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74 蒸気の流れ
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生存術の講習を終えて昼食を摂った後、ルキアスは簡易宿泊所に籠もって銃作成の続きだ。昨日は実験を全くできなかったこともあって、先にある程度銃の形を作ってから纏めて実験をしようと考えた。
蒸気を発生させるタンクと蒸気の噴出口に栓をする鉄棒までは出来ているので、その鉄棒を保持するストッパーとそのストッパーを引き金で外す機構が目下の課題だ。
栓の鉄棒は何らかの形で支持して前後に動くようにし、その鉄棒をタンクに押し込んだ状態でストッパーを掛ける。引き金を引いたらストッパーが外れて蒸気圧で栓が押し出されると同時に蒸気も一気に噴き出す構造となる。
作ろうとしている銃は蒸気圧を使うこともあって片手に持てるような小型化はできない。必然的に片腕を伸ばしたくらいの長さにはなる。左手で支えて右手で引き金を引くとすれば、軽く曲げて前に伸ばした左手付近にタンクを設け、引き金をそのままストッパーに直結するのが最も構造が簡単そうだ。
しかしこの場合、前後に動く鉄棒を支持する部分に気密性があまり期待できない。そこまでの工作精度が出せないからだ。それでは引き金を単純にストッパーにしたのでは噴き出した蒸気が隙間を通って手に当たって火傷してしまいかねない。
(蒸気が手に全く来ないに越したことはないんだけどね……)
蒸気が隙間を通って手の方に来てしまうと言うことは、弾丸を飛ばす力がその分だけ損なわれることも意味する。安全と威力を向上させるには高い工作精度が要求される。しかし無い物ねだりをしていても始まらない。
少しでも工作精度を求められないように、栓の鉄棒は二枚の穴の空いた鉄板で支える。筒では工作難度が上がるからだ。鉄棒の下側にはストッパーを引っ掛けるための出っ張りを設ける。こうすればストッパーを引っ掛けた時に鉄棒が上に押し付けられるので、穴の位置合わせも上部だけしっかりやれば済む。但し穴の上部にばかり負荷が掛かることにもなるので、そこは鉄板を厚くして補強する。
蒸気を銃身へと導くのはタンクから見て鉄棒を支持する一枚目の鉄板の手前からだ。そこに蒸気を上部へと送る通路を作る。一枚目から二枚目の鉄板の方へと漏れる蒸気は右上へと逃がすように通路を作る。必然的に鉄棒を支える部分は箱状になる。
(しかしまだ不安だな……)
タンクから引き金までの距離は短い。勢いよく噴き出した蒸気は一瞬で手許まで来てしまう。
(何か障害物が在れば……。あ、羽根を付けよう)
ルキアスは内心で呟きながら閃いた。
二枚の鉄板に挟まれた部分で鉄棒に羽根を付ければ、蒸気が直接二枚目の鉄板まで吹き抜けることは無いのだ。
蒸気を発生させるタンクと蒸気の噴出口に栓をする鉄棒までは出来ているので、その鉄棒を保持するストッパーとそのストッパーを引き金で外す機構が目下の課題だ。
栓の鉄棒は何らかの形で支持して前後に動くようにし、その鉄棒をタンクに押し込んだ状態でストッパーを掛ける。引き金を引いたらストッパーが外れて蒸気圧で栓が押し出されると同時に蒸気も一気に噴き出す構造となる。
作ろうとしている銃は蒸気圧を使うこともあって片手に持てるような小型化はできない。必然的に片腕を伸ばしたくらいの長さにはなる。左手で支えて右手で引き金を引くとすれば、軽く曲げて前に伸ばした左手付近にタンクを設け、引き金をそのままストッパーに直結するのが最も構造が簡単そうだ。
しかしこの場合、前後に動く鉄棒を支持する部分に気密性があまり期待できない。そこまでの工作精度が出せないからだ。それでは引き金を単純にストッパーにしたのでは噴き出した蒸気が隙間を通って手に当たって火傷してしまいかねない。
(蒸気が手に全く来ないに越したことはないんだけどね……)
蒸気が隙間を通って手の方に来てしまうと言うことは、弾丸を飛ばす力がその分だけ損なわれることも意味する。安全と威力を向上させるには高い工作精度が要求される。しかし無い物ねだりをしていても始まらない。
少しでも工作精度を求められないように、栓の鉄棒は二枚の穴の空いた鉄板で支える。筒では工作難度が上がるからだ。鉄棒の下側にはストッパーを引っ掛けるための出っ張りを設ける。こうすればストッパーを引っ掛けた時に鉄棒が上に押し付けられるので、穴の位置合わせも上部だけしっかりやれば済む。但し穴の上部にばかり負荷が掛かることにもなるので、そこは鉄板を厚くして補強する。
蒸気を銃身へと導くのはタンクから見て鉄棒を支持する一枚目の鉄板の手前からだ。そこに蒸気を上部へと送る通路を作る。一枚目から二枚目の鉄板の方へと漏れる蒸気は右上へと逃がすように通路を作る。必然的に鉄棒を支える部分は箱状になる。
(しかしまだ不安だな……)
タンクから引き金までの距離は短い。勢いよく噴き出した蒸気は一瞬で手許まで来てしまう。
(何か障害物が在れば……。あ、羽根を付けよう)
ルキアスは内心で呟きながら閃いた。
二枚の鉄板に挟まれた部分で鉄棒に羽根を付ければ、蒸気が直接二枚目の鉄板まで吹き抜けることは無いのだ。
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