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機嫌
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チャイムが鳴り響く教室
ぬるっとはじまる授業
隣でちょっかいをかけてくる友人
こちらをちらちらと見てくる女の子たち
注意する先生
つまらない課題
ぼーっとしていればすぐに終わる授業。
嫌いな訳じゃないけれど、時々集まる視線に居心地の悪さを感じる
「ねぇ、明…」
「ん?どしたん?」
「なんかさぁ…授業中に視線、感じない…?」
「んー…あんま感じやんなぁ」
「そう…」
あまり芳しくない返答に気の所為かなぁと結論付ける
「この話題はおわり。」というかのように彼はシャーペンを持って、ノートにシャカシャカと何かを描き始める
彼の横顔を何気なくじーっと見つめる
無造作にいじられた髪
横からでもわかる真ん丸な目
マスクで覆われた顔半分
たったこれだけの情報なのに彼がなかなかのイケメンだとわかるのはこの教室にいる誰もがわかっているだろう
顔半分隠れていると、自分の好みの顔と無意識に組み合わせて見るからイケメンと認識する。ってどこかで聞いたことあるけど。
まあ、マスク外してもイケメンなんだけどね。
「見てこれ!」
イケメンという生き物に はぁ、と溜息をついていると、いきなりバッとノートを見せびらかしてくる彼
予想外の行動と声の大きさに思わず肩をびくりと震わせた
「びっくりした…なになに…」
「俺の描いた舞桜!」
あんまり大きな声で僕の名前を呼ばないで。そう言いそうになるけれど、わざわざ注意するのもなぁ…と言葉を詰まらせた
大きい声で名前を呼ぶのに抵抗はあるけれど、明には名前を呼ばれたいから。
「……………これ僕?」
そこにはなんともリアルに描かれている白髪の長身の男
本当はホワイトベージュに染めた髪だけど、シャーペンの黒と紙の白で色まで再現することは出来ない
だから必然的に白髪になった絵の中の僕。
服のシワまでも細かく描かれたそれはリアルすぎてちょっと怖いというかなんというか…
「そう!ちゃんと今日の服装にしたんやで、忠実に再現されとるやろ?!」
キラキラとした目で「上手いでしょ!」と迫り来る友人
…ごめん、上手いとは言えないかも
「と、特徴的で個性溢れる素敵な絵だと思いマス…」
末っ子気質の可愛い彼が一生懸命描いた僕の絵を批判することなんてできないだろ?!?!
「え、なんでそんな気まずそうなん」
自分の語彙力を最大限に使った褒め言葉は彼には届かなかったようだ
「なんだよもー…頑張って描いたのになぁ…」
いじける彼は描いた絵をヒラヒラと摘んだ
そうなったら最後。
なかなか彼の機嫌は直らない
全くもー、世話が焼けるなぁ
苦笑しつつ、彼の耳元でそっと囁いた
「…渉さん、今日来るって。」
ぴくりと震える明の肩
「…ほんまに?」
教室に行くまでの道のりで小耳に挟んだ不確定な情報だが、ここは本当だと言っておこう
今日来なくても呼び出せばいいか。
渉さんには苦労をかけます。
「ほんとほんと。」
にやりと笑えばじわじわと笑顔になっていく明の顔
「やっばぁ!!!めっちゃ久しぶりに会うやん!何話そかなぁ~!」
先程とは打って変わったテンションに少し、羨ましさを感じた
…純粋だなぁ
それからはことある事に「渉さんが」「渉さんにな」「渉さん」と、変わらぬ5文字を言われ続けた
ぬるっとはじまる授業
隣でちょっかいをかけてくる友人
こちらをちらちらと見てくる女の子たち
注意する先生
つまらない課題
ぼーっとしていればすぐに終わる授業。
嫌いな訳じゃないけれど、時々集まる視線に居心地の悪さを感じる
「ねぇ、明…」
「ん?どしたん?」
「なんかさぁ…授業中に視線、感じない…?」
「んー…あんま感じやんなぁ」
「そう…」
あまり芳しくない返答に気の所為かなぁと結論付ける
「この話題はおわり。」というかのように彼はシャーペンを持って、ノートにシャカシャカと何かを描き始める
彼の横顔を何気なくじーっと見つめる
無造作にいじられた髪
横からでもわかる真ん丸な目
マスクで覆われた顔半分
たったこれだけの情報なのに彼がなかなかのイケメンだとわかるのはこの教室にいる誰もがわかっているだろう
顔半分隠れていると、自分の好みの顔と無意識に組み合わせて見るからイケメンと認識する。ってどこかで聞いたことあるけど。
まあ、マスク外してもイケメンなんだけどね。
「見てこれ!」
イケメンという生き物に はぁ、と溜息をついていると、いきなりバッとノートを見せびらかしてくる彼
予想外の行動と声の大きさに思わず肩をびくりと震わせた
「びっくりした…なになに…」
「俺の描いた舞桜!」
あんまり大きな声で僕の名前を呼ばないで。そう言いそうになるけれど、わざわざ注意するのもなぁ…と言葉を詰まらせた
大きい声で名前を呼ぶのに抵抗はあるけれど、明には名前を呼ばれたいから。
「……………これ僕?」
そこにはなんともリアルに描かれている白髪の長身の男
本当はホワイトベージュに染めた髪だけど、シャーペンの黒と紙の白で色まで再現することは出来ない
だから必然的に白髪になった絵の中の僕。
服のシワまでも細かく描かれたそれはリアルすぎてちょっと怖いというかなんというか…
「そう!ちゃんと今日の服装にしたんやで、忠実に再現されとるやろ?!」
キラキラとした目で「上手いでしょ!」と迫り来る友人
…ごめん、上手いとは言えないかも
「と、特徴的で個性溢れる素敵な絵だと思いマス…」
末っ子気質の可愛い彼が一生懸命描いた僕の絵を批判することなんてできないだろ?!?!
「え、なんでそんな気まずそうなん」
自分の語彙力を最大限に使った褒め言葉は彼には届かなかったようだ
「なんだよもー…頑張って描いたのになぁ…」
いじける彼は描いた絵をヒラヒラと摘んだ
そうなったら最後。
なかなか彼の機嫌は直らない
全くもー、世話が焼けるなぁ
苦笑しつつ、彼の耳元でそっと囁いた
「…渉さん、今日来るって。」
ぴくりと震える明の肩
「…ほんまに?」
教室に行くまでの道のりで小耳に挟んだ不確定な情報だが、ここは本当だと言っておこう
今日来なくても呼び出せばいいか。
渉さんには苦労をかけます。
「ほんとほんと。」
にやりと笑えばじわじわと笑顔になっていく明の顔
「やっばぁ!!!めっちゃ久しぶりに会うやん!何話そかなぁ~!」
先程とは打って変わったテンションに少し、羨ましさを感じた
…純粋だなぁ
それからはことある事に「渉さんが」「渉さんにな」「渉さん」と、変わらぬ5文字を言われ続けた
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