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9章 帰郷!エルフの里へ ~悪戦苦闘の子育て編~
お家で過ごそう 〜忘れかけていた目的地〜
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◇
「サーヤ、明日双子達を連れてエルフの里に行こうと思うのだがどうだ?」
「えぇ?!明日??」
平然としたエルに、なんの前触れもなくそう言われたのは、いつものように庭で双子や皆と一緒に日向ぼっこをしている時だった。
ホントにこの突然の急展開は慣れるしかないの?
でも、決定事項ではなく"どうだ?"って聞いてくれるあたり、前よりはマシなのかな?
・・・いや、だとしても"いつ行こう?"と相談くらい欲しかったよ。
明日という言葉に、準備する物を思い浮かべて明日までに用意できるか考えてたら、話を聞いたミナトちゃん達も会話に入って来た。
「エルぱぱ、じぃーじたちのところにいくの?」
「あぁ。どうやら里長に双子の事を話したら、どうしても会いたいと泣きつかれたらしい」
「里長って確かクラリスさんのお父さんだよね?」
「クラたんのぱぱ?」
「じゃあクラリスおねーさんにも会えるって事?」
「多分会えると思うけど・・・今はいっぱい勉強頑張ってるから、少ししか会えないかもね」
エルフの里に帰る時の言葉だと会ってくれる感じだったけど、明日って急だし忙しかったらそんなに時間取れないだろうしなぁ・・・
でもせっかくなら双子にも会わせたいし、アレク兄様を今も想ってるのか聞きたい。
「まんまー」
「ぱぁー、んまー」
「ふふっ、レオンもサクラも明日は一緒にお出かけだよ!楽しみだね~♪」
「だぁっ、ぁぷー!」
「お、サクラは出かけるのが好きみたいだな。レオンはどうだ?」
「あぅ、だー」
「レオたんも、おててばたばた、たのちそう♡・・・ね、エルぱぱ、あたちたち、いっしょにいっていいの?」
「一緒に行っていいなら行きたいけど、ダメなら僕達家で魔法の特訓頑張るよ」
以前だったら“一緒に行きたい”って言っていた2人が、今はエルの言う事を聞こうとしてる。
双子が産まれてから少しずつ心境が変わってきたみたいだけど、双子と一緒に2人の成長も間近で感じられるのが凄く嬉しい。
「サーヤ、俺も一緒に行きたい!」
「駄犬、お前はハウスだ」
「!!!」
・・・ベルナートさんはホントに変わらない・・・というか、ホントにブレないなぁ。
「明日はとりあえず、俺とサーヤと双子達、あとモニカだけで行く」
「あら、私もついて行って良いんですの?」
「レヴィンから預かっている身だし、双子達も大分懐いている。・・・それに、次期王妃としてエルフの里の者と交流しておいて損はないのではないか?」
「!!・・・ふふっ、かしこまりましたわ。臨月なのでご迷惑おかけするかもしれませんが、しっかりガルドニアの代表として外交を成功させて見せますの!」
「ミナト、カイト。今回は長居したとしても一泊程度だ。今後ミナト達も連れて行けるよう許可をもらってくるから、今回は家の留守を頼んで良いか?」
「!!・・・あいっ」
「うんっ、留守番は任せておいて!」
ふふっ、“待ってろ”じゃなくて“留守を頼む”って言い方するなんて、さすがはエルだね。
ミナトちゃんもカイトくんも、エルに家の事頼まれてすごく嬉しそう。
そんな中、フランさんが少し考えながらセイルと相談し始めた。
「明日は庭でリンダとアルマ、カルステッドの剣術を見る予定だから、セイル、明日はミナト達に体術の特訓をお願いして良いかい?」
「う~ん・・・それも良いけど、サーヤ達が居ないなら、たまには家の事も忘れて全員まとめて特訓しちゃうのもアリじゃない?ミナト達も体術なら今のカルステッド達の良い特訓相手になると思うよ☆」
「「「「????!!!!」」」」
最近家の周りが平和になったのと、ダンジョン攻略で貯金もできたため、今日は珍しく庭に全員集合している。
少し離れた場所のテーブルセットで、お茶を楽しんでいたカルステッドさん達も、ミナトちゃん達と実践ありの特訓にかなり驚いているようだ。
「カルおじさんと戦う・・・楽しそう。カルおじさん強いもんね」
「え、あのっ、カイト殿・・・」
「にぃーにと、たたかうの?」
「ミナト様、それは・・・」
「どうしよう、アルマ。あたし達、生きていられるかな?」
「キミ達はベルナートと2対1で勝負が良いんじゃない☆勝った方にサーヤ特製のキッシュをあげるよ♪」
「!!・・・リンダ、俺達なら大丈夫だ。きっと勝てる」
「!!・・・サーヤのキッシュは渡さない・・・!!」
・・・なんだろう。あたし達がいない間に皆が一緒に特訓する事になってる・・・しかも、セイルってば勝手にあたしの作ったキッシュを景品にしてる・・・
別に良いんだけどね。
「明日この家にマデリーヌを呼んでおいてやる。どんな大怪我をしても死なない限りは回復できるぞ。安心しろ」
「「「「!!!!!!!」」」」
エル、それはある意味安心かもしれないけど、安心できる言葉じゃないからねっ!!!
転移門もできたし、そのうち行くんだろうなぁと思ってたら、相変わらず突然すぎるエルの発言で決まったエルフの里行き。
楽しみな気持ちもあるけど、それよりもいつ出産になってもおかしくないモニカを連れて行く事と、お留守番組が心配だなという気持ちの方が強いのはあたしだけだろうか・・・
ま、お泊まりになっても明日だけみたいだから大丈夫かな?
今回の目的でもあるエルの故郷"エルフの里"。
道中いろんな事があり過ぎて、目的地だと忘れかけてたけど、やっぱりエルの生まれ育った場所に連れて行ってもらえるのは嬉しいな。
明日は双子やモニカの体調が崩れたりしませんように・・・―――――
「サーヤ、明日双子達を連れてエルフの里に行こうと思うのだがどうだ?」
「えぇ?!明日??」
平然としたエルに、なんの前触れもなくそう言われたのは、いつものように庭で双子や皆と一緒に日向ぼっこをしている時だった。
ホントにこの突然の急展開は慣れるしかないの?
でも、決定事項ではなく"どうだ?"って聞いてくれるあたり、前よりはマシなのかな?
・・・いや、だとしても"いつ行こう?"と相談くらい欲しかったよ。
明日という言葉に、準備する物を思い浮かべて明日までに用意できるか考えてたら、話を聞いたミナトちゃん達も会話に入って来た。
「エルぱぱ、じぃーじたちのところにいくの?」
「あぁ。どうやら里長に双子の事を話したら、どうしても会いたいと泣きつかれたらしい」
「里長って確かクラリスさんのお父さんだよね?」
「クラたんのぱぱ?」
「じゃあクラリスおねーさんにも会えるって事?」
「多分会えると思うけど・・・今はいっぱい勉強頑張ってるから、少ししか会えないかもね」
エルフの里に帰る時の言葉だと会ってくれる感じだったけど、明日って急だし忙しかったらそんなに時間取れないだろうしなぁ・・・
でもせっかくなら双子にも会わせたいし、アレク兄様を今も想ってるのか聞きたい。
「まんまー」
「ぱぁー、んまー」
「ふふっ、レオンもサクラも明日は一緒にお出かけだよ!楽しみだね~♪」
「だぁっ、ぁぷー!」
「お、サクラは出かけるのが好きみたいだな。レオンはどうだ?」
「あぅ、だー」
「レオたんも、おててばたばた、たのちそう♡・・・ね、エルぱぱ、あたちたち、いっしょにいっていいの?」
「一緒に行っていいなら行きたいけど、ダメなら僕達家で魔法の特訓頑張るよ」
以前だったら“一緒に行きたい”って言っていた2人が、今はエルの言う事を聞こうとしてる。
双子が産まれてから少しずつ心境が変わってきたみたいだけど、双子と一緒に2人の成長も間近で感じられるのが凄く嬉しい。
「サーヤ、俺も一緒に行きたい!」
「駄犬、お前はハウスだ」
「!!!」
・・・ベルナートさんはホントに変わらない・・・というか、ホントにブレないなぁ。
「明日はとりあえず、俺とサーヤと双子達、あとモニカだけで行く」
「あら、私もついて行って良いんですの?」
「レヴィンから預かっている身だし、双子達も大分懐いている。・・・それに、次期王妃としてエルフの里の者と交流しておいて損はないのではないか?」
「!!・・・ふふっ、かしこまりましたわ。臨月なのでご迷惑おかけするかもしれませんが、しっかりガルドニアの代表として外交を成功させて見せますの!」
「ミナト、カイト。今回は長居したとしても一泊程度だ。今後ミナト達も連れて行けるよう許可をもらってくるから、今回は家の留守を頼んで良いか?」
「!!・・・あいっ」
「うんっ、留守番は任せておいて!」
ふふっ、“待ってろ”じゃなくて“留守を頼む”って言い方するなんて、さすがはエルだね。
ミナトちゃんもカイトくんも、エルに家の事頼まれてすごく嬉しそう。
そんな中、フランさんが少し考えながらセイルと相談し始めた。
「明日は庭でリンダとアルマ、カルステッドの剣術を見る予定だから、セイル、明日はミナト達に体術の特訓をお願いして良いかい?」
「う~ん・・・それも良いけど、サーヤ達が居ないなら、たまには家の事も忘れて全員まとめて特訓しちゃうのもアリじゃない?ミナト達も体術なら今のカルステッド達の良い特訓相手になると思うよ☆」
「「「「????!!!!」」」」
最近家の周りが平和になったのと、ダンジョン攻略で貯金もできたため、今日は珍しく庭に全員集合している。
少し離れた場所のテーブルセットで、お茶を楽しんでいたカルステッドさん達も、ミナトちゃん達と実践ありの特訓にかなり驚いているようだ。
「カルおじさんと戦う・・・楽しそう。カルおじさん強いもんね」
「え、あのっ、カイト殿・・・」
「にぃーにと、たたかうの?」
「ミナト様、それは・・・」
「どうしよう、アルマ。あたし達、生きていられるかな?」
「キミ達はベルナートと2対1で勝負が良いんじゃない☆勝った方にサーヤ特製のキッシュをあげるよ♪」
「!!・・・リンダ、俺達なら大丈夫だ。きっと勝てる」
「!!・・・サーヤのキッシュは渡さない・・・!!」
・・・なんだろう。あたし達がいない間に皆が一緒に特訓する事になってる・・・しかも、セイルってば勝手にあたしの作ったキッシュを景品にしてる・・・
別に良いんだけどね。
「明日この家にマデリーヌを呼んでおいてやる。どんな大怪我をしても死なない限りは回復できるぞ。安心しろ」
「「「「!!!!!!!」」」」
エル、それはある意味安心かもしれないけど、安心できる言葉じゃないからねっ!!!
転移門もできたし、そのうち行くんだろうなぁと思ってたら、相変わらず突然すぎるエルの発言で決まったエルフの里行き。
楽しみな気持ちもあるけど、それよりもいつ出産になってもおかしくないモニカを連れて行く事と、お留守番組が心配だなという気持ちの方が強いのはあたしだけだろうか・・・
ま、お泊まりになっても明日だけみたいだから大丈夫かな?
今回の目的でもあるエルの故郷"エルフの里"。
道中いろんな事があり過ぎて、目的地だと忘れかけてたけど、やっぱりエルの生まれ育った場所に連れて行ってもらえるのは嬉しいな。
明日は双子やモニカの体調が崩れたりしませんように・・・―――――
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