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13章 初めての家族旅行兼新婚旅行 ~お米をGetするために~

いざ、新居候補の家へ!2

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見た目が木造のログハウスのような家の中に入ると、玄関にはナチュラルウッドの棚、コート掛けなど日本にいた時のことを思い出させる家具と配置で、初めて見る場所なのにどこか懐かしさを感じた。

この世界では、日本みたいに玄関で靴を脱ぐ習慣はなく靴箱は不要なので、もちろん森の家にはない。
でも、この家だと玄関に靴をストックして履き替えることができるのだ。

エルや皆は素通りしてたけど、玄関から日本の家らしさを感じるならあたしにとっては中も期待大である!

「ここがリビングだ」

案内されたリビングは、広々としたフローリングにモスグリーンの大きいソファと同系色のカウチソファに応接用のテーブル、優しいライトグレー色のラグが敷かれている落ち着いた空間だった。
大きめの窓の向こうにはテラスがあり、二人掛け用のテーブルと椅子が置かれている。

ソファの横にある大きめの観葉植物はこの部屋の雰囲気にピッタリだし、ソファの後ろにそのままあるダイニングスペースには、大きめのダイニングテーブルが置かれ大人数での食事もできるようだ。

とりあえず、ソファにお昼寝したレオンとサクラを寝かせ、カウチソファにリリアを寝かせる。
子供達はノルンさんと聖獣様が見ていてくれるというので、あたし達はそのまま部屋を散策することにした。


「このおうち、森の家と同じで、優しくて温かい感じがすゆの」
「そだね☆この森にも他の精霊や妖精がいて、時々この家に遊びに来るんだろうね♪精霊王ボク達にとっても居心地が良いのはそのせいかも☆」
「家にあるモノも、森と同じ木と緑の色で統一されてるの、僕は好きだな」
「うん、俺も」

テラスに続く窓以外にも、飾り棚のついた窓には小さなプランターに入った植物や瓶に入った植物が置かれ、リビング全体に自然が溢れていた。

「あ、これハーブだ!もしかしてコレってハーブティー?」
「うむ、確かにタモツは、そこで乾燥させた葉を紅茶のようにして飲んでいたな」

ハーブソルトだけじゃなくハーブティーまであるとは・・・
タモツさん凄すぎる!!

ただ、瓶に入っているハーブティーはすでに半分以下の量で、皆で飲んだら数回で終わってしまうだろう。

「でも、このハーブティーってなくなったらもう飲めないですよね?・・・あたし、さすがにそこまでハーブの知識はないから、このハーブティーとかタモツさんが作ったって言うハーブソルトは作れないと思う・・・」
「いや、それは問題ない」
「え?どういう事ですか?」
「我の魔法で“複製”できるからな。ここにある“はーぶてぃー”も“はーぶそると”も、すでに大量に複製し、倉庫に保管している」
「!!!」

なん・・・だとっ?!
なにそれ、素晴らしすぎる!!
ってか、ライムントさんって魔法で“複製”できるの??超便利じゃないですか!!!!

「・・・欲しい」
「ん?サーヤもこの家が欲しいのか?確かに、まだ全部は見ていないが俺もここで・・・――――」
「違うの。・・・あ、いや、この家もすごく素敵でエルや皆の反応から、この家に決定なんだろうなって思ってるから違うわけじゃないんだけど・・・あたしは、ライムントさんが欲しいの」
「はぁ?!」
「え、ちょっ・・・サーヤ??!!」
「だって、ライムントさんって魔法で“複製”できるんでしょ?そしたら、”ハーブソルト”みたいに作るのに手間と時間がかかるマヨネーズをいっぱい複製してもらえるし、ベルナートさんの黒曜石だって複製できるんじゃない?」
「我の力で複製できるのは、物理的に作る事が可能な構造のわかるモノだけだ。魔力で作られたモノは複製できぬ」
「あ、なるほど。ちょっと残念ですが、それでも十分です」

物理的に作れるもの・・・となると、農作物もNGかな?
だとしても、調理、加工されたモノなら複製できるなら、魔法袋に入れてるような非常食も複製できるんじゃないだろうか?

頭の中では、“あれは複製できるかな?”とか“これは?”など、いろんな想像や考え事をしていたあたしは、周囲の皆がどんな反応してるかなんてまったく見えてなかった。


(ゴツンッ)

「ぁいたっ・・・ちょっとエル、いきなり叩かなくたって・・・」
「お前はホントによく考えもせずに発言するその癖をどうにかしろ!」
「え?」
「ぷっ、くくくっ・・・ホント、サーヤってばボク達の考えの斜め上を行くというか、行き過ぎるというか・・・」
「ふふっ、サーヤままにとっては、ライたんも“便利な道具”の1つなのよ」
「ミナト、それはさすがに言い過ぎなんじゃ・・・?」
「サーヤ、俺のことも“便利な道具”って思ってるの??!!」
「あ・・・」

皆が思い思いに反応する様を見てようやく気付いた。
決して“便利な道具”として見てるわけじゃないけど、そばにいたらいろいろお願いできてありがたい・・・いやいや、それじゃ結局“便利な道具”って思われたって仕方ないじゃないか。

「ふっ、サーヤもタモツと同じだな」
「・・・え?」
「タモツも同じようなことを言っていた」
「あ、あはは・・・」
「なるほど・・・“落ち人”の考え方がおかしいというだけで、サーヤが特殊というわけではないという事なのか?」
「いや、リアも特殊ではあったけど、サーヤ程ではなかったよ☆」
「ふむ・・・ならば、やはりサーヤが特別おかしいということだな」

ちょっとそこっ!
超失礼なこと言ってるけど、普通にあたしにも聞こえてますからね!!

「ふむ・・・良いだろう。我のこの力、お前に貸してやろうではないか」
「!!・・・ホントですか?」
「あぁ。・・・ただし、条件がある」
「・・・じょう、けん?」

ライムントさんは、口調こそ普通になったけど急に額に手を当てつつ腕を組み、少し見下ろすような・・・サクラに教えていた中二病的ポーズを取りながらこう言って来た。

「条件は・・・我が満足できるような“みそしる”を作ることだ!!」
「!!」


”ババンッ”っと効果音が付きそうな決めポーズを取りながらライムントさんが出した条件は、”満足できるくらい美味しい味噌汁を作る事”らしい。


・・・その前に、この無駄に決めポーズとったライムントさんがなんかムカつくので、1発殴っても良いですかね??
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