生活魔法は万能です

浜柔

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40 気が重い

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 ルキアスは翌日になって頭を抱えた。思い返せばやらかした感が酷いのだ。

(神と名乗った女の子の誘いに乗ったのはやっぱり間違いだったんじゃ……)

 頭から追い払ってもまた浮かんで来るのがこれだ。その場の同情心だか義侠心だか自身でもよく判らない衝動で乗ってしまったものの、世界がどうのともなると話が大きすぎる。言葉の通りならルキアスの手に負えるようなものではないし、そうでなければ怪しげでとんでもない事態が待ち受けていることだろう。

(あのヨーコの雰囲気だと妄想に取り憑かれてるくらいにしか思えないけど……。
 消えたもんなぁ……)

 単なる妄想少女なら問題は無かった。その場で話を合わせるだけだ。旅の途中のルキアスのこと、一度別れてしまえば後腐れも無い筈あった。
 だが、少女が消えた以上、少なくとも『転移』かそれに相当する天職持ちなのは確実だ。『天職無し』のルキアスはついて行けそうになく、また追い掛けて来られれば逃げようが無い。

 どうしてヨーコを放っておけないと思ってしまったか。メイナーダとユアを半ば見捨てて逃げるようにしてしまったのが尾を引いたのかも知れない。他人を見捨てることに後ろめたさのようなものが有ったと考えられる。いや、それとも狼に襲われそうなところを助けて貰ったことの方だろうか。ヨーコに巻き込まれそうな人を助けたい気持ちが有ったとも考えられる。
 後になって「あの時どう思ってたか」など、そうそう思い出せるものでもないのでルキアス自身もはっきりとしない。
 そしてはっきりしない事でまたもやもやしてしまう悪循環だ。
 加えて、ヨーコに「ベクロテのダンジョンに来い」と言われたことも気を重くする。

(それでもベクロテに行くしかないんだよね……)

 そう、この点に関してルキアスに選択肢は無い。

「あーっ! もう!」

 パンパンと顔を叩いて気合いを入れる。成り行き任せ、出たとこ勝負、この件ばかりはそんな風にしかできないのだからと、ルキアスはなけなしの覚悟を決めた。
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