
「で、ダンジョンまで試し撃ちに行こうと思ってたところなんだ」
「え? 今からか? 一昨日のあれの影響がまだ確認されてないぜ?」
「あ! そっか……。そうだった……」
ルキアスは休むつもりだったのを浮かれて忘れてしまっていた。別にダンジョンに行ってはいけない訳ではないが、ルキアスのように浅い階層で生活している者は慌てず様子見した方が良い。その間にもっと深い階層に出入りする人が安全確認してくれる筈だ。
「まあ、射撃場に行けば撃てなくはないがな……」
「え!? そんな場所があるの?」
「ああ。ここで買った銃や弓なら試し撃ちができる。ただ入場料がなぁ」
「入場料が掛かるの? それって幾ら?」
「五〇〇ダール」
「う……」
銃を買った結果、懐に秋風が吹いているルキアスに五〇〇ダールは痛手だ。
「今日は諦めるよ」
「それがいいだろうな」
「ところでザネクはどうしてここに? さっきの口振りだとダンジョンに行くんじゃないよね?」
「ああ。俺は弓を物色にな。一昨日は飛び道具が欲しくてしょうがなかったからな」
「でも銃じゃなくて弓なんだ?」
「ロマさんかっこ良かったろ?」
「なるほど」
ルキアスは奇妙な程に得心した。
ルキアスは今かなりキモくなっていた。擦れ違う人が間を空けて通り過ぎる。しかしそんなのにも気付きやしない。頭の中にあるのは早く試し撃ちすることばかりだ。幾つになっても新しいおもちゃを手にしたら試したくてしょうがないものである。
「ルキアス、キモくなってるぞ」
「ふえっ!?」
突然耳元で話し掛けられて跳び上がって後退った。振り返ればザネクが腹を抱えて笑っていた。
「ザネク! びっくりするじゃないか!」
「悪い悪い、そこまで驚くとは思わなかったもんでな」
ザネクはまだ笑っている。
「しかし何をそんなに浮かれてるんだ?」
「銃を買ったんだ」
「買った?」
「うん。ちょうどお金が出来たから」
「あ、なるほどな! でも俺はてっきりルキアスはずっと自作の銃を使うんだと思ってたぜ」
「自作の銃は緊急時に使えないからしょうがないよ」
「そっか……」
この意見にはザネクも同意せざるを得ない。だからと言って「そうだな」とも答えられないので曖昧な言い方だ。
「で、ダンジョンまで試し撃ちに行こうと思ってたところなんだ」
「え? 今からか? 一昨日のあれの影響がまだ確認されてないぜ?」
「あ! そっか……。そうだった……」
ルキアスは休むつもりだったのを浮かれて忘れてしまっていた。別にダンジョンに行ってはいけない訳ではないが、ルキアスのように浅い階層で生活している者は慌てず様子見した方が良い。その間にもっと深い階層に出入りする人が安全確認してくれる筈だ。
「まあ、射撃場に行けば撃てなくはないがな……」
「え!? そんな場所があるの?」
「ああ。ここで買った銃や弓なら試し撃ちができる。ただ入場料がなぁ」
「入場料が掛かるの? それって幾ら?」
「五〇〇ダール」
「う……」
銃を買った結果、懐に秋風が吹いているルキアスに五〇〇ダールは痛手だ。
「今日は諦めるよ」
「それがいいだろうな」
「ところでザネクはどうしてここに? さっきの口振りだとダンジョンに行くんじゃないよね?」
「ああ。俺は弓を物色にな。一昨日は飛び道具が欲しくてしょうがなかったからな」
「でも銃じゃなくて弓なんだ?」
「ロマさんかっこ良かったろ?」
「なるほど」
ルキアスは奇妙な程に得心した。
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