【本編完結済】【R18】異世界でセカンドライフ~俺様エルフに拾われました~

暁月

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13章 初めての家族旅行兼新婚旅行 ~お米をGetするために~

いざ、新居候補の家へ!

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ライムントさんから提案された件について皆に相談した結果、反対する人が皆無だったので”じゃあ明日行こう!”と、早速家を見に行く事になった。

そして、一度行ったことがあるからと言って、エルやセイル、ノルンさん達が転移魔法でその家の近くへと連れて来てくれた。

ちなみに今回は、あたし達家族や精霊王様の他に、カルステッドさんやアレク兄様も来ている。
ティリアさん達は留守番しながら観光するというので、リンダとアルマさんが護衛として一緒にマジャーレ村に残ることになった。

この家は、そんなマジャーレ村から遥かに離れたフェイフォンの最北の町の近くの森にある。

精霊王様達は海や国を跨いでも転移魔法が使えるし、エルだって大陸内であれば行ったことのある場所に転移魔法で行ける。
本来転移魔法を使える人はほとんどいないらしいので、こんな当たり前のように転移魔法を使える人達が身近にいるというのは、ホントにすごい事なんだと改めて実感した。

「ふふっ、本来なら馬車とかでも1ヶ月近くかかるみたいなのに・・・一度来たことがある場所で良かったね、エル」
「・・・以前に来た理由を考えると、良かったと言って良いのか微妙だがな」
「もうっ!この通り、あたしもリリアも全然平気なんだから気にしないの」
「ぱーっ、ぁうっ!」
「あは☆リリアも気にするなって言ってるみたいだよ、エリュシオン♪」
「ふっ、そのようだな」

家が見える位置に転移して来たあたし達は、各々ここに来た感想を述べながら話している。
初めて来たレオンやカイトくん、ベルナートさんはちょっと楽しそうだ。

「ここ、ししょーのおうち?」
「そなの!くーね、まえに、きたことあるのよ!」
「・・・ライたん、ちゃんと結界は解いたみたいなの」
「へぇ~、ここがライムントと“落ち人”が暮らしてた家なんだ。少し森の家に似てるね」
「以前も思ったけれど、ここの空気はとても澄んでいて気持ち良いわ」
「うむ。森の家のようにこの森にも精霊がいるのであろう」
「サクラ、前に攫われた時ここに連れてこられたんでしょ?怖いとか嫌な気持ちとかなってない?大丈夫??」
「へへ、だいじょうぶなのよ、ベル。くーね、ライたんと、“ちゅーにごっこ”ちてたの」
「ちゅーに、ごっこ?」

微笑ましいなと見守っていたけど、サクラがライムントさんに教わった中二病的なポーズをレオンやベルナートさんに教えてるのに気づき、すかさず止めた。
「絶対に大人になったら後悔するからやめておきなさい」って伝えたけど、多分まだ理解できてないだろう。

「よく来たな。我がサンクチュア・・・」
「こんにちわ、ライムントさん。いい加減、その口調はもうやめにしましょうね」
「・・・うむ。よく来た。早速この家を案内しよう」

相変わらず黒の軍服に眼帯という中二病的な見た目は変わらないけど、早速家の中へと案内してくれるライムントさんは、あたしが抱っこしているリリアに若干ビクビクしながら案内してくれた。
・・・今日もちゃんと髪を一つに束ねて、リリア対策もバッチリみたいです。

まずは外から・・・ということで庭から案内されると、まずは薬草などの農園と思われる場所が目に入る。

「ここはタモツが大事にしていた農園だ。かつて“りょうりにん”という職についていたらしいタモツは、料理に使う物を中心に様々なものを栽培していた。一部、我が見つけた薬草も隅の方にある」

なるほど。タモツさんは料理人だったんだね。
だとすると、この世界の食文化はきっと衝撃的だったろう。
不味くはないけど、調味料は少なすぎるし料理の味付けが単調で、何よりパンが固いんだもの。

「お、野菜もいくつかある!嬉しい!!」
「何を言っているサーヤ。これは毒薬や薬に用いられる毒草だぞ」
「え?どう見てもこれってさやいんげん・・・」
「確かにタモツは、これを料理にも使っていたな」
「なっ?!この毒草を料理に・・・だと?!」

確かにさやいんげんは、筋を取ったりしっかり茹でないと毒があるみたいだけど、ちゃんと下処理をしたら煮物にも使える立派な野菜だ。
この世界ではその下処理方法が知られてないのかもしれないね。

他にも複数の野菜や、エルもよく知る薬草や初めて見る薬草、バジルやローズマリーといったハーブ数種類が農園で栽培されており、この農園を見るだけで時間をかけたエルはとてもこの農園が気に入ったらしい。

レオンやサクラ達も、ミナトちゃん達一緒にいるのが楽しくて庭で遊び始めてしまった。
周囲に人がいない分、多少騒いだり魔法を使ってたりしても問題ないのは、とても魅力的なトコロだ。

庭で遊んでいる子供達やノルンさん達に一言告げてから、かつてタモツさんが使っていたという離れの研究室へと案内してもらう。
見た目は小さな小屋だったけど、中に入ると明らかに小屋よりも広い空間で、作業台であろう大きなテーブルと壁一面にある薬棚、簡易キッチンも室内にあり軽食を作ってここで食べるという事も出来そうだ。
窓から太陽光も差し込み、研究室と言えども暗い雰囲気はなく、時間帯で部屋の明るさも変わるので時間の間隔を忘れて何日も引きこもりになるという心配はなさそうだ。・・・たぶん。

「ここは・・・空間魔法で拡張しているのか?」
「そうだ。今は我の魔法で拡張しているが、ちょっと変わった魔石を使っていてな。使う者の魔力によって空間の広さを変えることができる」
「!!!・・・使う者の魔力によって空間の広さを変えられる・・・だと?!」

今、エルの瞳がキラーンって光ったのがあたしにもわかった。


一通り研究室も見終えて、ようやく家の中を見るため庭で遊んでいたレオンやサクラ達と合流すると、穴ぼこだらけの庭の穴を埋めているノルンさんとカイトくんがいた。
そして、疲れて眠っているレオンやサクラを抱っこしていたのは、セイルとベルナートさんだ。

「おかえり☆研究室はどうだった?」
「・・・まぁまぁ、だな」
「ふぅ~ん・・・随分と気に入ったみたいだね☆」

さすがセイル。エルの本音をわかってらっしゃる。

リリアも連れ回っているうちにお昼寝してしまったので、あたし達は早速家の中に入り、子供達をゆっくりお昼寝させつつ家の中を見ようということになった。


まだ家の中は見てないけど、双子達や皆の反応、さっきエルと農園と研究室を見た時点で、“きっとこの家で決まるんだろうな”という予感めいた気持ちがあたしにはあった。


家の中・・・特に台所はどんな感じなのか、ものすごく楽しみだなぁ。


あたしはすでにここで暮らすような気持ちになりながら、皆の後に続いて家の中へと足を踏み入れた。
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