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13章 初めての家族旅行兼新婚旅行 ~お米をGetするために~

幕間 留守番中の子供達 inティリアside

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「ぁんまー!」
「はいはい、リリアはそろそろミルクの時間かな?クラリス、リリアのミルクってお願いしても良い?」
「ふふっ、そろそろかと思ってもう準備してますわ。レミリオ、取りに来て下さる?」
「あいっ」

ここはフェイフォンでサーヤちゃん達が購入した新しいお家。
現在、サーヤちゃんと旦那様はこの国の第二王子様御一行とお城へ向かう旅の途中なのだ。
・・・と言っても、旦那様の転移魔法で1日に1度はここに顔を出してるんだけどね。

フェイフォンへは旅行に来ているので、サーヤちゃん達が家で過ごしている間も私達は移動先の町や村で観光をしたり、珍しい薬草や素材を探しながらお願いされたら子守をしようと思っていたけど、そのサーヤちゃん達がお城へ向かうことになってしまったので、帰ってくるまではベビーシッター兼家政婦のような形で住み込みで滞在することになった。

ご迷惑じゃないかと思って最初は断ったけど、風の精霊王であるセイル様が「イヤな予感がする」と言うので、城から帰ってくるまでは結界が張られているこの家で滞在するよう、同行していた私達家族やカルステッドさん、リンダさんに命令が下った。
命令と言っても、この家はとても住み心地が良いし、必要なモノがあればノルン様やベルナート様が転移魔法で近隣の村や町へ連れて行って下さるので、不便な事など何一つない。

今はリビングに、レオンやサクラ、シャルにレミリオ、そしてリリアと私がいて、クラリスはお風呂掃除をしに行った。
そして、庭や森の中でカルステッドさんやリンダさん、そしてミナト様やカイト様、ベルナート様、ノルン様精霊王様達と先代の聖獣様が鍛錬をしているようだ。
時々ものすごい音が聞こえてくるけど、大丈夫なんだろうか・・・?

「はい、まま。ミルクだよ」
「ありがとう、レミリオ」

レミリオの頭を撫でてから、リリアを抱っこしてミルクを飲ませようとすると、サクラが声をかけてきた。

「あのね、くーが、リリたんに、ミルクあげたいの・・・だめ?」
「サクラ・・・ふふっ、お姉さんだものね。もちろん良いよ。じゃあこっちにこうして座ってくれる?」
「あいなのっ!」

ちょっと前までは、リリアがサーヤちゃんを独り占めするって妬んでたサクラが、こうしてお姉さんらしくお世話するだなんて・・・レオンもおむつ替え手伝ってるみたいだし、ホントに双子は良い子に育ってるみたいだね。
レミリオとシャルの良い見本になってくれてて嬉しい。

「えっと、こう?」
「もっとこう・・・首の下に腕を入れて支えてあげてね」
「んしょ・・・こう?」
「そうそう!さすがお姉ちゃんだね」
「えへへ♪・・・リリたん、きょうは、ままのかわりに、くーがミルクあげゆのよー」
「ぁきゃっ、んぐ、んく、んく」

ご機嫌のリリアは、嬉しそうにサクラからミルクを飲ませてもらってる。
はぁ・・・姉妹が仲睦まじくミルクを飲ませる光景・・・めちゃくちゃ微笑ましくて可愛いっ!!

私が姉妹の光景にうっとりしてると、くいっ、くいっと小さく服をひっぱる気配がした。

「まま、ちゃるも。ちゃるも」
「シャル・・・もしかして、シャルもリリアにミルクあげたいの?」
「(コクリ)」

何と言うことだ。
ちょっと前から、預かっているリリアをじぃ~~~~~~っと見ることが多かったシャルが、サクラを見て自分もリリアにミルクをあげたいってお姉さんみたいな事を言うなんて!!

愛娘の心の成長が嬉しくて、サクラにシャルと一緒にミルクを飲ませて欲しいとお願いする。
シャルはまだリリアを支えられるほど身体が大きくないから、サクラがシャルを後ろから支えるようレオンにお願いし、ミルクをあげるのはサクラがお手伝いしていた。
レミリオはそばに座って、「リリたん、おいちい?」と優しく声をかけている。

何この光景!!
双子に支えられたシャルが、リリアにミルクを飲ませつつ傍らに微笑むレミリオ・・・
天使が・・・っ、天使が天使達に支えられながら天使にミルクをあげてて、それを見守る天使っ!!
もう天使しかこの場にいないっ!!!

あぁぁっ、ベルナート様がここにいらっしゃったら、間違いなくこの光景を記憶してもらうのにっ!!!


目の前の光景があまりにも尊過ぎて、思わず突っ伏しながらプルプル悶えていると、鍛錬を終えた皆さんがリビングへとやって来た。

「リアたん、こんなところでどうしたの?どこか痛いの?」
「!!・・・あ、すみませんっ、ミナト様、大丈夫です!ちょっと素晴らしい光景を目の前に悶絶・・・いえ、感動してました」
「うみゅ?素晴らしい光景?」
「あ、シャル達がリリアにミルクをあげてる。すごく可愛いね」
「うわっ、何これ超可愛いっ!!今黒曜石に記憶するから皆そのままじっとしててね!!」

ミナト様の後ろにいたカイト様とベルナート様のおかげで、他の人達も口々に「可愛い」とか「尊い」とか感嘆の声をあげている。
良かった。ベルナート様の黒曜石にきちんと記憶することもできたみたいだ。

「あら、ミルクを飲み終えたみたい。確かこの後、げっぷさせなければいけないのよね?」
「あ、はいそうです!」

しまった。私としたことが、お仕事をおろそかにしてしまうなんて・・・
ノルン様に言われて、慌ててリリアを抱き上げようとしたら「私がやるから良いわよ」と言って、ノルン様がリリアを抱き上げる。

「ふふっ、リリアってばまた少し大きくなったみたいね。さ、ミルクを飲み終えたらげっぷしましょうね」
「・・・」

言ってる事もやってる事も、普段私がリリアにしてあげてる事なんだけど、ノルン様がしているというだけで不思議と神々しく見えてくる。
これはあれだ・・・えっと・・・

「・・・女神様・・・」
「・・・え?」
「はっ!わ、私ってば・・・申し訳ありませんっ!あの、あまりにも美しすぎて、そのっ・・・」
「くくくっ、なかなか見る目があるではないか、獣人の娘よ」
「ふぇ?!せっ、せせっ・・・先代様っ」

ノルン様を拝む体制の私に、ガシっと先代の聖獣様はいきなり肩を組んできた。
精霊様でも一生に一度お目見えできるかどうかわからない存在なのに、目の前には精霊の王様が複数名いらっしゃって、さらに存在すらも伝説とされている聖獣様が超絶美形な人間に変化した姿で目の前にいて、私の肩を組んでるとか・・・

サーヤちゃんから話は聞いてたし遠目からも見たことはあるけど、直接お話するとかはお願いだからちょっと待って欲しい。


心の準備がっ、心の準備が全然できてないんです~~~~~~~~~~~っ


もはや気が動転して気絶しそうになっている私に、ノルン様が助け舟を出してくださった。

「先代様、女性にみだりに触れてはなりません。ほら、ティリアも困惑していますわ」
「うむ、それはすまなんだ」
「はひゃっ、い、いえいえっ、滅相もございませんっ!!」

ノルン様と先代様は、げっぷをした後少しうとうとし始めたリリアをそのまま寝かしつけようと、抱っこしたままリリアを慈しんでいた。
このお二方も、いろいろあったみたいだけれど、今は気持ちが通じ合った恋人同士だとサーヤちゃんから聞いている。


こうして見ると、先代様とノルン様は恋人と言うよりも素敵な夫婦だなぁ・・・


なんだか後光まで見えそうな二人に、私は思わずうっとりしてしまいました。
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