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9章 帰郷!エルフの里へ ~悪戦苦闘の子育て編~

お家で暮らそう ~家族の時間と夫婦の時間2*~

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「じゃあ2人共、行ってらっしゃい」
「双子達は魔力も含めて私達が面倒みるから安心しろ」
「エルぱぱ、サーヤまま、たのちんできてね♡」
「僕達がレオンやサクラといっぱい遊ぶから大丈夫だよ」
「俺、今日は犬の状態でレオンとサクラのそばにいるよ。それなら良いんだよね?エリュシオン」

翌日、朝食を食べた後くらいに転移魔法でルーシェントさん達が来てくれて、お茶をしながら話をしてたんだけど、どんどん話が変な方向へ行き「とりあえず2人は今日久しぶりにデートでもして来なさい!」と言って、無理矢理追い出される方向になった。

セイルは少し離れた場所で皆を見守り、フランさんは今夜のおかずを狩りに行ってくると言ってアルマさんとリンダを連れて意気揚々と出かけて行った。
アレク兄様は家事をしつつ周辺の警護、カルステッドさんは知り合いの冒険者達とダンジョン攻略のヘルプ要員として難易度の高いダンジョンに出かけた。

「エル、レオンとサクラを皆に任せて出かけちゃって良いのかな?」
「良いのではないか?せっかくの好意だ。お前もメラルダの町をちゃんと観光するのは初めてだろう?」

そうなのだ。メラルダに来る前に妊娠が発覚して、着いてからも体調の関係でほとんど宿屋か家に引きこもっていたので、未だにメラルダがどういった町か全然知らない。

「・・・じゃあ、皆の言葉に甘えてエルとお出かけしてくるね」
「何かあれば俺かサーヤに連絡してくれ」
「ふふっ、大丈夫だよ。エリュシオンの子供の頃に比べたら双子達なんて可愛いものさ」
「あぁ、私は何度もエリュシオンに殺されかけたからな」
「「・・・」」

さっき聞いたエルが赤ちゃんの時の話・・・アレは確かに衝撃的だった。



『双子達が魔法で物を浮かせたり、魔力の消費が激しい?』
『あぁ。双子達への魔力はサーヤの授乳以外に今は方法がないからな・・・』
『しかも、どちらかに授乳していると片方が癇癪を起してしまうので、結局2人にあげる事になるんです』

リビングでレオンとサクラを抱っこしたルーシェントさん達に、これまでの話をしてみた。

『・・・エリュシオン、お前は赤子の時の事は覚えているか?』
『いや、さすがに覚えていないが・・・俺が赤子の時に何かあったのか?』
『何か・・・というか、エリュシオンは“黒”でとにかく魔力を欲しがる子だったから、フィリーは何度も魔力枯渇になって死にかけていたよ』
『『????!!!!』』
『そうそう、私も魔力量は少なくない方だが、さすがに“黒”程ではないからね。母乳を通して魔力を与え続けたが、私の魔力の方が圧倒的に少なかったのだ』

すごいにこやかにサラッと話してるけど、結構とんでもないことだよね??
エルもさすがにショックを受けた顔をしてる・・・
そりゃそうだ。母親を何度も殺しかけてたとか、言い方が軽くても軽く受け止められるわけがない。

『・・・では、その足りない魔力をどのように補ったのだ?』
『僕の作った魔力回復薬をエリュシオンに飲ませたんだ』
『は?あの激マズ回復薬を??』

皆が飲みたがらないあの激マズ回復薬を、エルは赤ちゃんの頃から飲んでたの??

『最初は手持ちがそれしかなかったからね。あまりのまずさに泣くわ、魔力を暴走させて家の物壊しまくるわ酷かったよ。さすがに赤ちゃんにそれだけ飲ませるのは可哀そうだから、ミルクに混ぜて飲ませる事にしたんだ』
『その後は母乳で主に栄養を、ミルクで魔力をといった感じであげていたらようやく落ち着いたのだ』
『そうそう、魔力が欲しい時は家の物とか、家自体を魔法で壊しまくってたからね。わかりやすくてやんちゃな子だったよ』
『確か2回くらい家を建て直しているな』
『いやいやフィリー、3回だよ。衣替えしなくても家から建て直しになるから、次はどんな家にしようかって考えるのが楽しかったよね』
『・・・』

エルって赤ちゃん時代から凄い人生歩んでるんだね・・・
そして、家を何度壊されても「次どうしようか」とか超前向きなルーシェントさん達が本当にポジティブ過ぎるというかなんと言うか・・・

『ふふっ、エリュシオンがそれだけ元気だったという証拠だよ?絶対大人になったら話してあげようと思ってたんだ』
『こうして話せる事も嬉しいが、まさか同じような経験をお前もしているとはな』
『いやいや、レオンやサクラの方が物を動かすだけなんだから、随分と親思いの良い子だと僕は思うね!』

そんなエルの過去話を聞いて、双子達は間違いなくエルの血を継いでるなと思ったのと同時に、”お願いだから家を壊すのだけはやめてね”と強く願わずにはいられませんでした・・・―――





「エル、お義父さんとお義母さんの話が聞けて良かったね!ミルクに魔力回復薬混ぜるなんて発想なかったもの」
「あぁ・・・参考にはなったが、できれば知りたくなかった事でもあるな・・・」
「もう、赤ちゃんの頃の話なんだから気にする必要ないって!・・・あ、あのお店入っても良い?」

メラルダの町をエルと手を繋いで歩きながら、目についたお店に入って時々買い物をするという普通のデートを久しぶりにしていた。

「あ、エル。この髪飾り、サクラの髪に似合うかな?」
「良いのではないか?・・・む、このおもちゃの不思議な感触はレオンが好きそうだな」

2人でデートしてるのに、何か見つけるとすぐに双子の事を考えてしまい、お互いそれに気づいて思わず吹き出してしまった。
あたし達は、生活も考え方もすっかり双子中心になってしまっているようだ。

「ふふっ、あたし達デートしてても双子の事ばっかりだね」
「・・・ならば、互いの事しか考えられない場所に行くか」
「お互いの事しか、考えられない場所・・・?」

エルがどこの事を指しているのかわからないままあたしは手を引かれ、目的の場所に辿り着いてようやく言葉の意味を理解した。

「・・・ここって・・・」
「あぁ、茶屋だ。入るぞ」


今日は双子達の妨害もないし、茶屋は外部からの妨害ももちろんない。
ココに入るという事は、つまり”お前を抱くぞ”と言われているのと同じなわけで・・・

久しぶりなのと、茶屋は“そういうコトをするトコロ”という事もあって、あたしはエルに手を引かれながら部屋までの道のりをドキドキしながら歩いていた。



部屋に入りドアを閉めたとたん、エルがあたしを壁に押さえつけて激しいキスをしてきた。
舌を絡め、唾液を多分に含み、全部俺のモノだと言わんばかりで息をつく暇すら与えられない。
互いを食べ合うようないやらしいキスをしながら服を脱がせ合い、あたしとエルは互いに欲情しながらひたすら無言で求め合っていた。

「んっ、ぁふ、んむっ・・・んんっ、はぁっ、エル、好き・・・んっ」
「はぁっ、ぁむっ、サーヤ・・・」
「きゃぅっ、ぁんっ、エル、シャワーは・・・?」
「そんなものは後回しだ。早くサーヤのナカに挿入りたい・・・」

エルの眼差しと言葉だけで、キュンとして蜜が溢れてくる感じがする。
まだ触れられてもいないあたしのアソコはきっともう準備万端に違いない。

「あたしも、エルを早く感じたい・・・挿入れて・・・」


そう言ったあたしに一度優しい口づけをしたエルは、お姫様抱っこであたしを抱き上げベッドへと連れて行ってくれた・・・―――
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