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118 理由
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ロマは答えを迷わなかった。予め用意していたかのように。
「女に振り向いて貰うためだ」
「え!?」
ルキアスの予想より俗物的だった。
「志が低すぎてびっくりしたろ?」
「その……」
ルキアスはどう返事をして良いか判らなかった。
「でも大抵の奴は似たようなもんだ。腕試しだったり、金を稼ぐためだったりだからな。大した志でもないだろ?
だがそんな他人から見れば取るに足らない理由でも本人にとっては深刻なものだ。だから真剣に取り組む」
「なるほど……」
やっぱりどう答えて良いか判らなかった。理解が及ばないのが主たる理由だ。
「だからルキアスもエリリースだっけ? あのコの気を惹くためだって構わないんだぞ?」
「ふあっ!」
頓狂な声を上げてしまったルキアスは「うー、あー」と唸りながら考える。しかしエリリースと共に歩む未来は思い描けない。
「……その、住む世界が違いすぎて」
冷静に考えれば考えるほど遠くなる一方だ。今のルキアスはどうにか食い繋ぐ生活で、誰かを支えるなんてできそうにない。支えられてばっかりの未来を考えるのは些か落ち着かない。
「なるほどな」
ロマはうんうんと頷いた。
「そこで諦めちゃってるんだな。それなら探索を進めることにも真剣になれなくて当然だ。むしろ諦める理由になって都合がいい」
探索が上手く行って下手に大金でも手に入れてしまえば諦めきれなくなりかねない。それなら何も持たず、「何も持たないから相手に相応しくない」と言う理由を手にした方が諦めやすい。
そんな事をルキアスが考えて行動している筈もないが、無意識にそんな振る舞いになっていると推察される。
「でもそれも構わないと思うぞ? 必死にアピールしたからって努力が実を結ぶ保証は無いからな。結ばない方が多いだろうしな」
「んんー?」
ルキアスはロマの話を聞きながら唸るばかりだ。間違って無さそうなのに非常に受け入れがたい。
ロマはそんなルキアスの心の動きに気付いてか、更に追い込むような言葉は続けなかった。
「俺もまあ結ばなかった口でな。
しっかし今にして思えば酷い女でよ。こっちは必死にアピールしてるってのに知らん顔だし、いつの間にかどこの馬の骨とも判らない野郎と付き合いだしたかと思ったら結婚してどっかに行くんだぜ?
かと思ったら何年もしてガキ連れてふらっと戻って来るわ、おまけに年下の男に懸想するわで、何考えてやがるやらだぜ」
「あ、え、それってもしかして……」
ルキアスはある人物を思い描いた。
「あら、ルキアスちゃんじゃないの! 何をロマなんかと難しい顔して向き合ってるの?」
「ん!」
ルキアスが振り向けば、思い描いた人物がそこに居た。
「女に振り向いて貰うためだ」
「え!?」
ルキアスの予想より俗物的だった。
「志が低すぎてびっくりしたろ?」
「その……」
ルキアスはどう返事をして良いか判らなかった。
「でも大抵の奴は似たようなもんだ。腕試しだったり、金を稼ぐためだったりだからな。大した志でもないだろ?
だがそんな他人から見れば取るに足らない理由でも本人にとっては深刻なものだ。だから真剣に取り組む」
「なるほど……」
やっぱりどう答えて良いか判らなかった。理解が及ばないのが主たる理由だ。
「だからルキアスもエリリースだっけ? あのコの気を惹くためだって構わないんだぞ?」
「ふあっ!」
頓狂な声を上げてしまったルキアスは「うー、あー」と唸りながら考える。しかしエリリースと共に歩む未来は思い描けない。
「……その、住む世界が違いすぎて」
冷静に考えれば考えるほど遠くなる一方だ。今のルキアスはどうにか食い繋ぐ生活で、誰かを支えるなんてできそうにない。支えられてばっかりの未来を考えるのは些か落ち着かない。
「なるほどな」
ロマはうんうんと頷いた。
「そこで諦めちゃってるんだな。それなら探索を進めることにも真剣になれなくて当然だ。むしろ諦める理由になって都合がいい」
探索が上手く行って下手に大金でも手に入れてしまえば諦めきれなくなりかねない。それなら何も持たず、「何も持たないから相手に相応しくない」と言う理由を手にした方が諦めやすい。
そんな事をルキアスが考えて行動している筈もないが、無意識にそんな振る舞いになっていると推察される。
「でもそれも構わないと思うぞ? 必死にアピールしたからって努力が実を結ぶ保証は無いからな。結ばない方が多いだろうしな」
「んんー?」
ルキアスはロマの話を聞きながら唸るばかりだ。間違って無さそうなのに非常に受け入れがたい。
ロマはそんなルキアスの心の動きに気付いてか、更に追い込むような言葉は続けなかった。
「俺もまあ結ばなかった口でな。
しっかし今にして思えば酷い女でよ。こっちは必死にアピールしてるってのに知らん顔だし、いつの間にかどこの馬の骨とも判らない野郎と付き合いだしたかと思ったら結婚してどっかに行くんだぜ?
かと思ったら何年もしてガキ連れてふらっと戻って来るわ、おまけに年下の男に懸想するわで、何考えてやがるやらだぜ」
「あ、え、それってもしかして……」
ルキアスはある人物を思い描いた。
「あら、ルキアスちゃんじゃないの! 何をロマなんかと難しい顔して向き合ってるの?」
「ん!」
ルキアスが振り向けば、思い描いた人物がそこに居た。
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