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10章 延引された結婚式
変わりゆく王都と完成したウェディングドレス
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◇
「きゃ~~~~~!!レオン、サクラ、久しぶり~~~~会いたかったわ~~~~~♡♡」
「「マーちゃ!」」
「ふふっ、お久しぶりです、マゼンダさん。お元気そうで何よりです」
今日は、家族4人で王都にあるマゼンダさんのお店に来ている。
森の家に戻ってからも、時々ウェディングドレスの件でマデリーヌさんがマゼンダさんを森の家に連れて来ていたので、双子達はすっかりマゼンダさんと仲良しだ。
「マゼンダ、今回は俺達全員色を変えずにそのまま王都へ来いと言うからそうしたが、王都に着いてからおかしな事続きだ。一体王都で何があった?」
そう。以前は色を偽った上でフード付きマントを着用してエルと王都にやってきたんだけど、不思議な事に今回それは不要だと言われていた。
とりあえず王都の近くまで転移して、半信半疑になりながらも言われた通り王都入り口の関所で順番待ちをしていたら、あたし達は門番の人達に別の通用口へと案内され、そのまますでに用意されていた馬車に乗せられ「到着しました」と声がかかったと思ったらマゼンダさんのお店の前に着いていた。
馬車の予約とか行先は一切告げていないのに・・・明らかにおかしい。
「ふふっ、王都は以前起こったアネモネ嬢の事件から大分変ったわ♪サーヤちゃんは悲劇のヒロイン、エリュシオンは数々の伝説を作った元魔法省のトップかつ、“黒”でありながらこの国とヒロインを救った王子様!そして共に精霊王様に愛された尊い存在!!本や舞台にまでなってて、今でも大人気の演目よ♪」
「「??!!」」
「しかも、現王妃であるモニカ様はサーヤの親友ですもの。超VIP待遇で当然じゃないの♪あ、馬車についてはあなた達専用の馬車を王族側が手配して、行先については私が伝えていたの♪なかなか快適な馬車だったでしょ?」
ちょっと待って!!舞台とか本とか何その状態っ、恥ずかしすぎる!!!!
VIP待遇とか要らないからぁぁぁぁぁぁ!!!!!
「それにね、今ではこの王都に“黒”を差別するような人間はほとんどいなくなったわ。寧ろ魔力が豊富で羨ましがられるくらいよ。・・・レヴィン様はきっとコレが狙いだったんでしょうね」
「「!!!!!」」
「かなり大々的になってしまったけれど、国が法律であなた達に手を出す事を禁止にしているから、恐れ知らずなどっかのバカでもない限り手を出してくることはないでしょう。・・・あ、ちなみにメラルダでの一件も王都に号外が出回ったから知られてるわよ☆ふふっ、王子だろうが手を出した末路がどうなるのか、国民に改めて伝わったんじゃないかしら?」
何という事だ・・・
この世界に個人情報とかプライバシーってモノは存在しいないんだろうか??
「・・・はぁ、何にしても悪目立ちする事に変わりないではないか・・・そして、メラルダの件を公開するよう指示したのはモニカだろう」
「えぇ?!モニカが??!!」
「恐らくレヴィンと協力し合ったのだろうが、サーヤの守りとなるような情報をあえて開示して世論を味方につけたのだ。アネモネの件でロンド家や各貴族はお前を手中に収めようと躍起になっていたはずだからな。そこへたまたま他国の王族が手を出した結果どうなったかという情報を開示した。それを知った奴らは同じことをすれば明日は我が身だとわかった事だろう。俺達はそもそも王都に住んでいないから、情報が出回ったところでそこまで支障はない」
「そうね~、“情報”ってのは出し方1つで善にも悪にも捉えられるから、アネモネ嬢の一件の後、裏で何か画策してる奴らへの牽制や警告もあったんでしょうね。モニカ様の件もそいつらが絡んでたみたいだし」
「!!!」
あたしが巻き込まれたアネモネさんの一件・・・その後何らかの形であたしを利用できないかと画策していた貴族達は、モニカの暗殺事件にも関与していたようだ。
・・・知らなかった・・・こんな所でもあたしは守られていたんだ・・・
「ふふっ、サーヤちゃん、何か気にしてるようだけど、むしろサーヤちゃんのおかげでゴミ掃除ができて王様達は満足してるんだから、何にも気にする必要なんてないのよ?それよりも、やっと完成したウェディングドレスをさっそく試着してみてくれない?」
「あ、そうでした!完成したんですよね?ウェディングドレス!」
「そうなのよ~。結婚式は転移門が完成してからってなったでしょ?せっかくだから前からやってみたかった染色方法を試してみたくてね♪おかげで今後の新作もいろいろできそうで助かっちゃった♡」
エルに双子達を預けて、マゼンダさんに試着室に案内されると、そこには以前試着したドレスを着たトルソーが置かれていた。
以前と違うのは、後ろ側のドレスの裾と妖精の羽根のように見えるレースのリボンが虹色に染められていて、角度によってキラキラと色を変えてとても美しい所だ。
「すごい・・・すごく綺麗です!!前も十分素敵だったけど、このドレスの裾とレースのリボンの虹色がすっごく綺麗!!!」
「ふふ~。でしょでしょ??森で結婚式を挙げるって言うから、妖精さんに頼み込んで染料の材料となる“妖精の涙”を少し分けてもらったの!妖精さんにもドレスを見てもらったらすごく喜んでくれて、今後も協力してくれる事になったのよ~~!もうっ、サーヤちゃん様様だわっ!!」
「ひゃっ、でもそれはマゼンダさんの力があってこそですよ?」
「わかってないわね~。妖精さんと関わるきっかけをくれたのは紛れもなくサーヤちゃんのおかげなの!エリュシオンにしたって、精霊王様にしたって、サーヤちゃんがいなければ今こんな素敵な関係にはなれてないはずよ?いい加減自信を持ちなさいな」
「きゃうっ!マゼンダさんっ、や、胸、そんなっ・・・」
「あら?サーヤちゃんまた胸が大きくなった??」
(ドンドンッ)
「マゼンダ!余計な事をしないでさっさとサーヤにドレスを着せろ」
「ままぁー、まだぁ?おなかちゅいたのー」
「くーたんね、おやちゅたべたいのー」
試着室のドアを叩いて各々訴えてくるエルと双子達に、思わずマゼンダさんと苦笑いしてしまった。
非常食は持ってきてるけど、今日のおやつはお城でモニカ達と食べる約束をしてるので、今食べさせるわけにはいかなかった。
「この後お城に行くんでしょう?ささっと着替えてエリュシオン達を驚かせてあげましょう」
「はい!」
マゼンダさんに手伝ってもらい、完成したウェディングドレスに着替えてエルと双子達の前に姿を見せると、お腹を空かせてエルを困らせていた双子達が一瞬にして黙り、エルもあたしが見てわかる位驚いているのがわかる。
「はわぁ~・・・まま、よーちぇーたんなの~♪」
「はわぁ~・・・ちゅごいの、きえーなの~♪」
「・・・」
レオンとサクラが両手を頬に添えてそれぞれ感嘆の言葉を漏らす中、エルは驚いているようだけど感想は述べていない。
「レオン、サクラ、ありがとう。・・・あの、エル・・・どうかな?」
「・・・っ、あ、あぁ・・・その・・・」
「もうっ、エリュシオンってば!綺麗すぎてビックリするのはわかるけど、本番ではちゃんと化粧と髪の毛セットしても~~~~っと綺麗にするのよ??今からこんな驚いててどうするの!!!」
(バシバシッ)
「・・・痛っ!うるさいっ、叩くなマゼンダ!」
「だったら素直に”可愛い”とか”綺麗だね”とか、サーヤちゃんに言ってあげなさいな!」
「・・・っ」
マゼンダさんに散々小突かれたエルがあたしの目の前で止まり、口元を抑えて少し考えるそぶりをしてから、耳元であたしにだけ聞こえるようそっと囁いた。
「・・・すごく綺麗だ。誰にも見せたくないくらいにな・・・結婚式の初夜はお前を壊してしまうやもしれぬ・・・」
「????!!!!」
予想外のエルの魔王様発言に、顔を真っ赤にしながら口をパクパクさせてしまうあたし。
最上級に褒めつつ、なんていう脅迫ですかっ!!!!
素直に喜べないんですけど!!!!!
「はいっ、お披露目は終了よ!サーヤちゃんが着替えてる間にエリュシオンの採寸もしちゃうから、さっさと準備して!!」
そんなマゼンダさんの号令でお披露目は強制的に終了。
着替え終わった頃には、“ぐぅぅぅ~~~きゅるるる~~~~~”と双子達のお腹がものすごく空腹をアピールしていたので、早々に城へと向かったのでした。
「きゃ~~~~~!!レオン、サクラ、久しぶり~~~~会いたかったわ~~~~~♡♡」
「「マーちゃ!」」
「ふふっ、お久しぶりです、マゼンダさん。お元気そうで何よりです」
今日は、家族4人で王都にあるマゼンダさんのお店に来ている。
森の家に戻ってからも、時々ウェディングドレスの件でマデリーヌさんがマゼンダさんを森の家に連れて来ていたので、双子達はすっかりマゼンダさんと仲良しだ。
「マゼンダ、今回は俺達全員色を変えずにそのまま王都へ来いと言うからそうしたが、王都に着いてからおかしな事続きだ。一体王都で何があった?」
そう。以前は色を偽った上でフード付きマントを着用してエルと王都にやってきたんだけど、不思議な事に今回それは不要だと言われていた。
とりあえず王都の近くまで転移して、半信半疑になりながらも言われた通り王都入り口の関所で順番待ちをしていたら、あたし達は門番の人達に別の通用口へと案内され、そのまますでに用意されていた馬車に乗せられ「到着しました」と声がかかったと思ったらマゼンダさんのお店の前に着いていた。
馬車の予約とか行先は一切告げていないのに・・・明らかにおかしい。
「ふふっ、王都は以前起こったアネモネ嬢の事件から大分変ったわ♪サーヤちゃんは悲劇のヒロイン、エリュシオンは数々の伝説を作った元魔法省のトップかつ、“黒”でありながらこの国とヒロインを救った王子様!そして共に精霊王様に愛された尊い存在!!本や舞台にまでなってて、今でも大人気の演目よ♪」
「「??!!」」
「しかも、現王妃であるモニカ様はサーヤの親友ですもの。超VIP待遇で当然じゃないの♪あ、馬車についてはあなた達専用の馬車を王族側が手配して、行先については私が伝えていたの♪なかなか快適な馬車だったでしょ?」
ちょっと待って!!舞台とか本とか何その状態っ、恥ずかしすぎる!!!!
VIP待遇とか要らないからぁぁぁぁぁぁ!!!!!
「それにね、今ではこの王都に“黒”を差別するような人間はほとんどいなくなったわ。寧ろ魔力が豊富で羨ましがられるくらいよ。・・・レヴィン様はきっとコレが狙いだったんでしょうね」
「「!!!!!」」
「かなり大々的になってしまったけれど、国が法律であなた達に手を出す事を禁止にしているから、恐れ知らずなどっかのバカでもない限り手を出してくることはないでしょう。・・・あ、ちなみにメラルダでの一件も王都に号外が出回ったから知られてるわよ☆ふふっ、王子だろうが手を出した末路がどうなるのか、国民に改めて伝わったんじゃないかしら?」
何という事だ・・・
この世界に個人情報とかプライバシーってモノは存在しいないんだろうか??
「・・・はぁ、何にしても悪目立ちする事に変わりないではないか・・・そして、メラルダの件を公開するよう指示したのはモニカだろう」
「えぇ?!モニカが??!!」
「恐らくレヴィンと協力し合ったのだろうが、サーヤの守りとなるような情報をあえて開示して世論を味方につけたのだ。アネモネの件でロンド家や各貴族はお前を手中に収めようと躍起になっていたはずだからな。そこへたまたま他国の王族が手を出した結果どうなったかという情報を開示した。それを知った奴らは同じことをすれば明日は我が身だとわかった事だろう。俺達はそもそも王都に住んでいないから、情報が出回ったところでそこまで支障はない」
「そうね~、“情報”ってのは出し方1つで善にも悪にも捉えられるから、アネモネ嬢の一件の後、裏で何か画策してる奴らへの牽制や警告もあったんでしょうね。モニカ様の件もそいつらが絡んでたみたいだし」
「!!!」
あたしが巻き込まれたアネモネさんの一件・・・その後何らかの形であたしを利用できないかと画策していた貴族達は、モニカの暗殺事件にも関与していたようだ。
・・・知らなかった・・・こんな所でもあたしは守られていたんだ・・・
「ふふっ、サーヤちゃん、何か気にしてるようだけど、むしろサーヤちゃんのおかげでゴミ掃除ができて王様達は満足してるんだから、何にも気にする必要なんてないのよ?それよりも、やっと完成したウェディングドレスをさっそく試着してみてくれない?」
「あ、そうでした!完成したんですよね?ウェディングドレス!」
「そうなのよ~。結婚式は転移門が完成してからってなったでしょ?せっかくだから前からやってみたかった染色方法を試してみたくてね♪おかげで今後の新作もいろいろできそうで助かっちゃった♡」
エルに双子達を預けて、マゼンダさんに試着室に案内されると、そこには以前試着したドレスを着たトルソーが置かれていた。
以前と違うのは、後ろ側のドレスの裾と妖精の羽根のように見えるレースのリボンが虹色に染められていて、角度によってキラキラと色を変えてとても美しい所だ。
「すごい・・・すごく綺麗です!!前も十分素敵だったけど、このドレスの裾とレースのリボンの虹色がすっごく綺麗!!!」
「ふふ~。でしょでしょ??森で結婚式を挙げるって言うから、妖精さんに頼み込んで染料の材料となる“妖精の涙”を少し分けてもらったの!妖精さんにもドレスを見てもらったらすごく喜んでくれて、今後も協力してくれる事になったのよ~~!もうっ、サーヤちゃん様様だわっ!!」
「ひゃっ、でもそれはマゼンダさんの力があってこそですよ?」
「わかってないわね~。妖精さんと関わるきっかけをくれたのは紛れもなくサーヤちゃんのおかげなの!エリュシオンにしたって、精霊王様にしたって、サーヤちゃんがいなければ今こんな素敵な関係にはなれてないはずよ?いい加減自信を持ちなさいな」
「きゃうっ!マゼンダさんっ、や、胸、そんなっ・・・」
「あら?サーヤちゃんまた胸が大きくなった??」
(ドンドンッ)
「マゼンダ!余計な事をしないでさっさとサーヤにドレスを着せろ」
「ままぁー、まだぁ?おなかちゅいたのー」
「くーたんね、おやちゅたべたいのー」
試着室のドアを叩いて各々訴えてくるエルと双子達に、思わずマゼンダさんと苦笑いしてしまった。
非常食は持ってきてるけど、今日のおやつはお城でモニカ達と食べる約束をしてるので、今食べさせるわけにはいかなかった。
「この後お城に行くんでしょう?ささっと着替えてエリュシオン達を驚かせてあげましょう」
「はい!」
マゼンダさんに手伝ってもらい、完成したウェディングドレスに着替えてエルと双子達の前に姿を見せると、お腹を空かせてエルを困らせていた双子達が一瞬にして黙り、エルもあたしが見てわかる位驚いているのがわかる。
「はわぁ~・・・まま、よーちぇーたんなの~♪」
「はわぁ~・・・ちゅごいの、きえーなの~♪」
「・・・」
レオンとサクラが両手を頬に添えてそれぞれ感嘆の言葉を漏らす中、エルは驚いているようだけど感想は述べていない。
「レオン、サクラ、ありがとう。・・・あの、エル・・・どうかな?」
「・・・っ、あ、あぁ・・・その・・・」
「もうっ、エリュシオンってば!綺麗すぎてビックリするのはわかるけど、本番ではちゃんと化粧と髪の毛セットしても~~~~っと綺麗にするのよ??今からこんな驚いててどうするの!!!」
(バシバシッ)
「・・・痛っ!うるさいっ、叩くなマゼンダ!」
「だったら素直に”可愛い”とか”綺麗だね”とか、サーヤちゃんに言ってあげなさいな!」
「・・・っ」
マゼンダさんに散々小突かれたエルがあたしの目の前で止まり、口元を抑えて少し考えるそぶりをしてから、耳元であたしにだけ聞こえるようそっと囁いた。
「・・・すごく綺麗だ。誰にも見せたくないくらいにな・・・結婚式の初夜はお前を壊してしまうやもしれぬ・・・」
「????!!!!」
予想外のエルの魔王様発言に、顔を真っ赤にしながら口をパクパクさせてしまうあたし。
最上級に褒めつつ、なんていう脅迫ですかっ!!!!
素直に喜べないんですけど!!!!!
「はいっ、お披露目は終了よ!サーヤちゃんが着替えてる間にエリュシオンの採寸もしちゃうから、さっさと準備して!!」
そんなマゼンダさんの号令でお披露目は強制的に終了。
着替え終わった頃には、“ぐぅぅぅ~~~きゅるるる~~~~~”と双子達のお腹がものすごく空腹をアピールしていたので、早々に城へと向かったのでした。
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