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127 襲撃
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「『傘』!」
ルキアスは反射的に身体を捻りながら『傘』を展開した。崖から転げ落ちた時から何かと頼もしい相棒だ。そしてそれは一瞬で砕かれながらも振り下ろされた棍棒の軌道を逸らすのに成功した。
地面に叩き付けられた棍棒を前に豚面の魔物が「ブオッ?」と首を傾げる。
この大きな隙にルキアスは這々の体で距離を取る。しかしザネクとは分断されてしまった。
「ザネク!」
ルキアスはザネクを呼びつつその姿を探す。ザネクは別のオーク二頭と対峙していた。しかしルキアスにザネクを案じる余裕は無い。目前のオークが立ち去った訳ではないのだ。ザネクを確認する間にもオークは迫っていた。
銃を構え、オークに対峙する。心は怯えているが身体は動く。入院したせいで期間の半分しか受けられず、投げられるばかりになってしまった講習も度胸を付ける役には立っていたようだ。
間近に迫り、棍棒を振り上げるオークの顔目掛けて引き金を引く。バァンと音を立てて蒸気が噴き出せば、オークが「ブオオッ!」と悲鳴を上げながら手で顔を覆って悶絶した。そのオークの横を擦り抜けるようにしてザネクの方へと走る。
ザネクが対峙しているオーク達はルキアスに背を向けている。ルキアスはこれ幸いとその横を駆け抜ける。
「逃げよう!」
身振りを交えてそれだけを言い、ルキアスはザネクも通り過ぎて走る。止まれば時間も体力もロスしてしまう。
ザネクはオークが叩き付けて来る棍棒を受けた勢いも利用して踵を返し、走った。
「この後どうする!?」
ザネクの問いに、ルキアスは考える。ここのオークの足は速くない。森の中の今はルキアスの方が速い。しかしこのまま逃げて入口を抜けた先、延々と続く上り坂ならどうか。人は緩い上り坂でも駆け上がるのは酷く消耗する。ここでオークも同様だと考えるのはあまりに楽観的だろう。でなければオークを引いたままで探索者がダンジョンから逃げ出すことも無い筈だ。
(しかしオークはしつこい!)
足は遅くともいつまでも追って来る。ザネクと対峙していた二頭だけでなく、その後にはルキアスが蒸気を浴びせ掛けた一頭も続いている。逃げるだけではダンジョンの外に連れ出すだけだ。ダンジョンタワーの防衛機構の誤動作がまた起きるとは限らないが、ルキアスとしてはそうなる可能性を避けたい。
だから結論付ける。
「迎撃しよう!」
「おう! いっちょやるか!」
ザネクは待ってましたとばかりに軽快な返事をした。
ルキアスは反射的に身体を捻りながら『傘』を展開した。崖から転げ落ちた時から何かと頼もしい相棒だ。そしてそれは一瞬で砕かれながらも振り下ろされた棍棒の軌道を逸らすのに成功した。
地面に叩き付けられた棍棒を前に豚面の魔物が「ブオッ?」と首を傾げる。
この大きな隙にルキアスは這々の体で距離を取る。しかしザネクとは分断されてしまった。
「ザネク!」
ルキアスはザネクを呼びつつその姿を探す。ザネクは別のオーク二頭と対峙していた。しかしルキアスにザネクを案じる余裕は無い。目前のオークが立ち去った訳ではないのだ。ザネクを確認する間にもオークは迫っていた。
銃を構え、オークに対峙する。心は怯えているが身体は動く。入院したせいで期間の半分しか受けられず、投げられるばかりになってしまった講習も度胸を付ける役には立っていたようだ。
間近に迫り、棍棒を振り上げるオークの顔目掛けて引き金を引く。バァンと音を立てて蒸気が噴き出せば、オークが「ブオオッ!」と悲鳴を上げながら手で顔を覆って悶絶した。そのオークの横を擦り抜けるようにしてザネクの方へと走る。
ザネクが対峙しているオーク達はルキアスに背を向けている。ルキアスはこれ幸いとその横を駆け抜ける。
「逃げよう!」
身振りを交えてそれだけを言い、ルキアスはザネクも通り過ぎて走る。止まれば時間も体力もロスしてしまう。
ザネクはオークが叩き付けて来る棍棒を受けた勢いも利用して踵を返し、走った。
「この後どうする!?」
ザネクの問いに、ルキアスは考える。ここのオークの足は速くない。森の中の今はルキアスの方が速い。しかしこのまま逃げて入口を抜けた先、延々と続く上り坂ならどうか。人は緩い上り坂でも駆け上がるのは酷く消耗する。ここでオークも同様だと考えるのはあまりに楽観的だろう。でなければオークを引いたままで探索者がダンジョンから逃げ出すことも無い筈だ。
(しかしオークはしつこい!)
足は遅くともいつまでも追って来る。ザネクと対峙していた二頭だけでなく、その後にはルキアスが蒸気を浴びせ掛けた一頭も続いている。逃げるだけではダンジョンの外に連れ出すだけだ。ダンジョンタワーの防衛機構の誤動作がまた起きるとは限らないが、ルキアスとしてはそうなる可能性を避けたい。
だから結論付ける。
「迎撃しよう!」
「おう! いっちょやるか!」
ザネクは待ってましたとばかりに軽快な返事をした。
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