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13章 初めての家族旅行兼新婚旅行 ~お米をGetするために~

名物料理はどっち?!ガチンコ料理対決2 in セイルside

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「〈皆さ~ん、本日は突然開催されたにも関わらず、この「名物料理決定戦」にお集まりいただきありがとうございます!本日の司会を務めます、この村のアイドル、ルーちゃんでっす♡〉」

周囲に自分の声が聞こえるよう、拡張魔法を使っているこの村のアイドルとか言う女が司会を始めて、サーヤとエリュシオンVSモジャモジャの料理対決が始まった。

ボクはなんとなく面白そうだし、作った料理を最初に食べれるからって事で用意された審査員席ってのに座ってみたけど、ボク以外はここの村人みたいだ。
こんなんで正当な審査なんてできるのかな?

「〈さてさて、まずは対決している方達を紹介しますね!まずはこの方、この村のリーズ農家筆頭で、この料理対決の発案者ペチアリア=クーラウス様の婚約者でもあるモジアルド=パエルシスエンドリュー!!〉」

え?あのモジャモジャとこのペチャパイって婚約してるの??
料理の味に関係なく、絶対モジャモジャを勝たせるに決まってるじゃない。

モジャモジャ自身も人望があるのか、周囲の村人達はものすごく応援してる感じだ。

「〈そして対戦相手は、現在ガルドニアから旅行に来ている巨乳!・・・え?あの、ペチアリア様、あの方の名前は??〉」
「ふんっ!あんな女、名前を呼ぶ価値もありませんわ!」
「〈・・・〉」

ペチャパイの反応にはさすがに司会者も困ってるようだ。

「サーヤだよ☆対戦相手の女の子の名前は“サーヤ”」
「あ、ありがとうございます!・・・こほん。〈えー、対戦相手はガルドニアにお住いのサーヤさんです!〉」

サーヤ達の紹介には、男達が少し盛り上げてくれるものの反応はイマイチのようだ。
だけど、女達がエリュシオンを見て「あの美形エルフは誰?あの女のなんなの??」「妹じゃない?似てないけど」などとざわついているのが聞こえる。

確かにサーヤは、早くからボクやミナト達が加護を与えたし、今はエリュシオンと寿命も共有してるから、見た目はまだまだ若く人妻や子持ちには見えないかもしれない。

「〈えっと、サーヤさんと・・・もう一人の美形のエルフの方がいらっしゃいますね。恋人・・・?いえ、似てはいませんが、ご兄妹でしょうか?〉」

あーあ。今の言葉、エリュシオンにもしっかり耳に入っちゃったみたいだね☆
サーヤ可哀そう♪

案の定、司会者の言葉に反応したエリュシオンは、調理している手を止めてから材料を選んでいるサーヤの元へ行き、たくさんの観客が見ている前でサーヤに口付けをした。もちろん舌を絡めるような濃厚なヤツだ。

そんなエリュシオンの行動に、男女問わず驚きと悲鳴のような声が沸きあがる。

ふふっ、サーヤの心も今だいぶパニック起こしてるみたいだね☆

「〈あ、えっと・・・あの方はサーヤさんと恋仲のようですね・・・はは・・・〉」
「ままー、ちゃんと、ごはんつくらないと、めっなのよー」
「ぱぱー、ままのおじゃま、めっなのー」
「〈えぇぇ?!ママ?パパ??・・・あの、もしかしてサーヤさんって・・・〉」
「うん、人妻で子持ちだよ☆あと、この子も二人の子供♪」
「まー!ぱぁー!」
「〈????!!!!〉」

レオンとサクラの応援(?)とボクの一言で、会場はさらに変な空気になってきた。
・・・うん。まぁ嫌な空気は感じないから大丈夫だろう。

会場がいろんな意味で阿鼻叫喚している中、対戦相手のモジャモジャが拡声魔法で会場に声をかけ始めた。

「〈おいおめぇら!騒ぐのは構わねぇが、これはオレ様とあいつのガチの料理対決だ!それだけは邪魔するんじゃねぇ!!良いな!!!〉」

モジャモジャは、意外にも正々堂々としていた。
まぁ、より美味しいパルミアを作りたい気持ちは本気なんだね☆

「〈後、審査員席にいる奴ら。公正な審査をしなかったら・・・どうなるかわかってるんだろうなぁ〉」
「「「・・・」」」
「〈そして、ペチアリア。・・・もし、公正な審査をしなかったりこの勝負に横槍を入れるようなら・・・おめぇとは婚約解消だ。わかったな〉」
「なっ?!」
「〈警告は以上だ!後はパルミアが出来上がるのを待ちやがれ!!〉」

そう言って、拡声魔法を解除したモジャモジャは調理を再開した。
この場の空気はもちろんのこと、さっきよりも重苦しい雰囲気だ。
・・・一部を除いて。

「サーヤまま、エルぱぱ、モジャモジャに負けたらめっなのよー」
「大丈夫だよ。きっとおねーさんが勝つって」
「うん!俺達のサーヤが負けるはずない!!」

レオンやサクラ、そしてミナト達はこの場の空気に動じることなく応援を続けてる。
もちろんボクが抱っこしてるリリアも自分なりに応援してるらしく、機嫌良さそうに手足をばたつかせていてとても可愛い☆

「・・・めない。認めないわ・・・」
「・・・何を認めないの?」

隣にいたペチャパイが、俯いてこぶしを握り締めながら呟いていたから、気まぐれに声をかけてみた。

「モジアルドはこの村一番の料理人よ。作る料理だって一番美味しいの。・・・あんな女になんか負けないわ」
「・・・そのモジャモジャは、サーヤにパルミアを美味しくする方法を聞きたがってたよ?今の味に満足してない証拠じゃない☆」
「それはわかってるわよ!」

審査員席の机をダンッと叩いたことで、リリアがビクっとしてしまう。

「目の前に小さな子がいるのわからないの?いきなり大きな音とかやめてよね。・・・次やったら消すよ?」
「!!・・・っ、わ、わかったわよ。ごめんなさい・・・」

ほんのちょっとだけ殺気が漏れちゃったけど、結果的にペチャパイが黙ったから良しとしよう☆

「・・・モジアルドがずっと前から悩んでいたのに、あんなポッと出てきた巨乳女が「美味しく作れる」だなんて、ありえない・・・あっちゃいけないのよ・・・じゃなきゃ、彼の努力や今まで悩んで苦しんできた時間って・・・」
「・・・」

なるほど。
本気で悩んでいたからこそ、何度も何度も試行錯誤を繰り返してきた。
でも、未だに満足できる味になっていないんだろう。

だけど、リーズを求めて旅行に来たサーヤが「自分だったら美味しく作れる」って大声で叫んだものだから、そりゃ「なんだこいつ」ってなるわけだ。

サーヤは中身が“落ち人”で、このリーズを作って後世に伝えたのも、この国の元国王である“落ち人”だ。
同じ世界の知識を持っているんだから、美味しく調理する方法を知ってて当たり前だとボクやエリュシオンは思うけど、そんな事情を知らない現地の人はそう思っても仕方ないか・・・

事情を突っ込まれるとさらに面倒なコトになりそうだし、ここはボクがちょっとだけフォローしてあげよう☆

「・・・あのさ、別にサーヤが助言したってモジャモジャの努力は無駄にならないんじゃない?」
「え?」
「だって、人間ってそれぞれいろんな考えを持ってて、持っている知識も違うでしょ?しかも、サーヤはガルドニアから来た料理好きの単なる旅行者だ。食文化もまったく違う場所から来たんだから、料理に対して違う意見を持ってたって当然じゃない☆」
「あ・・・」
「サーヤは“自分が美味しいと思うモノを作りたい。それを皆に食べさせたい”と思ってるだけだよ☆ま、その結果、皆も美味しいと思って食べるんだけどね♪本人はそれ以上深く考えてないはずだよ☆」
「え、それは考えなさすぎじゃ・・・」
「サーヤはそういう子だもの☆」
「・・・」

まだ少し腑に落ちない顔をしてるけど、多分納得するのは時間の問題だろう。
ちょうど少し遠くから「できたー!」という声が聞こえてきたから、パルミアも出来上がったようだ。


さて、このペチャパイと、今の会話を聞いてた村人たちは公正な審査をするのかな?
ま、公正な審査をしなかったらボクがまたちょっと言ってあげれば良いよね☆
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