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10章 延引された結婚式
旦那様は出張中
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◇
目が覚めると、目の前にはフィリーさんと涙で目がウルウル状態の双子達がいた。
ここは、寝室のベッド・・・?
「あれ、お義母さん・・・?」
「大丈夫か?サーヤ・・・まったく、エリュシオンはどうしようもないバカ息子だな」
「ままぁ・・・ッグズ、いたいいたい?」
「ままぁ・・・ッグズ、だっこ~」
「レオン、サクラ、ママはまだ熱があるからあまり無理させちゃいけないよ」
「え?あたし、熱があるんですか?」
そう言えば確かに身体が熱い。
あれ?でもあたし、エルとお風呂で・・・
意識を失う前の事を思い出して、顔がボッとまた熱くなる。
ここ最近のえっちは時間をかけてじっくりスル事が多かったから、あんなに性急に激しく抱かれ久々に意識が飛んでしまったようだ。
「あっ、あの、そう言えばエルは・・・?」
「あぁ、バカ息子ならグズ亭主と一緒に今頃エルフの森だろう」
「え、バカ・・・?!お義母さん?」
あれ?バカ息子にグズ亭主って、間違いなくエルとルーシェントさんだよね?
フィリーさん、実はかなり怒ってらっしゃる??
どうやらフィリーさんは、体調の悪いあたしに無理を強いたんだろうとエルにご立腹の様子。
フィリーさんとしては”女性に無理を強いるな”、”女性の体調や態度には気を遣え”、”襲うなど言語道断”等と厳しく教えてきたらしいのだが・・・
・・・おかしい。身に覚えのある事ばかりな気がする・・・
ちなみに、エルとルーシェントさんは、転移門の完成に必要な素材を採集するため、月の綺麗な夜だけに咲く“月光草”と、満月の夜にだけ運が良ければ採集できる“月の雫”を求めて、数時間前にエルフの森へ向かったようだ。
エルは、素材採集に向かうと1週間ほど家を空ける事になるため行こうかどうかずっと迷ってたらしい。
ようやく決心がついていざ話そうとしたら、あたしが気を失って話せなかったみたいだ。
そう言えば気を失う直前、エルが何か言ってたね・・・
しかも、あたしが気を失っている間にルーシェントさんから採集場所の確認を終えたと連絡がきて、次の満月はもう間もなくだという事も判明。
採集に行くなら、すぐにでも出発する必要があった。
エルは次の周期にしようと提案したみたいだけど、ルーシェントさん曰く、採集場所は周期ごとに変わる特殊な仕様なので、次回だと場所が変わってしまうらしい。
この世界の満月はおよそ2~3ヶ月と随分ゆっくりとした周期だから、これを逃すと採集場所を調べなおす必要がある上に採集しに行くのが随分先になってしまう。
そのため、フィリーさんにあたしの看病と双子達の世話をお願いするという苦渋の決断をしたようだ。
「世界樹ユグドラシルがあるエルフの森は“生きた森”とも言われていて、地形が変わる事もあるのだ。あいつらは、“月光草”や“月の雫”の他に“ユグドラシルの葉”も手に入れるつもりらしい。何代か前の里長が奇跡的に見つけたという話は聞いたが、あいつらに見つけられるかどうか・・・」
「“ユグドラシルの葉”・・・」
世界樹ユグドラシル・・・今回はなんかすごい場所に採集しに向かったんだね。
危険な事とかなければ良いけど・・・
「ルーシェの研究バカは見事にエリュシオンにも引き継がれたみたいでな・・・すまない、サーヤ」
「いえいえっ、最近行き詰ってて考え込んでる事も多かったから、少しでも先が見えたならそれに越したことはないです!・・・無事に帰って来てくれたらそれで十分ですよ」
「サーヤ・・・」
ベッドに座った状態で、フィリーさんにぎゅうっと抱きしめられる。
警備の仕事をしているフィリーさんの抱擁は、力強さと包容力の両方があって安心感が半端ない。
「ぼくも、ぎゅ~!」
「くーたんも、ぎゅ~~!」
「ふふっ、2人共こっちにおいで」
「「あいっ」」
その日は双子があたしから離れたがらなかったので、双子用の簡易ベッドを寝室に用意し、夜はフィリーさんと双子達と4人で一緒に過ごした。
エルとルーシェントさんはだいたい1週間ほどで帰る予定で、エルはあたしと中身を共有できる魔法袋も持って行ってるみたいだから、料理やお菓子を作って入れる事にした。
気づいたらきっと食べてくれるだろう。
家に居るのにエルがいないのは、少し・・・いや、だいぶ寂しいけど、その分ミナトちゃん達が毎日遊びに来てくれたり、セイルやマデリーヌさん達も顔を出してエルとの念話のやり取りなどを教えてくれるので、無事が確認できるだけでもありがたい。
こうして、無事に帰ってくるのを祈りつつ、魔法袋にご飯を用意する日々が始まったのだった。
◇
「あ、エルからの返事だ。なになに・・・“今日のキッシュはいつもと味が違っていたが、美味かった。”・・・ふふっ、味の違いに気づいてくれるなんて、さすがエルだね」
エルとルーシェントさんが素材採集に出かけて3日目。
魔法袋に入れた料理はちゃんと食べてくれているようだから、あたしは文字の練習も兼ねてちょっとした手紙を付けてみる事にした。
すると、エルもちゃんと返事をくれるからやり取りが楽しくなってきて、今では手紙とご飯のセットが定番になりつつあった。
出張している旦那様に、お弁当と手紙を送ってる感じだね!
返事を貰えるのがとても嬉しいので、貰った手紙は全部大事に保管している。
あたしがエルに手紙を書いていると、レオンとサクラも一緒になって書きたがり、さらに遊びに来ていたミナトちゃん達も混ざってくるので、だんだん賑やかなお手紙になってきた。
もちろん双子やミナトちゃん達は文字が書けないので絵を描いている。
「ん~・・・双子やミナトちゃん達には、ちゃんとしたお絵かき用の道具を用意してあげたいなぁ」
「確かにこれからの事を考えるとあった方が良いだろうな。・・・ならば、この近辺の事も知りたいし私が買ってこよう。どこに買いに行けば良い?」
「え、良いんですか?とても助かります!・・・えっと、スルト村にいつもお世話になっているココットさんのお店があるんですけど・・・」
「うむ、ココットの店だな。ちなみに場所や距離がわかるような地図はあるか?サーヤ」
「!!」
しまった!!いつもエルの転移魔法で行ってるから、場所や距離があたしにはまったくわからない・・・
「場所はボクが知ってるから連れて行ってあげるよ☆」
「え、セイル殿が?でも・・・」
「ふふっ、大丈夫☆ボクがしたくてそうするんだから問題ないよ♪」
「ホントに良いの?セイル」
「うん☆むしろどんな反応するのか楽しみだから、ぜひとも行きたい♪」
「「??」」
とりあえず、セイルがフィリーさんとスルト村に行ってくれる事になったので、お絵かき用の道具や、その他必要と思った日用品や食材の買い出しをフィリーさんにお願いし、あたしは双子やミナトちゃん達とお留守番する事にした。
目が覚めると、目の前にはフィリーさんと涙で目がウルウル状態の双子達がいた。
ここは、寝室のベッド・・・?
「あれ、お義母さん・・・?」
「大丈夫か?サーヤ・・・まったく、エリュシオンはどうしようもないバカ息子だな」
「ままぁ・・・ッグズ、いたいいたい?」
「ままぁ・・・ッグズ、だっこ~」
「レオン、サクラ、ママはまだ熱があるからあまり無理させちゃいけないよ」
「え?あたし、熱があるんですか?」
そう言えば確かに身体が熱い。
あれ?でもあたし、エルとお風呂で・・・
意識を失う前の事を思い出して、顔がボッとまた熱くなる。
ここ最近のえっちは時間をかけてじっくりスル事が多かったから、あんなに性急に激しく抱かれ久々に意識が飛んでしまったようだ。
「あっ、あの、そう言えばエルは・・・?」
「あぁ、バカ息子ならグズ亭主と一緒に今頃エルフの森だろう」
「え、バカ・・・?!お義母さん?」
あれ?バカ息子にグズ亭主って、間違いなくエルとルーシェントさんだよね?
フィリーさん、実はかなり怒ってらっしゃる??
どうやらフィリーさんは、体調の悪いあたしに無理を強いたんだろうとエルにご立腹の様子。
フィリーさんとしては”女性に無理を強いるな”、”女性の体調や態度には気を遣え”、”襲うなど言語道断”等と厳しく教えてきたらしいのだが・・・
・・・おかしい。身に覚えのある事ばかりな気がする・・・
ちなみに、エルとルーシェントさんは、転移門の完成に必要な素材を採集するため、月の綺麗な夜だけに咲く“月光草”と、満月の夜にだけ運が良ければ採集できる“月の雫”を求めて、数時間前にエルフの森へ向かったようだ。
エルは、素材採集に向かうと1週間ほど家を空ける事になるため行こうかどうかずっと迷ってたらしい。
ようやく決心がついていざ話そうとしたら、あたしが気を失って話せなかったみたいだ。
そう言えば気を失う直前、エルが何か言ってたね・・・
しかも、あたしが気を失っている間にルーシェントさんから採集場所の確認を終えたと連絡がきて、次の満月はもう間もなくだという事も判明。
採集に行くなら、すぐにでも出発する必要があった。
エルは次の周期にしようと提案したみたいだけど、ルーシェントさん曰く、採集場所は周期ごとに変わる特殊な仕様なので、次回だと場所が変わってしまうらしい。
この世界の満月はおよそ2~3ヶ月と随分ゆっくりとした周期だから、これを逃すと採集場所を調べなおす必要がある上に採集しに行くのが随分先になってしまう。
そのため、フィリーさんにあたしの看病と双子達の世話をお願いするという苦渋の決断をしたようだ。
「世界樹ユグドラシルがあるエルフの森は“生きた森”とも言われていて、地形が変わる事もあるのだ。あいつらは、“月光草”や“月の雫”の他に“ユグドラシルの葉”も手に入れるつもりらしい。何代か前の里長が奇跡的に見つけたという話は聞いたが、あいつらに見つけられるかどうか・・・」
「“ユグドラシルの葉”・・・」
世界樹ユグドラシル・・・今回はなんかすごい場所に採集しに向かったんだね。
危険な事とかなければ良いけど・・・
「ルーシェの研究バカは見事にエリュシオンにも引き継がれたみたいでな・・・すまない、サーヤ」
「いえいえっ、最近行き詰ってて考え込んでる事も多かったから、少しでも先が見えたならそれに越したことはないです!・・・無事に帰って来てくれたらそれで十分ですよ」
「サーヤ・・・」
ベッドに座った状態で、フィリーさんにぎゅうっと抱きしめられる。
警備の仕事をしているフィリーさんの抱擁は、力強さと包容力の両方があって安心感が半端ない。
「ぼくも、ぎゅ~!」
「くーたんも、ぎゅ~~!」
「ふふっ、2人共こっちにおいで」
「「あいっ」」
その日は双子があたしから離れたがらなかったので、双子用の簡易ベッドを寝室に用意し、夜はフィリーさんと双子達と4人で一緒に過ごした。
エルとルーシェントさんはだいたい1週間ほどで帰る予定で、エルはあたしと中身を共有できる魔法袋も持って行ってるみたいだから、料理やお菓子を作って入れる事にした。
気づいたらきっと食べてくれるだろう。
家に居るのにエルがいないのは、少し・・・いや、だいぶ寂しいけど、その分ミナトちゃん達が毎日遊びに来てくれたり、セイルやマデリーヌさん達も顔を出してエルとの念話のやり取りなどを教えてくれるので、無事が確認できるだけでもありがたい。
こうして、無事に帰ってくるのを祈りつつ、魔法袋にご飯を用意する日々が始まったのだった。
◇
「あ、エルからの返事だ。なになに・・・“今日のキッシュはいつもと味が違っていたが、美味かった。”・・・ふふっ、味の違いに気づいてくれるなんて、さすがエルだね」
エルとルーシェントさんが素材採集に出かけて3日目。
魔法袋に入れた料理はちゃんと食べてくれているようだから、あたしは文字の練習も兼ねてちょっとした手紙を付けてみる事にした。
すると、エルもちゃんと返事をくれるからやり取りが楽しくなってきて、今では手紙とご飯のセットが定番になりつつあった。
出張している旦那様に、お弁当と手紙を送ってる感じだね!
返事を貰えるのがとても嬉しいので、貰った手紙は全部大事に保管している。
あたしがエルに手紙を書いていると、レオンとサクラも一緒になって書きたがり、さらに遊びに来ていたミナトちゃん達も混ざってくるので、だんだん賑やかなお手紙になってきた。
もちろん双子やミナトちゃん達は文字が書けないので絵を描いている。
「ん~・・・双子やミナトちゃん達には、ちゃんとしたお絵かき用の道具を用意してあげたいなぁ」
「確かにこれからの事を考えるとあった方が良いだろうな。・・・ならば、この近辺の事も知りたいし私が買ってこよう。どこに買いに行けば良い?」
「え、良いんですか?とても助かります!・・・えっと、スルト村にいつもお世話になっているココットさんのお店があるんですけど・・・」
「うむ、ココットの店だな。ちなみに場所や距離がわかるような地図はあるか?サーヤ」
「!!」
しまった!!いつもエルの転移魔法で行ってるから、場所や距離があたしにはまったくわからない・・・
「場所はボクが知ってるから連れて行ってあげるよ☆」
「え、セイル殿が?でも・・・」
「ふふっ、大丈夫☆ボクがしたくてそうするんだから問題ないよ♪」
「ホントに良いの?セイル」
「うん☆むしろどんな反応するのか楽しみだから、ぜひとも行きたい♪」
「「??」」
とりあえず、セイルがフィリーさんとスルト村に行ってくれる事になったので、お絵かき用の道具や、その他必要と思った日用品や食材の買い出しをフィリーさんにお願いし、あたしは双子やミナトちゃん達とお留守番する事にした。
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