生活魔法は万能です

浜柔

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157 オーク肉

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 ルキアス達は野草採取ポイントまで戻った後、最寄りの林の畔に移動して腰を落ち着けた。が、そのまま座していても状況変化を掴めない。そのためザネクが単独で螺旋回廊を望むポイントまで戻って監視を続けた。
 しかし日が暮れそうになるまで待っても、これと言った変化は現れなかった。螺旋回廊は広さが限られるため、回廊を上る魔物の数も制限されるのと同時に駆逐できる魔物の数も制限されるのも道理。解決までには些か時間が掛かりそうだ。
 日が暮れる前にザネクは皆の許まで引き上げた。

「状況は全く変わらないぜ」
「お疲れさま……ね」

 リュミアは推して知るべしの状況だからか、振り向きもせずにザネクを労った。見ているのは手許だ。

「姉ちゃんは何を作ってるんだ?」
「これはラザニア……ね」
「おおー、そいつは楽しみだ」
「こんな状況だからしっかり食べておかないと……ね」
「まったくだ」

 ザネクはにまにまと笑いながら答えた。好物らしい。
 程なくして夕食が完成する。メニューはラザニアの他、ローストオーク、オークシチュー、温野草サラダ。
 食材のオーク肉は勿論先刻リュミアが倒したものだ。ダンジョンから出られない状況のため、魔石を取り出す以外は当面の食料にする分だけ肉を切り取り、残りは放置している。これが地上であれば埋めるくらいしなければ非難されるところだが、ダンジョン内では腐敗する代わりに消滅するので問題にならない。

「あー、食った食った」

 食事中は一心不乱に食べていたザネクが腹を撫でながら独りごちる。ルキアスは人知れずホッとしたような息を吐いた。エリリースは食事中に話をするような家の生まれではなく、リュミアも口数は多くない。だからルキアスも何となく無言だったのだが、四人で食べていてそれなのが何となく居心地悪かった。

「美味しかったよね」
「リュミア姉ちゃんの料理は絶品だからな!」
「あはは……」

 ザネクは他人を褒めるのに躊躇いが無いらしい。聞いたルキアスの方が恥ずかしくなる程だった。
 ともあれ夕食を終えた今、既に辺りは暗い。早々に明日に備えて就寝だ。
 ルキアスはエリリースのためにテントを立てようとしたが、テント布に穴が空いたままだったので断念した。幸いにもリュミアが多めに毛布を所持していたのでエリリースに寒い思いをさせなくて済みそうだ。
 そして見張りだが……。

「俺達が先に見張りをするから姉ちゃん達は先に休んでくれ」

 ザネクが名乗りを上げたことで、ルキアスとザネクが先の見張り番に決定した。
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