【本編完結済】【R18】異世界でセカンドライフ~俺様エルフに拾われました~

暁月

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7章 帰郷!エルフの里へ ~祝福された小さな命~

メラルダで過ごそう ~初めての診察~

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翌朝、エルより少しだけ早く目が覚めたあたしは、貴重なエルの寝顔を堪能してからブレスレットの石の色を確認した。胎内にいる赤ちゃんのため、栄養のあるものを食べるようにしているけど、どうやら赤ちゃんには魔力も与えているみたいで、少しずつ与える量が増えているのか、エルからの魔力補給も少しずつ頻度が増えている。

昨夜も、魔力をほぼ満タンになるまで補充してもらったのに、ブレスレットの石はすでに黄緑色になっていた。

「むぅ、魔力の減り方どんどん多くなってる気がする・・・」
「ん、サーヤ・・・起きていたのか」
「あ、おはよう、エル」

寝起きのちょっと気怠げなエルは、いつもより声がちょっとハスキーで色っぽさが増しているのに、目を擦ってる姿はちょっと可愛い。
エルもブレスレットの石の色に気付いたらしく、無言であたしを引き寄せて朝から魔力を含んだ甘いキスをする。この流れはもう毎朝の日課になりつつあった。

「んっ、はぁ・・・エル、魔力の減り方が多くなってるのってあたしの気のせいじゃないよね?」
「あぁ。お前の身体への負担は何かあるか?魔力が減り過ぎて怠いとか・・・」
「ううん。身体は平気だけど、ブレスレットの石の色だけ変わるから魔力が減ってる感覚がわからなくて・・・」
「身体への負担がないなら気にするな。魔力も俺がたっぷりくれてやる」
「や、それは別の意味であたしの身体が・・・んんっ」

毎朝起きぬけにたっぷり魔力を与えられるものだから、朝から身体に力が入らなくて結局朝の身支度もエルに任せてしまった。
準備ができて寝室から出ると、すでにマデリーヌさんとセイルがソファに座っていた。
あたしの朝食にということで、食堂で数種類の果物と温野菜のサラダをもらってきてくれたようだ。
朝食はエルの分も一緒にあったので、まだ身体の力が入らないあたしはマデリーヌさんに手伝ってもらいながら朝食を食べた。

夜だって自分でできてないのに、朝までこれじゃホントに何もできなさすぎる。
出産までこんな状態が続くんだろうか??

「マデリーヌさん、ありがとうございます」
「ふふ♡気にしなくていいのよん♡好きでやってるんだからん♡♡急いで食べようとしなくても大丈夫よん♡」
「セイル、ミナト達もこっちに来てるのか?」
「うん☆サーヤに頼まれた買い物とか、この町の特産品とかをベルナート達と張り切って買いに行ってるよ♪エリュシオンから借りた魔法袋を渡してあるから、帰ってきたら中身確認してみると良いよ☆」
「・・・あいつらだけで買い物行って大丈夫なのか?村と違ってここは大きな町だぞ」
「この町に留学で滞在したことがあるって言うから、アレクを連れて行ったみたいだよ☆ミナトも懐いてるみたいだし、お金の管理も買う量も彼がいれば大丈夫じゃないかな♪」

ミナトちゃんは、あたしがアレク兄様と呼んで慕っているのを見てから自分も真似て「にぃーに」と呼び始め、今でもたまに美味しいお菓子をくれるアレク兄様に懐いている。

「アレク兄様が一緒なら安心だね!・・・エル、どうしたの?」
「・・・いや、何でもない」
「(ボソッ)エリュシオン、ミナトはボク達へのお土産も買ってくるから楽しみにしててって言ってたよ☆まだ殺る必要はないって♪」
「そうか・・・わかった」

エルとセイルが何かひそひそ話してるけど、よく聞こえない。
必要であればあとで教えてくれるよね。

「さて、食事も追えたことだしそろそろ予約した産院へ行くわよん♡」
「はい!」

このあとは、妊娠してから初めての診察です。





アレク兄様が手配してくれたのは、メラルダでも腕が良いと評判の女の先生が見てくれる産科と婦人科両方のある病院だった。予約制のため病院内にいる人はまばらで混雑しておらず、病院も白を基調とした清潔感のある小さいお城みたいな建物で、入院する設備もしっかり整っているようだ。

「わぁ~、こんな綺麗な建物が病院なんだ・・・凄いね」
「綺麗なだけではなく評判も良いらしい。本来なら数か月後の予約になるようだが、アレクが昔の伝手を少し使ったと言っていたな」
「数か月待ち?!・・・それが、アレク兄様の昔の伝手で・・・」

アレク兄様が謎過ぎる・・・どうして数か月待ちの予約が翌日に取れるの?

昨日エルから、アレク兄様が目的のためなら“色”を使うと聞いてしまったため、どうしてもそういう伝手を利用したのかなとか考えてしまう。
誰だっていろんな過去があるんだし、今はその伝手のおかげでこうして早く診察してもらえるんだから、むしろ感謝しないといけないよね。うん、気にするのはもうやめよう。

気持ちは元気なんだけど、今日はちょっとお腹も張っていて歩くのが辛かったので、エルに抱きかかえられて移動している。最初はそれが恥ずかしくて仕方なかったんだけど、慣れとは恐ろしいもので、今では自分も周りも誰一人気にしなくなってしまった。


受付を済ませてから、待合室でエルとマデリーヌさんとセイルの4人で呼ばれるのを待っていた。
ちなみに、セイルとマデリーヌさんは普通の人には見えないよう姿を消している。関係を聞かれるのがめんどくさいし、元よりあたし達以外の人間に深く関わったり姿を見せる気はないらしい。

「次の方、どうぞ」

診察室に案内され、先生の前にある椅子にエルが座らせてくれた。

「えっと、サーヤ=オオツキさんですね・・・アレクの従妹の」
「はい、そうです。あの、本来は予約して数か月待ちだと聞きました。なのに、今日は無理言ってしまったみたいで・・・」
「ふふ、気にしなくて大丈夫よ。アレクには昔お世話になったからこれくらいどうってことないわ。・・・確かにアレクより綺麗な銀髪ね」

目の前の女医さんは、ミントグリーンの髪色に琥珀色の瞳で真っ白なうさ耳をぴょこぴょことさせたウサギの獣人さんだった。

「改めまして、私はティリアよ。アレクとはこの国に留学していたときの学友なの」
「こちらこそ、初めまして!サーヤ=オオツキと言います」
「ふふ、隣にいるのが旦那様ね」
「はいっ・・・あ、でもまだ籍を入れてないからまだ婚約者ですけど」
「あら、入籍前だったの?」
「これから俺の親に会わせるところだったからな。近いうちに入籍する予定だ」
「ふふ、では結婚と妊娠、両方ともおめでとうございます」

まず先に、妊娠の症状と気になっていることなどをティリアさんに伝え、実際に詳しい診察をすることになった。あたしは、近くにあった寝台に仰向けで寝るよう促され、お腹の部分だけが出るように服とタオルケットで上下を隠して診てもらう準備をした。
あたしの準備ができると、手に淡いピンク色の魔力を込めて瞳を閉じたティリアさんが、あたしの下腹部に優しく触れ、下腹部全体を手を通して見るかのようにくまなく診察する。ほんのり温かい魔力の感覚が伝わってきてとても心地良い。

「・・・ん?あら、あらあらコレは・・・」
「なんだ?何か異常でもあるのか??」
「いえいえ、異常ではないので安心してください。ただ、お腹の赤ちゃんなんですが・・・どうやら双子みたいです」
「え?!」
「双子・・・ということは2人?」




なんと、あたしが初めて妊娠したのは双子の赤ちゃんみたいです・・・―――
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