70 / 627
70 ダンジョン
しおりを挟む
ルキアスは体術講習を終えた後、昼食を摂ってからダンジョンへと向かった。早く雰囲気を味わいたいのも勿論あるが、作成中の銃のテストは不用意な場所ではできない。ダンジョンでなら安心してテストできる場所もあるだろうと見込んでのことだ。
ダンジョンの入口を監視している兵士は居ても検問はしていない。ルキアスはノーチェックでダンジョンの入口を潜った。
天井全体が光っていて明るい回廊は人が横に二〇人、縦に三人は並べる広さでゆっくりと螺旋を描いて下っている。
(逆に見たらこの大きさの魔物が出て来る可能性があるってこと!?)
ルキアスは少し怖い考えになった。
螺旋の回廊を歩くこと十分余り。時間が中途半端なためか人通りは少ない。三周回ったところに踊り場が在り、左の開口部へと曲がっている。そこを出れば第一階層だ。
(広っ)
外に出たルキアスは広さに圧倒された。見渡す限りの草原。果てが見えない。一体どこまで続くか想像も付かない。天井も青く光って地上の空との区別が付かない。ここが地上のどこかだと言われれば信じてしまうだろう。いや、『転移』や『転送』が存在するのだから螺旋の回廊がどこか遠くへ転移する門だと言われた方が容易に信じてしまえる。
後を振り返れば螺旋の回廊全体を包み込む巨大な柱が立っている。同様の巨大な柱は少し離れた場所にも在る。第二階層へと向かう螺旋の回廊が在る柱だ。
この柱が在るお陰で天井の高さも推測できる。天井の高さは天井だけを見たのでは光っていて判然としないが、回廊の柱が途切れている場所を見れば螺旋を二周したほどの高さである。
しかしこうもだだっ広ければ何の取っ掛かりも掴めない。
(えっと、どこに行けば……)
周囲に人影も無ければ魔物の姿も無い。いきなり襲われたりしないのは安心材料だが、右も左も判らないのも困る。
ルキアスはここに来て改めて自分が何も知らないことを思い知らされた。まだまだ手探りの状態だ。
(地図は欲しい)
第一階層の回廊の近辺くらいは地図があってもおかしくはない。
(でも買わないといけないんだろうな……)
ネックになるのは結局そこだ。お金が無いから準備が滞る。準備ができていないから稼ぐことができない。
(後で地下一階を探してみるか……。どうせ何を売っているのか見て回らないといけないし。それで駄目なら誰かに聞いてみよう)
後でする事は決めた。しかしここに来た目的は銃の作成の続きなのだ。回廊の柱から離れなければ大丈夫だろうと、回廊への入口の正面は避けて離れた場所に陣取った。
ダンジョンの入口を監視している兵士は居ても検問はしていない。ルキアスはノーチェックでダンジョンの入口を潜った。
天井全体が光っていて明るい回廊は人が横に二〇人、縦に三人は並べる広さでゆっくりと螺旋を描いて下っている。
(逆に見たらこの大きさの魔物が出て来る可能性があるってこと!?)
ルキアスは少し怖い考えになった。
螺旋の回廊を歩くこと十分余り。時間が中途半端なためか人通りは少ない。三周回ったところに踊り場が在り、左の開口部へと曲がっている。そこを出れば第一階層だ。
(広っ)
外に出たルキアスは広さに圧倒された。見渡す限りの草原。果てが見えない。一体どこまで続くか想像も付かない。天井も青く光って地上の空との区別が付かない。ここが地上のどこかだと言われれば信じてしまうだろう。いや、『転移』や『転送』が存在するのだから螺旋の回廊がどこか遠くへ転移する門だと言われた方が容易に信じてしまえる。
後を振り返れば螺旋の回廊全体を包み込む巨大な柱が立っている。同様の巨大な柱は少し離れた場所にも在る。第二階層へと向かう螺旋の回廊が在る柱だ。
この柱が在るお陰で天井の高さも推測できる。天井の高さは天井だけを見たのでは光っていて判然としないが、回廊の柱が途切れている場所を見れば螺旋を二周したほどの高さである。
しかしこうもだだっ広ければ何の取っ掛かりも掴めない。
(えっと、どこに行けば……)
周囲に人影も無ければ魔物の姿も無い。いきなり襲われたりしないのは安心材料だが、右も左も判らないのも困る。
ルキアスはここに来て改めて自分が何も知らないことを思い知らされた。まだまだ手探りの状態だ。
(地図は欲しい)
第一階層の回廊の近辺くらいは地図があってもおかしくはない。
(でも買わないといけないんだろうな……)
ネックになるのは結局そこだ。お金が無いから準備が滞る。準備ができていないから稼ぐことができない。
(後で地下一階を探してみるか……。どうせ何を売っているのか見て回らないといけないし。それで駄目なら誰かに聞いてみよう)
後でする事は決めた。しかしここに来た目的は銃の作成の続きなのだ。回廊の柱から離れなければ大丈夫だろうと、回廊への入口の正面は避けて離れた場所に陣取った。
53
お気に入りに追加
980
あなたにおすすめの小説

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

忠犬ポチは、異世界でもお手伝いを頑張ります!
藤なごみ
ファンタジー
私はポチ。前世は豆柴の女の子。
前世でご主人様のりっちゃんを悪い大きな犬から守ったんだけど、その時に犬に噛まれて死んじゃったんだ。
でもとってもいい事をしたって言うから、神様が新しい世界で生まれ変わらせてくれるんだって。
新しい世界では、ポチは犬人間になっちゃって孤児院って所でみんなと一緒に暮らすんだけど、孤児院は将来の為にみんな色々なお手伝いをするんだって。
ポチ、色々な人のお手伝いをするのが大好きだから、頑張ってお手伝いをしてみんなの役に立つんだ。
りっちゃんに会えないのは寂しいけど、頑張って新しい世界でご主人様を見つけるよ。
……でも、いつかはりっちゃんに会いたいなあ。
※カクヨム様、アルファポリス様にも投稿しています

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~
九頭七尾
ファンタジー
子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。
女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。
「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」
「その願い叶えて差し上げましょう!」
「えっ、いいの?」
転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。
「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」
思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる