普通を貴方へ

涼雅

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お昼

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この前と同じオープンカフェで、注文を決める

お昼の時間帯よりも少し早めに着いたため、お店は空いていた

すんなり席に通された

この前と同じく、向き合うような2人席

1枚のメニュー表を2人で覗き込むように見合って、普通ではここまで近づくことの無い距離感に動揺してしまう

時々頭と頭が触れ合い、その度にびくりと反応してしまった

過剰反応ということを自覚しつつなんとかメニューに集中していると

「舞桜くん、決まった?」

上目遣いで僕を見上げる雅空さん

それにドギマギしつつ改めてメニュー表に目を通す

サッと食べられるものがいいなぁ

「雅空さんは決まりましたか?」

「あぁ、俺はね、これにしようかなって。」

細い指がそっと指したのはフライドチキンハンバーガーセット。

…細身のわりに食は太いのかと驚かされる

「結構ガッツリいくんですね」

何気なくそう言うと少し頬を赤らめた彼はなんとも可愛らしいことを言った

「……舞桜くんとのお昼楽しみで、朝抜いてきたからお腹減ってるの」

つまり、お昼ご飯のためだけに朝ごはんを我慢し、少しでも長く一緒にいようと多く食べようとしていたらしい。

なにそれ、可愛すぎませんか??

「そ、うなんですか…」

「…お腹空いてるんだから早く選んで」

つっけんどんな返しに思わず頬を緩める

「よし、僕も決まりました」

メニューを端に置き、店員さんを呼んで注文を頼んだ

しばらく経った後、僕の頼んだピザトーストが。その後に雅空さんのフライドチキンハンバーガーセットが前へと置かれた

挨拶をハモらせてから目の前の食事にありつく

「ん、美味し…」

不意にそう言葉を漏らす彼は食べるスピードが早いのか、もうハンバーガーを半分も食べ終えていた

もぐもぐと口を動かし、目の前のご飯に集中する彼の姿は見ていて飽きない

むしろ、もっとご飯を与えたくなるような…小動物のような可愛らしさを感じさせる

「食べるの早いですね」

微かな笑みを零しながらそう呟くと彼は開いた口を閉じた

「…いっぱい話そうと思ってたんだけど…忘れてた」

空腹には勝てなかった、と朝ごはんを我慢したことを少し後悔しているようだ

彼は、目の前の半分無くなったハンバーガーを恨めしそうに見つめている

もう少しだけでも、一緒に居たい

「このあと、時間ありますか?」

ここではそう長居できない。

時間さえあれば、この後も一緒にいられると思った

お腹が空いているのに、わざわざ食べるスピードを落とす必要も無いだろうし。

彼が良ければご飯を食べた後にでも、また他の喫茶店だとか、少し歩くけれど僕の家で話すことも可能だろう

「このあとは何も無いけど…舞桜くんは平気?寝不足じゃない?」

「寝不足って…雅空さんが言っちゃうんですか?」

予期せぬお揃いの黒を見つめながらそう言えば「たしかに…」と言葉を止める

「僕は全然平気ですよ」

「俺もこのあとは特に用事ないよ」

首を傾げながら優しく笑う彼

「じゃあ、このあと喫茶店に行きませんか?

 雅空さんともっと話したいし…どうでしょう……?」

勢いで時間があるか確認したが、彼がまだ自分と話したいと思っているかは分からない

不安になって語尾が消えていく

しかし、それも杞憂だったようで目の前の彼は「俺も話したいことある」と微笑んでくれた


ご飯を食べ終えた後に、近くの喫茶店へと移動することになった
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