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記念小話やSS

【季節ネタSS】バレンタイン、手作りチョコにはご用心*《前編》

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※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 バレンタイン。

 それは、愛する人に心を込めてチョコレートやお菓子を渡すのが一般的。

 そんなとき、相手の“心の声”が聞こえるお菓子手に入れたとしたら

 あなたはどうしますか・・・――――――?

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




「はい、エル。ハッピーバレンタイン♡」
「うむ。今年も美味そうだな。・・・ん?プリンのようだが、いつもと色が違う・・・?」
「ふふ~ん♪チョコレートっぽいモノが手に入ったので、プリン好きなエルのためにチョコレートプリンにしてみたの♡♡」
「ちょこれーと?」

スルト村にあるココットのお店・・・と言っても、ココットさんはもういないんだけど、このお店には珍しいものを手に入れたという行商人さんが結構な頻度で取引したいと訪ねてくるらしい。
そのため、世界各国の珍しいモノや滅多に手に入らないモノなどがたまに手に入るんだよね。

今回は、“甘味に使えるモノ”ということでカルステッドさんがあたしに譲ってくれた“カカット”という実を加工して粉末状にしたもの・・・そう、ココアパウダーの状態で入手することができたのだ。
ほんのり甘いので、パンやケーキ、クッキーなどに混ぜて使われることが多いらしい。
あたしはそれをプリンに使ってみたのだ。

「ん!いつものプリンのようだが、ほろ苦さの中に甘みがあって・・・何より風味が良い」

さすが、安定の食レポです。
甘いというよりビターな感じだから、甘すぎるのはちょっと・・・というエルには“大人のプリン”って感じで絶対気に入ってくれると思ってたんだよね!予想通りでした。

「サーヤ。今年は俺からも“ばれんたいん”だ」
「え、エルも用意してくれたの?嬉しい~♪」

エルがくれたのは、小さな透明袋に入ったクッキーのようなお菓子だった。
これって、もしかして・・・

「ね、エル。これ、もしかして作ってくれたの?」
「あぁ。甘味はあまり作ったことがないからな。形が少々いびつになってしまった」
「もうもうっ!エルが作ってくれたってだけで嬉しいよ♡食べても良い?」
「あぁ。食べた感想をぜひ聞かせてくれ」

袋を開けて厚みのあるクッキーを1つ手に取り、香りを楽しんでからパクっと頬張る。
ほんのりフルーティな香りがしたけど、何か果物が入ってるのかな?
クッキー自体は、フルーツと蜂蜜も入っているのか程よい甘みと手作りの優しい味がする。

「ん~、美味しい♪ほんのり甘くて優しい手作りクッキーの味がする!エル、ありがと♡」
「なに、ちょっとした実験のようなモノだ。これくらい構わぬ」
「ん?実験??」

エルが、バレンタインにそぐわない単語を言った気がする。
え・・・?どういうこと・・・??

「《実験ってなに?》」

・・・――――え?

「《あたし、今声に出したっけ?》」

??!!

「なになに?どうなってるの、これ??!!」
「・・・ふむ。即効性も申し分ない。あの果実は本物のようだな」
「あの、果実・・・?」

エルは一人で納得したように頷いているが、あたしにはまったく意味がわからない。
そんなあたしにようやく気付いたエルは、事の顛末を説明してくれたけど、とんでもない内容だった。


「えぇぇぇ??!!ちょっと前に、自白用に使われてる果実の偽物を売りつけられたから、本物かどうかを確認したかったって??!!」
「あぁ、見た目が双子のように瓜二つの果実でな。一応見分け方がわかり本物を入手したのだが、効果を確認しておこうと思ったのだ」
「《だからって、なんであたしを実験台にするなんて酷い!ドSっ!鬼畜っ!!マッドサイエンティスト!!!》」
「!!・・・あ、いや、その・・・」
「くくっ、心の中ではそのように思っているのだな。・・・なかなか面白い」
「《いやいや、全然面白いって顔してないから。めっちゃ意地悪そうな顔してるから!!》」
「!!!!」
「・・・」

あたしの心中のツッコみが、エルと会話をするようにぽんぽんと出てくる。
口に出すときは言い方ってモノを考えている分、心の声というのは超ストレートなので、その内容にエルもだんだん微妙な顔になってきた。

「ねぇ、エル。これの果実の効果ってどれくらいで切れるの?まさかずっとこのままなんてことないよね??」
「大丈夫だ。この果実の効果はせいぜい一晩。明日の朝には効果が切れているはずだ」
「良かった・・・じゃ、今日はもうこのまま寝ちゃおう」

今はもう子供達も寝かしつけた夫婦の時間だ。
このまま眠ってしまえば、明日の朝にはいつも通り・・・――――――

「そうさせると思うか?」
「デスヨネー」

エルがそんな果実を使って、このまま大人しく眠るだなんて思ってなかった。
思ってなかったけど、でも“もしかしたら”ってのもあるかもしれないじゃない??

「《どうしよう・・・絶対エルってば心の声を聞きながらあたしをいじめるつもりだ》」
「ほぅ・・・よくわかってるじゃないか」
「《わかりたくなんてなかったよ!》」
「そうなのか?」

エルは、あたしではなくあたしの“心の声”と会話を続ける。

「《これって、あたしは何も話さなくても良いんじゃない?》」
「確かにそうだな。・・・だが、そのうちそうも言ってられなくなるだろう」
「《え?それってどういう・・・》」
「ひゃぅっ」

エルはあたしの寝着の上から乳首をきゅっと摘まんだ。
寝着はすぐに脱がされることが多いから、この一枚しか着ておらず生地も薄いので触れた感触がほぼダイレクトに伝わる。

「や、んんっ」

寝着の上からきゅっと摘ままれるのも気持ち良いには気持ち良いけど、その先の快楽を嫌という程知っているあたしにはやっぱりどこか物足りなくて・・・

「《寝着の上からじゃなくて、直接触れて欲しい》」
「??!!」
「ほぅ・・・ならば要望に応えねばな」
「や、違っ、今のは・・・あぁぁっ」

寝着をたくし上げ、直接やわやわと胸を揉みしだき、時折指で敏感な先端を弾く。

「《足りない・・・いつもみたいに舐めたり吸ったりして、もっと・・・》」
「うわぁぁぁぁぁぁっ、ダメダメ!!こんな風に心の声聞くなんて卑怯だぁぁぁぁ」
「卑怯?お前が素直にシテ欲しいことを言うなら、俺もこんな事はしなかったが?」
「えぇ?!あたしのせいなの??」
「お前はいつも、"ダメ"だの"無理"だのばかりではないか」
「あ・・・」
「たまにはどこが良いとかこうして欲しいとか、ドコが気持ち良いとか、逆の事を言っても良いのではないか?」
「・・・そう、かもね。わかった。今日は逆の事言えるように頑張ってみる!」

エルにそう言われたことであたしが意気込んでいた時、当のエルは口元を手で覆い隠しながらニヤリとしていたなんて、知るよしもなかった。
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