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12章 初めての家族旅行兼新婚旅行 ~お米の国へ出発編~
真夜中の来訪者
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◇
「はぁ・・・夜風が気持ち良い」
子供達と一緒に眠っていたあたしは、夜中にふと目が覚めてしまい、寝室にあったにバルコニーに出て少し夜風に当たっていた。
船の上なのにバルコニーが付いていて、強風が吹きぬけないよう魔道具で調整されているなんてさすがスイートルームなだけあるよね。
ここなら一応部屋の中というか一部だし、許容範囲でしょ。
今までは、寿命を考えると明らかに先にいなくなってしまう自分に、何ができるか、残せるかを考えて生活することが多かった。
だけどそんな考えを見透かされ、エルと命を共にするようになってからは、自分だけの命じゃないから今まで以上に用心して、必ずエルかセイル達と一緒にいようと心掛けるようになった。
だから、そばで子供達が眠っているにしても、こうして一人でぼーっとする時間ができるなんて、あたしにはとても珍しいことだった。
「ふふっ、こうして一人で夜風に当たってるなんて・・・なんだか不思議な気分♪」
一人の時間というモノがほとんどないけど、エルや皆と一緒にいるのが楽しいから苦だとは思ったことはない。
でも、こうして一人の時間が持てるというのもたまには良いかもしれないね。
「明日はいよいよフェイフォンの港町・・・ルーアだっけ?ふふっ、どんな町なんだろう」
ハーフェンにはフェイフォンから流通したゾーヤ・・・お味噌があって、少し味が違うけどサバの味噌煮やお味噌汁があった。
きっと、過去日本から来た落ち人である“タモツさん”という人が、フェイフォンの王様であるときにお味噌汁や他の日本食を広めてくれたに違いない。
そうなると、以前ユーリが教えてくれた“リーズ”・・・これは間違いなくお米だと、根拠のない自信があたしにはあった。
「お米・・・後はお米さえあれば、サバの味噌煮定食やお刺身定食、親子丼、あ、トンカツ定食もなんとかいけるかな?とりあえず、ご飯のバリエーションがめっちゃ増えるっ!くぅ~~~~っ、待っててね!お米ちゃんっ!!」
ぐっすり眠った子供達が起きないからと言って、一人でガッツポーズをしながら叫んでしまうくらい、今のあたしはテンションが高かった。
「ふむ。その“おこめ”とやらは“みそしる”と合うのか」
「もちろんっ!白いお米にお味噌汁は和食の鉄板だもの!!・・・って、え?」
見知らぬ声に思わず返答したものの、至近距離からエルやセイル達ではない声が聞こえて、思わず警戒し振り返る。
「あなたは・・・」
「我は漆黒の闇から覚醒した。今我が力を解き放ち・・・――――」
「えっと、起きたばかりって事ですよね。おはようございます・・・もう夜中ですけど」
振り返った先にいたのは、雷の精霊王様であるライムントさんだった。
いつの間にか隣にいて、不思議なポーズを取ったままあたしに話しかけてきた。
言葉の内容から今しがた起きたみたいだけど、すでに中二病全開である。
「ライムントさんは、どうしてここに・・・」
(ぐぐぅぅ~きゅるる・・・)
「・・・お腹が空いたんですね。ちょっと待っててください」
あたしは自分の魔法袋の中から、先日少しだけ手に入れたお味噌で作った試食用のサバの味噌煮の残りと、お肉たっぷりのサンドイッチをライムントさんに渡した。
確かお味噌汁にすごく思い入れがあるって言ってたから、これも好きだよね?
「これは・・・?」
「サバの味噌煮・・・じゃなくて、この世界ではマクレのゾーヤ煮か。お味噌汁と同じ材料を使ってるんです。でもそれだけじゃ足りないだろうから、このサンドイッチもどうぞ」
「・・・」
少し驚いた顔をしながら無言で受け取り、そのまま静かに食べ始めたライムントさんは、恐る恐るサバの味噌煮を口にすると、一瞬驚いた顔をしてからパクパクと一気に食べ進めた。
様子を見ていようと思ってたけど、ベッドで眠っているリリアのぐずる声が聞こえたので、慌ててベッドへと向かった。
「んみゅ、まま・・・リリたん、どちたの?」
「あ、ごめんねサクラ、起こしちゃったね。リリアがちょっとぐずっちゃって・・・でもママがみてるから、まだ寝てて良いよ」
「ん、だいじょぶなの。くーも、リリたん、よしよしするのよ。おねーたんだもの」
「ふふっ、ありがとう」
あたしはぐずっているリリアを抱っこして、一緒に起きてしまったサクラと一緒にベッド横のソファに座り、リリアをあやしていた。
本来ならば、ライムントさんが来た時点でエルやセイルに伝えるべきだったのに、あたし達家族の日常は精霊の王様と普通に過ごすことが多いから、ついそれをおろそかにしてしまった。
ライムントさんは、あたし達の仲間の精霊王様ではないのに・・・―――――――
「・・・この味、懐かしい。タモツが作る味に似ている・・・欲しい、欲しいぞ・・・」
渡したサンドイッチと少量のサバの味噌煮を食べ終えたライムントさんは、ゆっくりと立ち上がりあたしとサクラのいる方へと歩いてきた。
「あ、ライムントさん、食べ終わったんですね。お腹いっぱいになりましたか?」
「ままぁ、このおじちゃ、だえ?」
「えっと・・・ライムントさんっていって、セイルが話してた・・・」
「あ!へんじん!!」
「ん~、間違ってはいないけど、その覚え方はちょっと・・・――――」
「お前を見つけるために、幾千年の時を経てここに来た・・・光栄に思え、お前を我が眷属としてやろう」
「・・・へ?」
幾千年も何も、たまたま偶然少し前に会ったばかりなのにとか、眷属ってなんだ?とツッコみたかったけど、そういう前にライムントさんが何かの魔法をあたし達に向かって放たれていた。
”危ないっ!!”と思って、あたしがとっさにリリアとサクラをかばうように抱きしめると、目も開けていられないくらいの眩い光に包みこまれ、その光がだんだん弱くなっていくのを感じたとき、遠くで誰かの叫び声が聞こえたような気がした・・・――――――――
「はぁ・・・夜風が気持ち良い」
子供達と一緒に眠っていたあたしは、夜中にふと目が覚めてしまい、寝室にあったにバルコニーに出て少し夜風に当たっていた。
船の上なのにバルコニーが付いていて、強風が吹きぬけないよう魔道具で調整されているなんてさすがスイートルームなだけあるよね。
ここなら一応部屋の中というか一部だし、許容範囲でしょ。
今までは、寿命を考えると明らかに先にいなくなってしまう自分に、何ができるか、残せるかを考えて生活することが多かった。
だけどそんな考えを見透かされ、エルと命を共にするようになってからは、自分だけの命じゃないから今まで以上に用心して、必ずエルかセイル達と一緒にいようと心掛けるようになった。
だから、そばで子供達が眠っているにしても、こうして一人でぼーっとする時間ができるなんて、あたしにはとても珍しいことだった。
「ふふっ、こうして一人で夜風に当たってるなんて・・・なんだか不思議な気分♪」
一人の時間というモノがほとんどないけど、エルや皆と一緒にいるのが楽しいから苦だとは思ったことはない。
でも、こうして一人の時間が持てるというのもたまには良いかもしれないね。
「明日はいよいよフェイフォンの港町・・・ルーアだっけ?ふふっ、どんな町なんだろう」
ハーフェンにはフェイフォンから流通したゾーヤ・・・お味噌があって、少し味が違うけどサバの味噌煮やお味噌汁があった。
きっと、過去日本から来た落ち人である“タモツさん”という人が、フェイフォンの王様であるときにお味噌汁や他の日本食を広めてくれたに違いない。
そうなると、以前ユーリが教えてくれた“リーズ”・・・これは間違いなくお米だと、根拠のない自信があたしにはあった。
「お米・・・後はお米さえあれば、サバの味噌煮定食やお刺身定食、親子丼、あ、トンカツ定食もなんとかいけるかな?とりあえず、ご飯のバリエーションがめっちゃ増えるっ!くぅ~~~~っ、待っててね!お米ちゃんっ!!」
ぐっすり眠った子供達が起きないからと言って、一人でガッツポーズをしながら叫んでしまうくらい、今のあたしはテンションが高かった。
「ふむ。その“おこめ”とやらは“みそしる”と合うのか」
「もちろんっ!白いお米にお味噌汁は和食の鉄板だもの!!・・・って、え?」
見知らぬ声に思わず返答したものの、至近距離からエルやセイル達ではない声が聞こえて、思わず警戒し振り返る。
「あなたは・・・」
「我は漆黒の闇から覚醒した。今我が力を解き放ち・・・――――」
「えっと、起きたばかりって事ですよね。おはようございます・・・もう夜中ですけど」
振り返った先にいたのは、雷の精霊王様であるライムントさんだった。
いつの間にか隣にいて、不思議なポーズを取ったままあたしに話しかけてきた。
言葉の内容から今しがた起きたみたいだけど、すでに中二病全開である。
「ライムントさんは、どうしてここに・・・」
(ぐぐぅぅ~きゅるる・・・)
「・・・お腹が空いたんですね。ちょっと待っててください」
あたしは自分の魔法袋の中から、先日少しだけ手に入れたお味噌で作った試食用のサバの味噌煮の残りと、お肉たっぷりのサンドイッチをライムントさんに渡した。
確かお味噌汁にすごく思い入れがあるって言ってたから、これも好きだよね?
「これは・・・?」
「サバの味噌煮・・・じゃなくて、この世界ではマクレのゾーヤ煮か。お味噌汁と同じ材料を使ってるんです。でもそれだけじゃ足りないだろうから、このサンドイッチもどうぞ」
「・・・」
少し驚いた顔をしながら無言で受け取り、そのまま静かに食べ始めたライムントさんは、恐る恐るサバの味噌煮を口にすると、一瞬驚いた顔をしてからパクパクと一気に食べ進めた。
様子を見ていようと思ってたけど、ベッドで眠っているリリアのぐずる声が聞こえたので、慌ててベッドへと向かった。
「んみゅ、まま・・・リリたん、どちたの?」
「あ、ごめんねサクラ、起こしちゃったね。リリアがちょっとぐずっちゃって・・・でもママがみてるから、まだ寝てて良いよ」
「ん、だいじょぶなの。くーも、リリたん、よしよしするのよ。おねーたんだもの」
「ふふっ、ありがとう」
あたしはぐずっているリリアを抱っこして、一緒に起きてしまったサクラと一緒にベッド横のソファに座り、リリアをあやしていた。
本来ならば、ライムントさんが来た時点でエルやセイルに伝えるべきだったのに、あたし達家族の日常は精霊の王様と普通に過ごすことが多いから、ついそれをおろそかにしてしまった。
ライムントさんは、あたし達の仲間の精霊王様ではないのに・・・―――――――
「・・・この味、懐かしい。タモツが作る味に似ている・・・欲しい、欲しいぞ・・・」
渡したサンドイッチと少量のサバの味噌煮を食べ終えたライムントさんは、ゆっくりと立ち上がりあたしとサクラのいる方へと歩いてきた。
「あ、ライムントさん、食べ終わったんですね。お腹いっぱいになりましたか?」
「ままぁ、このおじちゃ、だえ?」
「えっと・・・ライムントさんっていって、セイルが話してた・・・」
「あ!へんじん!!」
「ん~、間違ってはいないけど、その覚え方はちょっと・・・――――」
「お前を見つけるために、幾千年の時を経てここに来た・・・光栄に思え、お前を我が眷属としてやろう」
「・・・へ?」
幾千年も何も、たまたま偶然少し前に会ったばかりなのにとか、眷属ってなんだ?とツッコみたかったけど、そういう前にライムントさんが何かの魔法をあたし達に向かって放たれていた。
”危ないっ!!”と思って、あたしがとっさにリリアとサクラをかばうように抱きしめると、目も開けていられないくらいの眩い光に包みこまれ、その光がだんだん弱くなっていくのを感じたとき、遠くで誰かの叫び声が聞こえたような気がした・・・――――――――
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