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【番外編&after story】
【季節ネタSS】たまにはこんなクリスマスを≪後編≫
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※前編の続き。リリアやムサシの場合からお楽しみください。
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◆◇ <リリアやムサシの場合>
「セイ、いつものばしょが、いいの」
「あれ?ボクを悩殺してくれる可愛い服は良いの?」
「のーさつは、まだはやいんでしょ?できるようになったら、してあげるのよ!」
「ふふ☆それは楽しみだ♪じゃ、今日も一緒にあの場所で過ごそうね☆」
現時点でセイルの悩殺を諦めたリリアは、セイルといつも通り過ごす時間を希望した。
ちょっと安心したけど、これから先を考えると正直安心して良いかは不明である。
リリアやセイルが”いつもの場所”と言っているのは、帰らずの森の中にあるとある場所。
樹齢何年かは忘れたと言っていたけど、大木の中にちょっとした小部屋みたいになっている樹洞があり、そこにエルおススメの布団を敷き詰めたセイルの隠れ家兼お昼寝スポット。
そして、リナリアさんと過ごした思い出のある、セイルにとっての特別な場所だ。
セイルは、リリアといると“リアと一緒にいるような不思議な感覚になる”と言って、リリアを特に可愛がってくれている。
それが本当かどうかはわからないけど、その話をする時のセイルがすごく幸せそうなので、あたしとしては本当にそうだったら素敵だなと密かに思っている。
・・・もちろん、エルにそんなことは言えないけどね。
いつもの場所、いつもの定位置であるセイルの腕に包まれて、リリアは今にもお昼寝しそうな感じでうとうとし始める。
いつもならこのまま見守るセイルだけど、今日は少しだけ違うみたいだ。
「・・・リア、あのね、お昼寝する前に、連れていきたい場所があるんだけど、良いかな?」
「んみゅ・・・ちゅれて、いきたい、ばしょ・・・?」
もはや半分夢の中ではないかというリリアだけど、「セイのいきたいばしょ、いくの」と言って、眠りに落ちないよう自らの目を擦り始めた。
「リア、そんなに目を擦ったらダメだよ。すぐに移動するから。リアに一瞬だけでも見て欲しい景色があるんだ」
今にも眠りに落ちてしまいそうなリリアを抱き上げ、すぐに転移魔法で移動したセイル。
一瞬で辿り着いたのは、辺り一面真っ白な花に囲まれたお花畑だった。
「!!・・・ふわぁ・・・きれーなの!!まっしろなの!!」
青空の下、心地よい風が吹き抜け、白い花びらが時には宙を舞う。
ここに咲いているのは、真っ白なリナリアの花。
セイルが妖精さんにお願いして作ってもらい、完成したばかりの2つ目の特別な場所だった。
「ここに咲いているのは、リナリア・・・ボクがかつてとても大切にしていた子と同じ名前の花なんだ」
「セイが、たいせつに・・・?」
「そう。キミの誕生日にも毎年あげてる花なんだけど、すごく嬉しそうな顔をするから、ボクまで嬉しくなっちゃって☆懇意にしてる妖精にお願いしたら、この辺り一面にこの花を咲かせてくれたんだ♪」
自分にとって大切なセイルが、かつて大切にしていた人。
リリアがそれをちゃんと理解するには、年齢的に難しいだろう。
だけどリリアは、一度閉じた瞳をゆっくり開けてから、セイルに向き合ってこう言った。
「ありがとう、セイ。すごく、すごく嬉しい・・・!」
「!!!」
少しだけ涙ぐんでいるけど、心から嬉しいと感じているのがわかるリリアの笑顔。
それがリリアなのか、リリアの中に存在するリナリアさんなのか、そしてセイルにはどのように見えているのか・・・
セイルは嬉しそうに、そして優しくリリアを抱きしめる。
そんな二人をあたたかく歓迎するかのように、真っ白いリナリアの花弁が二人を包み込んでいた・・・―――
・・・そんな平和に過ごすリリアやセイルとは裏腹に、ムサシとフランさんは殺伐とした場所で過ごしているようだ。
「たぁぁぁっ!・・・っく、はぁっ、はぁっ・・・まだまだぁっ!!」
4人兄弟の中で一番魔力が少ないムサシは、剣術を中心に日頃からフランさんに鍛えられている。
まぁ兄弟の中で魔力が少ないって言っても、それはあくまで“兄弟の中で”の話であり、カルステッドさん曰く、世間一般では十分魔力を持っているらしい。
・・・ってか、うちのムサシ、まだ6歳の子供なんですけど、皆さん本当にわかってるのかな?
・・・―――――それはさておき、ムサシとフランさんがいるのは、メラニウムにある火竜が住むと言われている火山内のダンジョン。
火山内、しかも目的が火竜という事で当然の如くムサシ達がいる場所は灼熱の地だ。
エルから貰った装備品で熱さ耐性はあっても、さすがに呼吸が安定するようなアイテムは持っていないらしく、疲れと酸素不足、且つ相手が火竜ということで苦戦を強いられているようだ。
いや、ホントにちょっと待って欲しい。
どうしてまだ6歳の遊びたい盛りのムサシが、クリスマスという大切な人と過ごそうと分散した時間に、火山内のダンジョンで、火竜と戦ってるの??!!
「ムサシ、そろそろ私が・・・―――」
「・・・っ、まだ、だいじょうぶ、ですっ!だから、ししょーはそこでみてて・・・」
「バカッ!よそ見をするなっ、ムサシ!!」
「!!!!!!」
フランさんの言葉に反応し、ほんのわずかな間にできた隙を火竜につかれ、攻撃を受けてしまったムサシは、数メートル先の岩壁まで吹っ飛ばされてしまった。
いくら装備でダメージを軽減できていたとしても、その衝撃はかなりのモノだろう。
目の前で吹っ飛ばされ、そのまま気を失ってぐったりとしたムサシを見たフランさんの行動は早かった。
「雑魚が。よくもムサシを・・・」
怒気を含み、そう呟いたフランさんは、低く構えた状態で一瞬剣を抜いた後、すぐに剣を鞘に納める。
一瞬の出来事で何が起こったかわからなかったが、火竜が悲鳴をあげる間もなく倒れたことで、何をしたのかわからないくらいの速さで、火竜を仕留める一撃を繰り出したのだと理解した。
・・・え、コレって見えた人、いるの??
「ムサシ!!!」
火竜を仕留めた後、すぐにムサシの元へ駆け寄ったフランさん。
すぐに呼吸有無を確認し、常備していた回復薬をムサシに飲ませようとした。
けれど、意識がなく呼吸があってもダメージが大きいからなのか、ムサシは与えた回復薬を自力で飲むことができないようだ。
「・・・っ、ムサシ、回復薬を飲むんだ!そうしなければ、お前は・・・っ」
普段なら、ムサシに怪我をさせないよう細心の注意をしているフランさんだが、今日ばかりはムサシの希望もあり、距離を取って見守っていた。
(私が声をかけなければ・・・何も言わずに助けに入っていれば、こんな事には・・・)
しかも、ムサシに隙ができたのは、フランさんが声をかけたのがきっかけだった。
もちろん隙を作ったムサシの不注意でもあるが、ムサシはまだ子供で、フランさんは師匠でもあり今回は保護者でもある。
普段ならば、”マデリーヌさんを呼んで回復魔法をかける”という冷静な判断をしたであろうフランさんは、現在それができないほど冷静さを失っているようだ。
回復薬を一向に飲み込まないムサシを見たフランさんは、自身で回復薬を口に含み、口移しで与えるという行動に出た。
(頼む、少しずつで良いから、回復薬を飲んでくれ・・・)
縋るように、祈るように、何度も口移しで回復薬をムサシに飲ませるフランさん。
少量ずつ回復薬を飲んでいるおかげか、できていた切り傷は塞がったものの、未だ意識は戻らない。
(妊娠中のサーヤに私の”祝福”を与え、産まれてからは私を『ししょー』と呼び、慕ってくれた可愛い弟子。私は、お前を最高の剣士にすると決めたのだ・・・)
少しずつ呼吸が落ち着き、回復薬を飲みこむ量も増えてきたムサシ。
フランさんは、尚も回復薬を飲ませ続けた。もちろん口移しで。
(お前が、最高の剣士となった暁には・・・――――――)
「―――・・・っ、私は、今、何を考え・・・?」
「・・・っ、し、しょー・・・」
「ムサシっ、大丈夫か?回復薬は飲めるかい?」
「ししょー、ごめ・・・」
「謝る必要はない。謝るのは、むしろ私・・・――――」
「だって・・・ししょー、ないて、る・・・」
「――――――――!!!!」
ムサシに言われるまで、涙が流れていることに気付かなかったフランさん。
慌てて涙を拭くも、その間に自力で回復薬を飲み、喋れるようにまでなったムサシは、改めてフランさんに謝罪した。
「ししょー、ごめんなさい。ボク、まだまだしゅぎょーたりなかった」
「いや、今回は私が声をかけたのがきっかけだ。確かに修行が足りない部分も否めないが、ムサシは充分、火竜を弱らせていたよ」
フランさんが励ますも、いまいち納得してない様子のムサシ。
どこか痛いところがあるのか、今度は涙をポロポロ溢して泣き始めてしまった。
「・・・っく、ごめ、なしゃ・・・」
「大丈夫だ。お前は悪くないし、これからもっともっと強くなる。私が保証するよ」
「・・・それは、ししょーをまもれるくらいに?」
「え?」
ムサシの言葉に驚いているフランさん。ムサシは尚も言葉を続ける。
「ボク、ししょーをまもれるくらい、りっぱなけんしになりたい!」
「!!」
「ほんとは、ひりゅーのあかいキラキラ、ボクがたおして、ししょーにプレゼントしたかった!あかいキラキラ、ししょーみたいできれいだから・・・だから、ししょーに、あげたかった!!」
「!!!」
「でも、ボク・・・まだまだで・・・ふぇ・・・ししょー、まもれ、ない・・・っぐず」
ムサシが何を自分にプレゼントしたいかは聞いたけど、その理由まではわからなかったフランさん。
だけど、その理由を聞いたフランさんは、思わずムサシを抱きしめるほど嬉しかったようだ。
「・・・ありがとう、ムサシ。その気持ちがとても嬉しいよ」
「ししょー・・・」
「今回は私が火竜を倒してしまった。・・・けれど、次ここに来る時はムサシが火竜を倒してくれ。そして、その時は赤いキラキラ・・・火竜の心臓である核を私にプレゼントして欲しい」
「・・・――――はいっ、ししょー!!」
「さて。とりあえず、どこかの町へ移動しよう。服もボロボロで血が付いてるし、このままではサーヤ達に心配させてしまうからね」
「はい!!」
こうして、近くの町・・・というか一番近くて家があるメラルダに立ち寄り、服を買ってから身体を洗うために家へと寄ったムサシとフランさん。
当然のことながら、その家に現在定住しているアレク兄様の家族に遭遇するわけで。
血だらけでボロボロの服を着たムサシを見たティリアさんやその愛娘シャルロットちゃんは、当然のことながら大騒ぎ。
結局ムサシがダンジョンで大怪我したことは、皆が知ることになったのでした。
「・・・ししょー、ボク、おくちにちゅーしたの、はじめてでした」
「!!」
「ふわふわで、ぷにぷにで、あったかくて、またしたいです・・・してもいいですか?」
「??!!」
大変な事があったけど、大変な事だけで終わったわけではない、ムサシとフランさんのクリスマスでした。
・・・――――――え?他の人達はって?
そうですね、他の人達がどう過ごしたのかもちょっと見てみましょう。
◆◇ <その他の人達>
「・・・っぁんっ、先代、様っ、今日はクリスマス、なのに・・・あぁぁっ」
「クリスマスとは、”愛し合う者が仲睦まじく過ごす特別な日”なのであろう?ならば、いつものように睦み合おうではないか・・・いや“特別な日”なのだから、いつもよりたっぷりと可愛がってやらねばな」
「(もうもうっ、私がサーヤから聞いてたクリスマスと全然違うじゃないの!!いったい誰が先代様にクリスマスを教えたのよっ!!!)」
いつものように・・・というか、いつもより濃厚な時間を過ごしているノルンさんと先代様でした。
そして、てっきり森の家で二人きりで過ごすと思っていたマデリーヌさんとレヴィンさんは、現在ガルドニアの王城にいるようです。
「おじーさま!メリークリスマスですの!!」
「おじい様、メリークリスマス。これは、僕達からのプレゼントです」
「二人ともありがとう。ルナもセレスも、少し見ないうちにまた大きくなったね」
正確に言うと、レヴィンさん達がいるのはかつて王位をユーリに譲渡してからレヴィンさんが過ごしていた離宮だ。
現在離宮を管理しているのは、レヴィンさんの執事であったエドモンドさん。
レヴィンさんが生存している事を知っている数少ないエドモンドさんは、普段はユーリやモニカの政務を手伝いつつ、このように時々家族で団欒できる場を作ってくれているのだ。
「マデリーヌ様、クリスマスは”愛し合う者が仲睦まじく過ごす特別な日”と伺いましたの。私達としては、離宮で家族と過ごせるのは光栄ですけれど、お二人で過ごされなくて良いのでしょうか?」
「そうねん♡確かに、エリュシオンから聞いたクリスマスは、モニカちゃんの言う通りよん♡でも、サーヤちゃんからは“大切な人と過ごす特別な日”それがクリスマスと聞いたわん♡大切な人というのは、家族、恋人、夫婦などが含まれるみたいよん♡」
「なるほど!それなら納得ですの!」
「それに、私とレヴィンは普段から仲睦まじ~く過ごしているものん♡今夜だって・・・―――ー」
「いやぁ、せっかくモニカが頑張ってクリスマスというイベントを浸透させてくれたんだ。マデリーヌとは普段から二人で生活しているし、今日はユーリもモニカも政務も休みにできたんだから、子供や孫達と過ごす日もありなんじゃないかってね。そうだよね?マデリーヌ」
「えぇ、そうよん♡」
「・・・父上、相変わらず苦労されているのですね」
「ははは・・・さすがに、だいぶ慣れてきたよ」
離宮にある広いダイニングに美味しそうな料理が並べられ、嬉しそうにもらったプレゼントを開けるセレスくんとルナちゃん。
そして、それを見守るようにモニカとマデリーヌさん、ユーリとレヴィンさんが、久しぶりに会った事もあり会話に花を咲かせていた。
こういう家族団欒なクリスマスも、平和で良いよね・・・―――――
「・・・時に、マデリーヌ様。お伺いしたい事がありますの。よろしいでしょうか?」
「あらん?私に答えられる事なら、何だって聞いてちょうだいな♡」
「これは、マリア様やカトリーヌ様にも頼まれたのですけれど・・・―――――」
「あらん♡マリアちゃんやカトリーヌちゃんに?何を頼まれたのかしらん?」
「現在とある書物を作成するための準備をしておりますの。そのため、以前少しだけお話を伺った、“制服ぷれい”や“魔女狩り”についてもっと詳細を教えて欲しいですの!」
「「???!!!」」
モニカの質問で、平和に見えた状況が一変。
会話が聞こえていたユーリは飲んでいたお酒を盛大に吹き出し、エドモンドさんは顔には出していないが飲み物が入っている食器を下げようとするなど明らかに動揺している様子。
そんな中レヴィンさんだけは冷静で、素早く孫達に帰る旨の挨拶を交わし、モニカに「サーヤ達が帰ってくるまでに準備することがあるから」と理由を伝え、マデリーヌさんにも帰るよう促し転移魔法で森の家へと早々に帰ったのだった。
時間にすると、多分1分もかかっていないんじゃないだろうか?
・・・レヴィンさん、さすがです。
ちなみにモニカからの質問については、きちんと別日に王城へといったマデリーヌさんが回答。その際マリアさんやカトリーヌさんも一緒にお茶をしていたらしく、その後、女性向けの性の指南書が発行されたとかされなかったとか。
他にも、カルステッドさんやアレク兄様、リンダやアルマさんは、それぞれ家族とクリスマスを過ごし、エルフの里に行ったカイトくんやライムントさんも、ルーシェントさんを始めとしたエルフの里の人達と楽しい時間を過ごしたようです。
◇
「ねぇ、エル。今年のクリスマスはどうだった?」
「うむ・・・多少心配ごともあったが、皆楽しそうに何をしたか話していたな。たまにはこういうのも良いだろう」
「そうだね。でも、ムサシの件はさすがにビックリしたなぁ・・・まぁ、フランさんがそばにいるなら安心だけどね」
「そうだな」
晩ご飯までに全員が帰宅し、夜は一番大きいフェイフォンの森の家でクリスマスパーティーをしたあたし達。
予想通り、皆が笑顔で”誰とどこに行った”とか”何をした”等の話でとても盛り上がっていた。
現在はそのパーティや後片付けも終え、エルと寝室に戻っている状態だ。
皆とのクリスマスは終わったけれど、まだあたしのクリスマスは終わっていない。
あたしは、エルのために用意したクリスマスプレゼントを魔法袋から出した。
「エル、メリークリスマス!」
「む?これは・・・」
「エルへのプレゼントです!ホントは、昼間二人で過ごしてる時にあげたかったのに、そんな時間なかったんだもの・・・」
「くくっ、あの乱れ具合では、確かにそれどころでは無かったろうなぁ」
「もうもうっ、誰のせいだと思ってるのよっ!!」
あたしをからかいながら、エルがプレゼントを開封する。
「!!・・・これは、服か?しかも、黒の正装?」
今年あたしが用意したクリスマスプレゼントは、あたしが記憶と知識を元にデザインし、キャロさんとマゼンダさんの協力を経て完成した、「コレを着たら見た目も完全に魔王様だね☆」といえるような漆黒の軍服である。
・・・もちろん、そんな事はエルに言えないけどね。
「エルの黒髪が似合いそうな、あたし好みの正装をプレゼントしたかったの」
「この服は、お前が好きな服装なのか?」
「うん。・・・それに、以前エル言ってたよね?・・・服をあげるのは、相手を脱がすためだって。だから、この服を着せるのも脱がせるのもあたしじゃなきゃダメなんだからね」
「!!」
「でも、この服は今じゃなくて今度あたしが着せてあげる。一緒に作った、あたし用の黒いドレスもその時見せてあげるね♡」
「!!!・・・くくっ、お前は本当に最高の女だ、サーヤ」
「!!!!」
そう言ったエルは、魔王様のように悪そうで、でも嬉しそうな笑顔で微笑んでから口唇を啄むように何度もキスをする。
そう、いつもの”えっちするよ”の合図だ。
そして今夜もあたしは、魔王様スイッチが入ったエルと一緒に快楽の海に沈む。
いつもと同じかもしれないけれど、いつもと同じがあたしにとっての幸せだ。
今回のプレゼントは、そんな”いつも”にちょっとした刺激を与える気持ちで用意してみたんだけど、どうやら大成功のようです。
近いうち、この服を着たエルの姿が見れると良いなと思うけど、それはまた別のお話で。
・・・―――クリスマス・・・大切な人と過ごす特別な夜。
大切な人達と楽しくパーティをするのも良いけど、たまにはこうして大切な人と過ごす時間があってもいいかもしれないね。
これからも、皆が幸せなクリスマスを過ごせますように・・・
Mary Christmas☆
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◆◇ <リリアやムサシの場合>
「セイ、いつものばしょが、いいの」
「あれ?ボクを悩殺してくれる可愛い服は良いの?」
「のーさつは、まだはやいんでしょ?できるようになったら、してあげるのよ!」
「ふふ☆それは楽しみだ♪じゃ、今日も一緒にあの場所で過ごそうね☆」
現時点でセイルの悩殺を諦めたリリアは、セイルといつも通り過ごす時間を希望した。
ちょっと安心したけど、これから先を考えると正直安心して良いかは不明である。
リリアやセイルが”いつもの場所”と言っているのは、帰らずの森の中にあるとある場所。
樹齢何年かは忘れたと言っていたけど、大木の中にちょっとした小部屋みたいになっている樹洞があり、そこにエルおススメの布団を敷き詰めたセイルの隠れ家兼お昼寝スポット。
そして、リナリアさんと過ごした思い出のある、セイルにとっての特別な場所だ。
セイルは、リリアといると“リアと一緒にいるような不思議な感覚になる”と言って、リリアを特に可愛がってくれている。
それが本当かどうかはわからないけど、その話をする時のセイルがすごく幸せそうなので、あたしとしては本当にそうだったら素敵だなと密かに思っている。
・・・もちろん、エルにそんなことは言えないけどね。
いつもの場所、いつもの定位置であるセイルの腕に包まれて、リリアは今にもお昼寝しそうな感じでうとうとし始める。
いつもならこのまま見守るセイルだけど、今日は少しだけ違うみたいだ。
「・・・リア、あのね、お昼寝する前に、連れていきたい場所があるんだけど、良いかな?」
「んみゅ・・・ちゅれて、いきたい、ばしょ・・・?」
もはや半分夢の中ではないかというリリアだけど、「セイのいきたいばしょ、いくの」と言って、眠りに落ちないよう自らの目を擦り始めた。
「リア、そんなに目を擦ったらダメだよ。すぐに移動するから。リアに一瞬だけでも見て欲しい景色があるんだ」
今にも眠りに落ちてしまいそうなリリアを抱き上げ、すぐに転移魔法で移動したセイル。
一瞬で辿り着いたのは、辺り一面真っ白な花に囲まれたお花畑だった。
「!!・・・ふわぁ・・・きれーなの!!まっしろなの!!」
青空の下、心地よい風が吹き抜け、白い花びらが時には宙を舞う。
ここに咲いているのは、真っ白なリナリアの花。
セイルが妖精さんにお願いして作ってもらい、完成したばかりの2つ目の特別な場所だった。
「ここに咲いているのは、リナリア・・・ボクがかつてとても大切にしていた子と同じ名前の花なんだ」
「セイが、たいせつに・・・?」
「そう。キミの誕生日にも毎年あげてる花なんだけど、すごく嬉しそうな顔をするから、ボクまで嬉しくなっちゃって☆懇意にしてる妖精にお願いしたら、この辺り一面にこの花を咲かせてくれたんだ♪」
自分にとって大切なセイルが、かつて大切にしていた人。
リリアがそれをちゃんと理解するには、年齢的に難しいだろう。
だけどリリアは、一度閉じた瞳をゆっくり開けてから、セイルに向き合ってこう言った。
「ありがとう、セイ。すごく、すごく嬉しい・・・!」
「!!!」
少しだけ涙ぐんでいるけど、心から嬉しいと感じているのがわかるリリアの笑顔。
それがリリアなのか、リリアの中に存在するリナリアさんなのか、そしてセイルにはどのように見えているのか・・・
セイルは嬉しそうに、そして優しくリリアを抱きしめる。
そんな二人をあたたかく歓迎するかのように、真っ白いリナリアの花弁が二人を包み込んでいた・・・―――
・・・そんな平和に過ごすリリアやセイルとは裏腹に、ムサシとフランさんは殺伐とした場所で過ごしているようだ。
「たぁぁぁっ!・・・っく、はぁっ、はぁっ・・・まだまだぁっ!!」
4人兄弟の中で一番魔力が少ないムサシは、剣術を中心に日頃からフランさんに鍛えられている。
まぁ兄弟の中で魔力が少ないって言っても、それはあくまで“兄弟の中で”の話であり、カルステッドさん曰く、世間一般では十分魔力を持っているらしい。
・・・ってか、うちのムサシ、まだ6歳の子供なんですけど、皆さん本当にわかってるのかな?
・・・―――――それはさておき、ムサシとフランさんがいるのは、メラニウムにある火竜が住むと言われている火山内のダンジョン。
火山内、しかも目的が火竜という事で当然の如くムサシ達がいる場所は灼熱の地だ。
エルから貰った装備品で熱さ耐性はあっても、さすがに呼吸が安定するようなアイテムは持っていないらしく、疲れと酸素不足、且つ相手が火竜ということで苦戦を強いられているようだ。
いや、ホントにちょっと待って欲しい。
どうしてまだ6歳の遊びたい盛りのムサシが、クリスマスという大切な人と過ごそうと分散した時間に、火山内のダンジョンで、火竜と戦ってるの??!!
「ムサシ、そろそろ私が・・・―――」
「・・・っ、まだ、だいじょうぶ、ですっ!だから、ししょーはそこでみてて・・・」
「バカッ!よそ見をするなっ、ムサシ!!」
「!!!!!!」
フランさんの言葉に反応し、ほんのわずかな間にできた隙を火竜につかれ、攻撃を受けてしまったムサシは、数メートル先の岩壁まで吹っ飛ばされてしまった。
いくら装備でダメージを軽減できていたとしても、その衝撃はかなりのモノだろう。
目の前で吹っ飛ばされ、そのまま気を失ってぐったりとしたムサシを見たフランさんの行動は早かった。
「雑魚が。よくもムサシを・・・」
怒気を含み、そう呟いたフランさんは、低く構えた状態で一瞬剣を抜いた後、すぐに剣を鞘に納める。
一瞬の出来事で何が起こったかわからなかったが、火竜が悲鳴をあげる間もなく倒れたことで、何をしたのかわからないくらいの速さで、火竜を仕留める一撃を繰り出したのだと理解した。
・・・え、コレって見えた人、いるの??
「ムサシ!!!」
火竜を仕留めた後、すぐにムサシの元へ駆け寄ったフランさん。
すぐに呼吸有無を確認し、常備していた回復薬をムサシに飲ませようとした。
けれど、意識がなく呼吸があってもダメージが大きいからなのか、ムサシは与えた回復薬を自力で飲むことができないようだ。
「・・・っ、ムサシ、回復薬を飲むんだ!そうしなければ、お前は・・・っ」
普段なら、ムサシに怪我をさせないよう細心の注意をしているフランさんだが、今日ばかりはムサシの希望もあり、距離を取って見守っていた。
(私が声をかけなければ・・・何も言わずに助けに入っていれば、こんな事には・・・)
しかも、ムサシに隙ができたのは、フランさんが声をかけたのがきっかけだった。
もちろん隙を作ったムサシの不注意でもあるが、ムサシはまだ子供で、フランさんは師匠でもあり今回は保護者でもある。
普段ならば、”マデリーヌさんを呼んで回復魔法をかける”という冷静な判断をしたであろうフランさんは、現在それができないほど冷静さを失っているようだ。
回復薬を一向に飲み込まないムサシを見たフランさんは、自身で回復薬を口に含み、口移しで与えるという行動に出た。
(頼む、少しずつで良いから、回復薬を飲んでくれ・・・)
縋るように、祈るように、何度も口移しで回復薬をムサシに飲ませるフランさん。
少量ずつ回復薬を飲んでいるおかげか、できていた切り傷は塞がったものの、未だ意識は戻らない。
(妊娠中のサーヤに私の”祝福”を与え、産まれてからは私を『ししょー』と呼び、慕ってくれた可愛い弟子。私は、お前を最高の剣士にすると決めたのだ・・・)
少しずつ呼吸が落ち着き、回復薬を飲みこむ量も増えてきたムサシ。
フランさんは、尚も回復薬を飲ませ続けた。もちろん口移しで。
(お前が、最高の剣士となった暁には・・・――――――)
「―――・・・っ、私は、今、何を考え・・・?」
「・・・っ、し、しょー・・・」
「ムサシっ、大丈夫か?回復薬は飲めるかい?」
「ししょー、ごめ・・・」
「謝る必要はない。謝るのは、むしろ私・・・――――」
「だって・・・ししょー、ないて、る・・・」
「――――――――!!!!」
ムサシに言われるまで、涙が流れていることに気付かなかったフランさん。
慌てて涙を拭くも、その間に自力で回復薬を飲み、喋れるようにまでなったムサシは、改めてフランさんに謝罪した。
「ししょー、ごめんなさい。ボク、まだまだしゅぎょーたりなかった」
「いや、今回は私が声をかけたのがきっかけだ。確かに修行が足りない部分も否めないが、ムサシは充分、火竜を弱らせていたよ」
フランさんが励ますも、いまいち納得してない様子のムサシ。
どこか痛いところがあるのか、今度は涙をポロポロ溢して泣き始めてしまった。
「・・・っく、ごめ、なしゃ・・・」
「大丈夫だ。お前は悪くないし、これからもっともっと強くなる。私が保証するよ」
「・・・それは、ししょーをまもれるくらいに?」
「え?」
ムサシの言葉に驚いているフランさん。ムサシは尚も言葉を続ける。
「ボク、ししょーをまもれるくらい、りっぱなけんしになりたい!」
「!!」
「ほんとは、ひりゅーのあかいキラキラ、ボクがたおして、ししょーにプレゼントしたかった!あかいキラキラ、ししょーみたいできれいだから・・・だから、ししょーに、あげたかった!!」
「!!!」
「でも、ボク・・・まだまだで・・・ふぇ・・・ししょー、まもれ、ない・・・っぐず」
ムサシが何を自分にプレゼントしたいかは聞いたけど、その理由まではわからなかったフランさん。
だけど、その理由を聞いたフランさんは、思わずムサシを抱きしめるほど嬉しかったようだ。
「・・・ありがとう、ムサシ。その気持ちがとても嬉しいよ」
「ししょー・・・」
「今回は私が火竜を倒してしまった。・・・けれど、次ここに来る時はムサシが火竜を倒してくれ。そして、その時は赤いキラキラ・・・火竜の心臓である核を私にプレゼントして欲しい」
「・・・――――はいっ、ししょー!!」
「さて。とりあえず、どこかの町へ移動しよう。服もボロボロで血が付いてるし、このままではサーヤ達に心配させてしまうからね」
「はい!!」
こうして、近くの町・・・というか一番近くて家があるメラルダに立ち寄り、服を買ってから身体を洗うために家へと寄ったムサシとフランさん。
当然のことながら、その家に現在定住しているアレク兄様の家族に遭遇するわけで。
血だらけでボロボロの服を着たムサシを見たティリアさんやその愛娘シャルロットちゃんは、当然のことながら大騒ぎ。
結局ムサシがダンジョンで大怪我したことは、皆が知ることになったのでした。
「・・・ししょー、ボク、おくちにちゅーしたの、はじめてでした」
「!!」
「ふわふわで、ぷにぷにで、あったかくて、またしたいです・・・してもいいですか?」
「??!!」
大変な事があったけど、大変な事だけで終わったわけではない、ムサシとフランさんのクリスマスでした。
・・・――――――え?他の人達はって?
そうですね、他の人達がどう過ごしたのかもちょっと見てみましょう。
◆◇ <その他の人達>
「・・・っぁんっ、先代、様っ、今日はクリスマス、なのに・・・あぁぁっ」
「クリスマスとは、”愛し合う者が仲睦まじく過ごす特別な日”なのであろう?ならば、いつものように睦み合おうではないか・・・いや“特別な日”なのだから、いつもよりたっぷりと可愛がってやらねばな」
「(もうもうっ、私がサーヤから聞いてたクリスマスと全然違うじゃないの!!いったい誰が先代様にクリスマスを教えたのよっ!!!)」
いつものように・・・というか、いつもより濃厚な時間を過ごしているノルンさんと先代様でした。
そして、てっきり森の家で二人きりで過ごすと思っていたマデリーヌさんとレヴィンさんは、現在ガルドニアの王城にいるようです。
「おじーさま!メリークリスマスですの!!」
「おじい様、メリークリスマス。これは、僕達からのプレゼントです」
「二人ともありがとう。ルナもセレスも、少し見ないうちにまた大きくなったね」
正確に言うと、レヴィンさん達がいるのはかつて王位をユーリに譲渡してからレヴィンさんが過ごしていた離宮だ。
現在離宮を管理しているのは、レヴィンさんの執事であったエドモンドさん。
レヴィンさんが生存している事を知っている数少ないエドモンドさんは、普段はユーリやモニカの政務を手伝いつつ、このように時々家族で団欒できる場を作ってくれているのだ。
「マデリーヌ様、クリスマスは”愛し合う者が仲睦まじく過ごす特別な日”と伺いましたの。私達としては、離宮で家族と過ごせるのは光栄ですけれど、お二人で過ごされなくて良いのでしょうか?」
「そうねん♡確かに、エリュシオンから聞いたクリスマスは、モニカちゃんの言う通りよん♡でも、サーヤちゃんからは“大切な人と過ごす特別な日”それがクリスマスと聞いたわん♡大切な人というのは、家族、恋人、夫婦などが含まれるみたいよん♡」
「なるほど!それなら納得ですの!」
「それに、私とレヴィンは普段から仲睦まじ~く過ごしているものん♡今夜だって・・・―――ー」
「いやぁ、せっかくモニカが頑張ってクリスマスというイベントを浸透させてくれたんだ。マデリーヌとは普段から二人で生活しているし、今日はユーリもモニカも政務も休みにできたんだから、子供や孫達と過ごす日もありなんじゃないかってね。そうだよね?マデリーヌ」
「えぇ、そうよん♡」
「・・・父上、相変わらず苦労されているのですね」
「ははは・・・さすがに、だいぶ慣れてきたよ」
離宮にある広いダイニングに美味しそうな料理が並べられ、嬉しそうにもらったプレゼントを開けるセレスくんとルナちゃん。
そして、それを見守るようにモニカとマデリーヌさん、ユーリとレヴィンさんが、久しぶりに会った事もあり会話に花を咲かせていた。
こういう家族団欒なクリスマスも、平和で良いよね・・・―――――
「・・・時に、マデリーヌ様。お伺いしたい事がありますの。よろしいでしょうか?」
「あらん?私に答えられる事なら、何だって聞いてちょうだいな♡」
「これは、マリア様やカトリーヌ様にも頼まれたのですけれど・・・―――――」
「あらん♡マリアちゃんやカトリーヌちゃんに?何を頼まれたのかしらん?」
「現在とある書物を作成するための準備をしておりますの。そのため、以前少しだけお話を伺った、“制服ぷれい”や“魔女狩り”についてもっと詳細を教えて欲しいですの!」
「「???!!!」」
モニカの質問で、平和に見えた状況が一変。
会話が聞こえていたユーリは飲んでいたお酒を盛大に吹き出し、エドモンドさんは顔には出していないが飲み物が入っている食器を下げようとするなど明らかに動揺している様子。
そんな中レヴィンさんだけは冷静で、素早く孫達に帰る旨の挨拶を交わし、モニカに「サーヤ達が帰ってくるまでに準備することがあるから」と理由を伝え、マデリーヌさんにも帰るよう促し転移魔法で森の家へと早々に帰ったのだった。
時間にすると、多分1分もかかっていないんじゃないだろうか?
・・・レヴィンさん、さすがです。
ちなみにモニカからの質問については、きちんと別日に王城へといったマデリーヌさんが回答。その際マリアさんやカトリーヌさんも一緒にお茶をしていたらしく、その後、女性向けの性の指南書が発行されたとかされなかったとか。
他にも、カルステッドさんやアレク兄様、リンダやアルマさんは、それぞれ家族とクリスマスを過ごし、エルフの里に行ったカイトくんやライムントさんも、ルーシェントさんを始めとしたエルフの里の人達と楽しい時間を過ごしたようです。
◇
「ねぇ、エル。今年のクリスマスはどうだった?」
「うむ・・・多少心配ごともあったが、皆楽しそうに何をしたか話していたな。たまにはこういうのも良いだろう」
「そうだね。でも、ムサシの件はさすがにビックリしたなぁ・・・まぁ、フランさんがそばにいるなら安心だけどね」
「そうだな」
晩ご飯までに全員が帰宅し、夜は一番大きいフェイフォンの森の家でクリスマスパーティーをしたあたし達。
予想通り、皆が笑顔で”誰とどこに行った”とか”何をした”等の話でとても盛り上がっていた。
現在はそのパーティや後片付けも終え、エルと寝室に戻っている状態だ。
皆とのクリスマスは終わったけれど、まだあたしのクリスマスは終わっていない。
あたしは、エルのために用意したクリスマスプレゼントを魔法袋から出した。
「エル、メリークリスマス!」
「む?これは・・・」
「エルへのプレゼントです!ホントは、昼間二人で過ごしてる時にあげたかったのに、そんな時間なかったんだもの・・・」
「くくっ、あの乱れ具合では、確かにそれどころでは無かったろうなぁ」
「もうもうっ、誰のせいだと思ってるのよっ!!」
あたしをからかいながら、エルがプレゼントを開封する。
「!!・・・これは、服か?しかも、黒の正装?」
今年あたしが用意したクリスマスプレゼントは、あたしが記憶と知識を元にデザインし、キャロさんとマゼンダさんの協力を経て完成した、「コレを着たら見た目も完全に魔王様だね☆」といえるような漆黒の軍服である。
・・・もちろん、そんな事はエルに言えないけどね。
「エルの黒髪が似合いそうな、あたし好みの正装をプレゼントしたかったの」
「この服は、お前が好きな服装なのか?」
「うん。・・・それに、以前エル言ってたよね?・・・服をあげるのは、相手を脱がすためだって。だから、この服を着せるのも脱がせるのもあたしじゃなきゃダメなんだからね」
「!!」
「でも、この服は今じゃなくて今度あたしが着せてあげる。一緒に作った、あたし用の黒いドレスもその時見せてあげるね♡」
「!!!・・・くくっ、お前は本当に最高の女だ、サーヤ」
「!!!!」
そう言ったエルは、魔王様のように悪そうで、でも嬉しそうな笑顔で微笑んでから口唇を啄むように何度もキスをする。
そう、いつもの”えっちするよ”の合図だ。
そして今夜もあたしは、魔王様スイッチが入ったエルと一緒に快楽の海に沈む。
いつもと同じかもしれないけれど、いつもと同じがあたしにとっての幸せだ。
今回のプレゼントは、そんな”いつも”にちょっとした刺激を与える気持ちで用意してみたんだけど、どうやら大成功のようです。
近いうち、この服を着たエルの姿が見れると良いなと思うけど、それはまた別のお話で。
・・・―――クリスマス・・・大切な人と過ごす特別な夜。
大切な人達と楽しくパーティをするのも良いけど、たまにはこうして大切な人と過ごす時間があってもいいかもしれないね。
これからも、皆が幸せなクリスマスを過ごせますように・・・
Mary Christmas☆
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もるーさん、初めまして!
感想コメありがとうございます!!
ご指摘のあった「まだ殺らなくていいか」のくだりは、仰る通りアレクへの嫉妬からくるものです(笑)
ミナトにとってアレクは、大好きなサーヤの親戚であり美味しいお菓子をくれる人であり、とても好印象。
割愛しましたが、お出かけする時に「にぃーにと、いっしょ♡」と言って、アレクと手を繋いで笑顔で出かけて行くのを見送った際、エルとセイルがちょっとだけ「ぐぬぬっ」となっています(笑)
エル(パパ)とセイル(おかん)は、ミナト(娘)を溺愛し、「ナニかあったらただじゃおかないよ」的に、いつも目を光らせているのです(*´ω`*)
(わかりずらくてすみません)
駄犬…w
私もお気に入りです。ワンコキャラ、良いですよね✨✨
ぜひぜひ、最後までお楽しみくださいませ!
完結おめでとうございます!
完結してしまって少し残念ですが番外編楽しみにしてます!
如月さん、ありがとうございます!
まだ続けられそうな気もしましたが、このままでは精霊全てを掌握して気が付けば世界最強になりかねないし、(今もだいぶすごいけどw)以前から温めているお話や今連載中のモノも書き進めたかったので一度区切ることにしました。
※俺様エルフに関連したお話も書きたいなと思ってるので、サーヤやエリュシオン達もそっちでまた登場すると思います(笑)
『俺様エルフ』は初めて書いた小説なので、いろんな意味で思い入れが強いお話です。
自分でも書いててすごく楽しくて(途中キャラが多すぎて大渋滞しましたがw)、終えるとなると少し残念で寂しくて…でも、同じことを思って下さってる方がいるのはすごく嬉しいしこれからの励みにもなります。
改めて、感想と読了ありがとうございました!
完結おめでとうございます!
サーヤちゃん、よく頑張ったなぁ。安定の魔王様エル様最高でした。
番外編も楽しみにしています。
こゆきねこさん、ありがとうございます!
ヒロインはいろんな意味で頑張りました←
※でも、主に魔王様にされるがままですが(笑)
実は一時期、本当の魔王様出して「お前の方がよっぽど魔王っぽいわ!」って言わせたいなと思った事もありました・・・|ω・`)
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