【本編完結済】【R18】異世界でセカンドライフ~俺様エルフに拾われました~

暁月

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8章 帰郷!エルフの里へ ~出産騒動編~

メラルダで暮らそう ~行方不明の2人 inエリュシオンside~

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※途中からエリュシオン視点に変わります。
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「アレクから連絡はきたか?」
「・・・いえ、まだです」

アレク兄様が帰ってこない上に連絡がない。
こんな事は初めてだ。アレク兄様の性格を考えたら絶対に本人の意思じゃない。

今、アルマさんとカルステッドさんがティリアさんの勤めている病院へ状況を確認しに行っている。
そして、セイルも風を通して情報を確認している。屋外で何かあったなら何かしら情報を得られるはずだと言っていた。
セイルもアレク兄様と結構仲良くなっていたから、自ら率先して動いてくれているのが不謹慎かもしれないけど嬉しかった。

「サーヤ、心配なのはわかるがお前はそろそろ休め。俺達も交代で休んで何かあればすぐに知らせるから」
「でも・・・」

こんな気持ちじゃベッドに入っても寝るに寝られないよ・・・

アレク兄様とティリアさんが、あのバカ王子に何かされてるんじゃないかと不安と心配でごっちゃになっていたら、服をくいっと引っぱられた。

「サーヤまま、こういうときは、れいせいになゆのが、いちばんなのよ」
「ミナトちゃん・・・」
「サーヤままは、いちばん、からだをだいじにしなきゃ、めっなの」
「・・・ほら、ミナトもこう言ってるぞ。ミナト、サーヤがきちんと休むように今夜は一緒にいてくれないか?」
「あいっ」
「カイトも一緒に頼む」
「うん、わかった」
「お、俺もっ・・・」
「駄犬は犬になって怪しいヤツがうろついてないか周辺を見て来てくれ。」
「・・・わかった」
「奴らに関する情報を掴めたら、“褒美”をやる」
「!!・・・頑張るっ!行ってくるね、サーヤ!!」

エルってば、ホントにベルナートさんの扱い方がうまくなったというか、自然になったというか・・・
とりあえず、あたしはミナトちゃんとカイトくんと一緒に眠ることになり、一緒に寝室へと向かった。
エルは交代で仮眠をとるようだが、仮眠はリビングのソファでとるようなので、今夜寝るのは別々らしい。

ちょっと、いや、だいぶ寂しい・・・でも、アレク兄様やティリアさんのために動いてるんだから我慢だっ!・・・起きたらちょこっとだけエルに甘えさせてもらおう。

そして、明日は帰ってきた2人がいつでも食べれるよう、美味しいご飯を作って笑顔で”おかえり”ってお出迎えするんだ。

「サーヤまま、あたちとカイたんで、ぎゅうしてあげゆから、さみちくないのよ」
「うん、僕とミナトで今夜はおねーさん護るよ」
「ふふっ、ありがとう、2人とも」

天使達2人に挟まれて眠るなんて、そう言えば初めてだな。ふふ、超癒されるね。

横向きで眠るあたしの前にはミナトちゃん、カイトくんは後ろからあたしを抱きしめるようにして、3人で明日のご飯やお菓子の話をしていたら、気が付けばあたしは夢の世界へと旅立っていた・・・―――





(カタンッ)。
「・・・サーヤは眠ったか?」
「うん。ミナトの力もあるだろうけど、疲れてたんだろうね、すぐに眠ったよ」
「カイトは一緒に眠らなくても大丈夫なのか?」
「うん、僕は平気。一緒に眠るよりおねーさんの憂いを晴らしたいし、おにーさんの役に立ちたい」
「ふっ、ありがとう、カイト」

俺はカイトの頭を優しく撫でながら、現状を説明した。

「先ほどカルステッドから連絡があって、アレクはティリアを病院へ迎えに行き、一緒に出ているようだ」
「・・・という事は、トラブルがあったとすればその後なの?」
「あぁ。ただ、町中では事件があったような噂もないから、何かあったとすればティリアの家かその付近だろう」
「場所は?」
「今周辺の偵察が終わった駄犬が向かっている。そろそろ着くだろうから、状況を聞いてくれないか?カイトならサーヤの加護精霊同志で念話ができるだろう?」
「うん、やってみる」

俺はカイトに駄犬とのやり取りを任せ、あの屑王子の行きそうな場所を考える。
一応一国の王子だからそれなりに金は持っているはずだ。どこかの宿にいるか・・・それともメラルダに住む貴族の家に厄介になっているか、家を借りているか・・・
いや、側近2人のみを連れていたから、少人数で来たのだろう。だとすると宿屋か?
だが、不審な行動をしたらすぐに噂になるだろう・・・だとすると、やはりメラルダ内の貴族の家・・・そして、離れかどこかにアレク達を放り込んでいる・・・と考えた方が自然だな。

「おにーさん、ベルがあのお医者さんの家に入ったら、誰もいないけど所々物が壊れてて大人数で入った形跡があるって・・・」
「!!」

やはりティリアが目を付けられていたか・・・だとするとそこからどこへ連れ去られたかだな。

「カイト、アレクは駄犬が預けた黒曜石のピアスを家のどこかに置いたはずだ。それを探すように伝えてくれ」
「わかった」

アレクなら黙って連れ去られるようなことはしないはず。
ティリアが一緒なら守りながら対応するのは難しいと考え、とりあえず一緒に捕まることを選択するはずだ。
その際、必ず俺達宛てに情報を引き出して、家のどこかに残しているはず・・・

ベルナートからの連絡を待っている間に、アルマが帰ってきた。

「戻りました」
「アルマ、何かわかったことはあるか?」
「これ」

アルマが見せてきたのは貴族が住んでいる居住区の地図だった。

「すべての宿屋を回ったけど屑王子がいなさそうだったから、貴族の居住区と住んでる人の名前を調べて書いた」
「そうか、ちょうど貴族の居住区の情報が欲しかったからな、よくやった。これを食って今日は休んで良いぞ」
「!!・・・ありがとうございます。一応すぐ動けるようここで仮眠します」

アルマはサーヤの作る料理やお菓子が好物だから与えてくれと言われていたが、わかりやすいくらい喜んでいる。
・・・昔から食い物には目がなかったからな。

さて、屑王子達が宿屋にいないとなれば、次に可能性が高いのは貴族の居住区。
後は、娼館かスラム街の建物だな・・・考えたらキリがないが、可能性の高い場所から潰していくしかない。

「おにーさん!ベルがあの人に預けてた黒曜石のピアス見つけたって」
「!!・・・カイト、ベルナートにすぐここに戻ってくるよう伝えてくれ」
「わかった」
「居場所、わかったんですか?」
「アレクに渡してある黒曜石のピアスが見つかった。恐らく記憶には屑王子の居場所に通じるものが残っているはずだ。・・・念のため渡しておいて正解だったな」

屑王子が帰った後、ベルナートには以前俺が貰ったような黒曜石のピアスを作ってカルステッド達に渡すよう伝えていたが、今朝の時点ですでに全員黒曜石のピアスをしていた。

仕事が早い・・・そして、今もしっかりと働いて手掛かりを掴んでいる。

「駄犬には近々ちゃんとした褒美をやるか・・・」

最近は特に奴の能力に世話になっているからな・・・少しサーヤと相談するか。




俺は褒美をどこまで許すか考えつつ、すぐに出発できるよう準備を整えながら駄犬の帰りを待っていた。
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