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13章 初めての家族旅行兼新婚旅行 ~お米をGetするために~
波乱の料理教室
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◇
「「たのもー!」」
「ぁきゃっ、だぷー!」
「・・・今日はオレ様がパルミアの作り方を教わる日だよなぁ?お前んちのガキ共はいったい何と戦う気だ?」
「あはは・・・」
「もじゃ、かくごなの!」
「ボクが、せーばいするの!」
「はぁ?オレ様かよっ?!・・・おめぇは一度、子供の教育やり直した方が良いんじゃねぇか?」
「・・・うぅ、あたしが教えたんじゃないのに・・・」
今朝皆より少し遅めに起きると、スイートルームの応接間にはレオンやサクラとミナトちゃん達がすでに勢揃いしていて、レオンやサクラが意気揚々とあたしにこう言ってきた。
『まま、わるいやつは、くーがぷっちんすゆの!』
『ボクとくーで、ままを、まもるの!!』
皆がナニを教えたのか容易に想像できるけど、どうしてお城でもないこの場所ですでにやる気・・・いや、殺る気満々なんだろう?
『レオン、サクラ、今日は危険がいっぱいのお城じゃなくて、モジャさんに料理を教えに・・・』
『『モジャ!ままのてきなの?!』』
『いや、敵じゃな・・・』
『まま、くーたちも、いくの!』
『ままを、まもゆの!』
『・・・』
『ごめんね☆昨日サーヤにあげたアイテムの話をしてあげたら、二人とも殺る気になっちゃった♪』
―――――・・・とまぁ、こんな感じで双子なりにあたしを守ろうとしてくれてるらしい。
何から守るのかまでは理解してないみたいだけどね。
「レオン、サクラ。こいつは敵ではない。今日の昼飯を作ってくれる奴だ」
「「おひる、ごはん?」」
「あぁ。俺とサーヤが教えるのだ。お前達も手伝うか?」
「「あぃっ!てつだうの!!」」
「よし、良い子だ。褒美にこのクッキーをやろう」
「「わぁい♪ぱぱ、だいしゅきー♡」」
エルが、臨戦態勢だった双子を見事な手腕でお手伝いモードへと切り替えさせる。
良かった、これで一安心だね。
「子供のしつけには餌付けが有効ですのね。勉強になりましたわ」
「・・・絶対ぇ違うと思うぞ、ペチアリア。こいつらを参考にしようとするな。おいおめぇら、手伝う気があるならさっさと手を洗ってきやがれ!広いからって迷子になるんじゃねぇぞ!!」
本気で感心している婚約者、ペチャさんに冷静にツッコみつつ、的確な指示を出すモジャさん。
確かにエルのやり方は、子供というよりはペットの躾に近いものがあるかもしれない。
本当はモジャさんの自宅にお邪魔する予定だったけど、宿の部屋から階下に降りるとフロントに領主の館から使者の方が来ていて、「本日は当家の厨房にお越しくださいませ」とお迎えの馬車に乗るよう促された。
立派な馬車の登場に、テンション爆上がりな双子達やリリアが目をキラキラさせていたので、連れて来ざるを得なかったのだ。
ミナトちゃん達は「来たるべき日に備えて、準備する物があるの」と言ってついてこなかった。
・・・“来たるべき日”については、聞きたいような聞きたくないような・・・とりあえずあたしは“今は聞かない”という選択肢を取ることにした。
パルミア作りに入る前に、エルがモジャさん達にリーズのみの炊き方や、パルミアを作る際の炊き時間について説明する。
昨日あたしが教えたことだけど、第二王子がいないこの場でも念のため“エルから教えた”という形をとるようだ。
一通り説明した後、モジャさんは自分なりに仕込んできた食材や、あらかじめ考えて計量していた調味料を出して「今日は別の味付けも試してぇ」と言ってきた。
やっぱりこの人は、リーズに対しても料理に対しても真剣で、とても向上心があり好感が持てる人だ。
「おめぇらにはとっておきの仕事をやる。いいか?この調味料を順番に混ぜていくんだ。これはパルミアの味を左右する大事なソースで、うまいかどうかはお前達の手にかかってる。できるか?」
「くーたち、だいじなの?」
「ボクたちが、おいちくすゆの?」
「あぁ!お前達の手で、美味いパルミアを食べさせてくれ」
「「・・・っ、あいなの!!」
用意されたものを混ぜるという簡単な作業を、上手に子供達を鼓舞しつつお手伝いさせるなんて・・・
モジャさん、子供の扱いがとてもうまい。これは良いパパになるね。
「ふふっ♪」
「何をにやけてますの?気持ち悪い。こちらもさっさと作業を始めるわよ」
「酷いなぁ・・・モジャさんは良いパパになるねって思っただけなのに」
「なっ!!」
「ふふっ、、きっとモジャさんなら、子沢山で賑やかな楽しい家庭になるんでしょうね☆ペチャさん、頑張ってください♪」
「おっ、大きなお世話ですわよ!!」
顔を真っ赤にしながらも、嬉しそうに作業を進めるペチャさん。
ちらちらと、自分の作業をしながら双子に指示してるモジャさんを横目で見てる姿は、遠くない未来を想像してるに違いない。
「サーヤ。次の子を望むなら、お前の身体の周期上5日後辺りが適しているがどうする?」
「だぁぁぁぁぁっ、お願いだからエルはいい加減TPOをわきまえてぇぇぇ!!!!」
「む?てぃー、ぴーおーとはなんだ??」
「ふふっ☆リリア、遠くない未来にキミに弟か妹ができるかもしれないね♪」
「あぷ?」
こんな感じで、ペチャさんの家の厨房では皆で仲良く(?)賑やかにパルミア作りをしていたら、予想外・・・というか、よく考えるといてもおかしくない人達が厨房へとやって来た。
「何やらうまそうな匂いがすると思って来てみれば・・・お前らだったのか」
「この匂い・・・我の中に封印されし邪龍が目を覚ます日も近いやもしれぬ・・・」
「ライは空腹で匂いに釣られただけだろうが・・・」
「あ、へんなむしー」
「へんじんもいるのー」
「お前達っ!もうその呼び方直す気ないな?!」
厨房の入り口には、第二王子とライムントさんがいた。
この国の王族と側近なんだから、この村一番の宿で過ごすか一番偉い人の家にいるのは、当然といえば当然かもしれない。
「・・・うるさい奴らが来たな」
「え~、あんなの別にいてもいなくても関係なくない?」
「~~~~~っ、くそっ!オレはこの国の王族だぞ?揃いも揃ってなんでこんな・・・」
「案ずるな、カケル。お前は所詮その程度の人間なのだ。仕方あるまい」
「ライっ、てめぇフォローするようにトドメ刺してんじゃねぇよ!!バカ野郎っ!!!」
あまりのぞんざいな扱いに、第二王子は口調が乱れている。
きっとコレが素なんだろうね。
「えっと・・・殿下?」
「申し訳、ございません・・・こ、この者達には私達から・・・」
「あ・・・こほん。いや、構わぬ。こちらこそ取り乱して悪かったな・・・ここで見たことは他言無用だ」
「「かしこまりました」」
さりげなく、でもしっかりと口止めしている第二王子。
気を取り直して料理しているところを大人しく見学することにしたようだ。
「ところでサーヤ。今は何をしている?」
「えっと・・・パルミアに使うお肉を焼いてます」
「肉は具材と一緒に煮込むものかと思っていたが、そうではないのか?」
「お肉は焼き目がつくまで焼いた方が、味がしみ込んで美味しいんですよ」
「ほぅ・・・まるで作り慣れているかのような言い方だな」
「!!!」
待って待って。これってさりげなく誘導尋問されてる?!
いや、これくらいは料理をする上で常識だと思うから、まだセーフかな??
心なしかジリジリとにじり寄ってくる第二王子に逃げ腰になっていたら、ヒュンッという音と共に何かが飛んできて、ライムントさんがとっさにバリアを張って第二王子を庇う。
「・・・どういうつもりだ?小童ども」
ライムントさんがそう言いながら、レオンとサクラを睨みつけている。
え?今のってレオンとサクラがやったことなの??
「ままからはなれろ、“おーぞく”」
「“おーぞく”、ままのてきなの」
「は?!王族が敵?・・・どういうことだ??」
レオンとサクラは、あたしでもわかるくらいに殺気を放ち第二王子を睨みつけ、すでに臨戦態勢の状態だ。
「ふふっ☆レオンとサクラってば、ホント飲み込み速いよね♪」
「え?セイル、それってどーゆーこと??」
「・・・おおかた、双子達に“王族は敵だ”とでも教えたんだろう。あながち間違っていないが、今こちらから仕掛けるのは少々まずいな」
「へ?!」
セイルってば何てこと教えてるの??
ってか、エルも“今は”って、今じゃなくてもそんな教えは良くないに決まってるじゃないかっ!!
「・・・おめぇの家の教育方針はホントにどうなってんだよ」
「もうどこからどうツッコんで良いかわかりませんわ・・・」
「・・・」
そんなのあたしが聞きたいよっ!!!
さっきまでは平和な楽しい料理教室のようだったのに・・・あたしはやるせない気持ちを抱えながらも、この騒動を沈めるのに全力を尽くすことにした。
「「たのもー!」」
「ぁきゃっ、だぷー!」
「・・・今日はオレ様がパルミアの作り方を教わる日だよなぁ?お前んちのガキ共はいったい何と戦う気だ?」
「あはは・・・」
「もじゃ、かくごなの!」
「ボクが、せーばいするの!」
「はぁ?オレ様かよっ?!・・・おめぇは一度、子供の教育やり直した方が良いんじゃねぇか?」
「・・・うぅ、あたしが教えたんじゃないのに・・・」
今朝皆より少し遅めに起きると、スイートルームの応接間にはレオンやサクラとミナトちゃん達がすでに勢揃いしていて、レオンやサクラが意気揚々とあたしにこう言ってきた。
『まま、わるいやつは、くーがぷっちんすゆの!』
『ボクとくーで、ままを、まもるの!!』
皆がナニを教えたのか容易に想像できるけど、どうしてお城でもないこの場所ですでにやる気・・・いや、殺る気満々なんだろう?
『レオン、サクラ、今日は危険がいっぱいのお城じゃなくて、モジャさんに料理を教えに・・・』
『『モジャ!ままのてきなの?!』』
『いや、敵じゃな・・・』
『まま、くーたちも、いくの!』
『ままを、まもゆの!』
『・・・』
『ごめんね☆昨日サーヤにあげたアイテムの話をしてあげたら、二人とも殺る気になっちゃった♪』
―――――・・・とまぁ、こんな感じで双子なりにあたしを守ろうとしてくれてるらしい。
何から守るのかまでは理解してないみたいだけどね。
「レオン、サクラ。こいつは敵ではない。今日の昼飯を作ってくれる奴だ」
「「おひる、ごはん?」」
「あぁ。俺とサーヤが教えるのだ。お前達も手伝うか?」
「「あぃっ!てつだうの!!」」
「よし、良い子だ。褒美にこのクッキーをやろう」
「「わぁい♪ぱぱ、だいしゅきー♡」」
エルが、臨戦態勢だった双子を見事な手腕でお手伝いモードへと切り替えさせる。
良かった、これで一安心だね。
「子供のしつけには餌付けが有効ですのね。勉強になりましたわ」
「・・・絶対ぇ違うと思うぞ、ペチアリア。こいつらを参考にしようとするな。おいおめぇら、手伝う気があるならさっさと手を洗ってきやがれ!広いからって迷子になるんじゃねぇぞ!!」
本気で感心している婚約者、ペチャさんに冷静にツッコみつつ、的確な指示を出すモジャさん。
確かにエルのやり方は、子供というよりはペットの躾に近いものがあるかもしれない。
本当はモジャさんの自宅にお邪魔する予定だったけど、宿の部屋から階下に降りるとフロントに領主の館から使者の方が来ていて、「本日は当家の厨房にお越しくださいませ」とお迎えの馬車に乗るよう促された。
立派な馬車の登場に、テンション爆上がりな双子達やリリアが目をキラキラさせていたので、連れて来ざるを得なかったのだ。
ミナトちゃん達は「来たるべき日に備えて、準備する物があるの」と言ってついてこなかった。
・・・“来たるべき日”については、聞きたいような聞きたくないような・・・とりあえずあたしは“今は聞かない”という選択肢を取ることにした。
パルミア作りに入る前に、エルがモジャさん達にリーズのみの炊き方や、パルミアを作る際の炊き時間について説明する。
昨日あたしが教えたことだけど、第二王子がいないこの場でも念のため“エルから教えた”という形をとるようだ。
一通り説明した後、モジャさんは自分なりに仕込んできた食材や、あらかじめ考えて計量していた調味料を出して「今日は別の味付けも試してぇ」と言ってきた。
やっぱりこの人は、リーズに対しても料理に対しても真剣で、とても向上心があり好感が持てる人だ。
「おめぇらにはとっておきの仕事をやる。いいか?この調味料を順番に混ぜていくんだ。これはパルミアの味を左右する大事なソースで、うまいかどうかはお前達の手にかかってる。できるか?」
「くーたち、だいじなの?」
「ボクたちが、おいちくすゆの?」
「あぁ!お前達の手で、美味いパルミアを食べさせてくれ」
「「・・・っ、あいなの!!」
用意されたものを混ぜるという簡単な作業を、上手に子供達を鼓舞しつつお手伝いさせるなんて・・・
モジャさん、子供の扱いがとてもうまい。これは良いパパになるね。
「ふふっ♪」
「何をにやけてますの?気持ち悪い。こちらもさっさと作業を始めるわよ」
「酷いなぁ・・・モジャさんは良いパパになるねって思っただけなのに」
「なっ!!」
「ふふっ、、きっとモジャさんなら、子沢山で賑やかな楽しい家庭になるんでしょうね☆ペチャさん、頑張ってください♪」
「おっ、大きなお世話ですわよ!!」
顔を真っ赤にしながらも、嬉しそうに作業を進めるペチャさん。
ちらちらと、自分の作業をしながら双子に指示してるモジャさんを横目で見てる姿は、遠くない未来を想像してるに違いない。
「サーヤ。次の子を望むなら、お前の身体の周期上5日後辺りが適しているがどうする?」
「だぁぁぁぁぁっ、お願いだからエルはいい加減TPOをわきまえてぇぇぇ!!!!」
「む?てぃー、ぴーおーとはなんだ??」
「ふふっ☆リリア、遠くない未来にキミに弟か妹ができるかもしれないね♪」
「あぷ?」
こんな感じで、ペチャさんの家の厨房では皆で仲良く(?)賑やかにパルミア作りをしていたら、予想外・・・というか、よく考えるといてもおかしくない人達が厨房へとやって来た。
「何やらうまそうな匂いがすると思って来てみれば・・・お前らだったのか」
「この匂い・・・我の中に封印されし邪龍が目を覚ます日も近いやもしれぬ・・・」
「ライは空腹で匂いに釣られただけだろうが・・・」
「あ、へんなむしー」
「へんじんもいるのー」
「お前達っ!もうその呼び方直す気ないな?!」
厨房の入り口には、第二王子とライムントさんがいた。
この国の王族と側近なんだから、この村一番の宿で過ごすか一番偉い人の家にいるのは、当然といえば当然かもしれない。
「・・・うるさい奴らが来たな」
「え~、あんなの別にいてもいなくても関係なくない?」
「~~~~~っ、くそっ!オレはこの国の王族だぞ?揃いも揃ってなんでこんな・・・」
「案ずるな、カケル。お前は所詮その程度の人間なのだ。仕方あるまい」
「ライっ、てめぇフォローするようにトドメ刺してんじゃねぇよ!!バカ野郎っ!!!」
あまりのぞんざいな扱いに、第二王子は口調が乱れている。
きっとコレが素なんだろうね。
「えっと・・・殿下?」
「申し訳、ございません・・・こ、この者達には私達から・・・」
「あ・・・こほん。いや、構わぬ。こちらこそ取り乱して悪かったな・・・ここで見たことは他言無用だ」
「「かしこまりました」」
さりげなく、でもしっかりと口止めしている第二王子。
気を取り直して料理しているところを大人しく見学することにしたようだ。
「ところでサーヤ。今は何をしている?」
「えっと・・・パルミアに使うお肉を焼いてます」
「肉は具材と一緒に煮込むものかと思っていたが、そうではないのか?」
「お肉は焼き目がつくまで焼いた方が、味がしみ込んで美味しいんですよ」
「ほぅ・・・まるで作り慣れているかのような言い方だな」
「!!!」
待って待って。これってさりげなく誘導尋問されてる?!
いや、これくらいは料理をする上で常識だと思うから、まだセーフかな??
心なしかジリジリとにじり寄ってくる第二王子に逃げ腰になっていたら、ヒュンッという音と共に何かが飛んできて、ライムントさんがとっさにバリアを張って第二王子を庇う。
「・・・どういうつもりだ?小童ども」
ライムントさんがそう言いながら、レオンとサクラを睨みつけている。
え?今のってレオンとサクラがやったことなの??
「ままからはなれろ、“おーぞく”」
「“おーぞく”、ままのてきなの」
「は?!王族が敵?・・・どういうことだ??」
レオンとサクラは、あたしでもわかるくらいに殺気を放ち第二王子を睨みつけ、すでに臨戦態勢の状態だ。
「ふふっ☆レオンとサクラってば、ホント飲み込み速いよね♪」
「え?セイル、それってどーゆーこと??」
「・・・おおかた、双子達に“王族は敵だ”とでも教えたんだろう。あながち間違っていないが、今こちらから仕掛けるのは少々まずいな」
「へ?!」
セイルってば何てこと教えてるの??
ってか、エルも“今は”って、今じゃなくてもそんな教えは良くないに決まってるじゃないかっ!!
「・・・おめぇの家の教育方針はホントにどうなってんだよ」
「もうどこからどうツッコんで良いかわかりませんわ・・・」
「・・・」
そんなのあたしが聞きたいよっ!!!
さっきまでは平和な楽しい料理教室のようだったのに・・・あたしはやるせない気持ちを抱えながらも、この騒動を沈めるのに全力を尽くすことにした。
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