失声の歌

涼雅

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伝えたいこと

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「…好きなんだ、君のことが。」

信じてもらえるか、わかんないけど。

そう言いながら彼は布を解いた

それから身を顕にしたのは、ボロボロになった、俺のスケッチブック

「ずっと、君の言葉に救われてきた

 君は俺の歌に救われたって言ってくれたけど、きっと俺は、それよりもずっと多く、救われてきたんだ」

彼は割れ物を扱うかのような繊細な手つきで、いつかの、俺が見捨てた紙の束を俺に差し出した

目の前の彼は、何を思ってこのスケッチブックを渡してくれているのだろう

「明日も、来て欲しい

 君のために歌う。

 心を込めて、歌うから」

強い眼差しと、彼の決意に頷く

差し出されたスケッチブックを受け取ると、彼は寂しそうに微笑んだ

「もうそろそろ、時間だね

 明日で3日目。

 待ってるから」

ばいばい、も

さよなら、も

またね、も

互いに何も言わず、その場を立ち去った
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