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7章 帰郷!エルフの里へ ~祝福された小さな命~

メラルダに到着 ~巡り会えたまさかの食材~

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メラルダへ向けて移動して5日目。

今日の夕方にはメラルダにするだろうということで、現在は到着前最後の休憩中。
エルを背もたれにして後ろから包まれるような体勢となり、木陰でのんびりと冷たい果実水を飲んで過ごしていた。

「そういえば、メラルダでクラリスさんのお迎えに来る人と合流するんだよね?」
「あぁ。クラリスの知り合いを寄こすと言われているが・・・たぶん俺の知らない奴だろうな」
「そっか・・・クラリスさんはエルフの里に帰るんだよね」

・・・あれ?あたし、なんか忘れてる気がするんだけど、なんだっけ?

「ん?前に海で話をしたのではないのか?・・・ま、巨大オクトパのせいでちゃんと話せなかったのかもしれんが・・・」
「!!」

そうだ、思い出した!あのときクラリスさんはアレク兄様を好きだと言ってたんだ!!
え、それでもエルフの里に帰るの?それともアレク兄様のそばにいるの??
あぁぁぁっ、気になって仕方ないっ!!!!

「エル、あたしクラリスさんとちょっと話して来ても良い?」
「・・・俺が同席しても良いなら良い」
「お願い!少しだけで良いから2人に・・・」
「ダメだ。・・・もう離れている間にお前がいなくなるのはたくさんだ。話をするのは構わないが、今のお前はもう一人の身体じゃないんだ。・・・俺がいつでも守れる範囲にいてくれ、頼む」

そう言って、エルはあたしをぎゅうっと抱きしめた。

アネモネさんに攫われたときも、巨大オクトパに襲われたときも、エルがそばにいないときだったし、マデリーヌさんに“祝福”をもらったとはいえ、妊娠してまだ安定期に入っていないこの状態だと、なおさら目の届かない場所に行って欲しくないんだろうな。

「ごめんね。嫌なこと思い出させちゃったね・・・。じゃあ、メラルダに着いたらあたし達の部屋にクラリスさんを呼んで話しても良い?クラリスさんがエルフの里に帰る前に、どうしても聞きたいことがあるの」
「・・・わかった。部屋の隅じゃなくて良いし、遮音の結界を張ってやるから普通に話せば良い。俺は話を聞きたいわけじゃないからな」
「うん、ありがとう。エル大好き♡」
「ふっ、言葉ではなく、態度で示して欲しいものだな」
「・・・今はキスしかできないよ」
「くくっ、今じゃなかったらそれ以外もするのだな?では、今夜あたりに期待しようか。もちろんお前の体調次第だがな」
「!!」

やられたっ!なんかエルに良いように誘導された気がする!!
これで“今夜はあたしから仕掛けますよ”って約束させられたようなものじゃないか!
うぅ・・・いいもん。甘えたい病は健在だからいっぱい甘えちゃうんだからねっ!!


休憩終わりにクラリスさんに声をかけ、本人の了承をもらうことができた。
エルがいるのは仕方ないにしても、ミナトちゃん達がいると落ち着いて話ができないと思うから、夕食後ミナトちゃん達が森に帰ってから部屋に呼ぶということでまとまった。
・・・少しだけ元気がない気がしたのは気のせいかな?


そして、予定通りその日の夕方、あたし達は無事メラルダに到着した。





メラルダは港町ゼノよりも少し大きめで、建物や住んでいる人達がアラビアンな雰囲気の町だ。
王都の次に大きい町みたいで、人口も多くフランさんが攻略しに行っているダンジョンを含め、複数のダンジョンが近くにあるため冒険者も多い。そうなると必然的に物流も盛んなため商人の行き来も盛んだ。
要はものすごく栄えた町なのである。

町の景色を見たくて、あたしとエルだけベルナートさんの特殊空間から馬車に移動して、景色を堪能していた。
馬車の中には今後のことを打ち合わせているアレク兄様とカルステッドさん、そしてあたしと同じように外の景色を見ているクラリスさんがいる。
御者をやっているリンダの隣には、話し相手としてアルマさんがいるみたい。やっぱり仲が良いんだね。


「ふわぁ~、地元の女の人かな?すっごくセクシー・・・」
「ん?せくしーとはなんだ?」
「えっと、色っぽいってことだよ」
「そうか。・・・アレが色っぽいか?お前の持っている服の方が余程卑猥・・・いや、色っぽいと思うが」

確かに、キャロさんに作ってもらったメイド服とか魔法袋に入ってるアレコレは、この世界では色っぽいを通り越して卑猥でしょうね。あれらと比べられましてもって感じだけど・・・

行き交う人を見渡したとき、女性全員が色っぽい服なのではなくて、子連れの若いお母さんとか屋台のおばちゃんとかはちょっと布地が多くて、未婚と思われる女性は踊り子さんのようなブラトップにおへそを大胆に出して、ちょっと透け感のあるスカートやふんわりした刺しゅう入りのパンツを履いている。人によってはベールやターバンなどを付けておしゃれしている感じ。なんか区別があるのかな?

「この町の未婚の女性は、良い相手に見初められるために自らの魅力を最大限に出す服などを着るらしいよ。ガルドニアの貴族で言うドレスで着飾るのと同じ感じなんだろう。結婚した者はその相手のみに肌を晒すことを許し、過度な露出を控えるみたいだ」
「へぇ~、アレク兄様詳しいですね」
「この町へは以前留学で1年間滞在したことがあってね、そのときにいろいろ聞いたんだ。大したことではないよ」

留学経験があるだけでも凄いです!さすがアレク兄様!!

「エル、あたしもあんな服着たら似合うかな?」
「買うか?・・・だが、家で俺の前でしか着ることは許さぬぞ」
「ふふっ、エルが見てくれたらそれでいいよ☆あ、でもミナトちゃんとお揃いにはしたいかも」
「ならば、滞在中部屋に商人を呼んでやる。買い物は子が産まれたら連れて来てやるから、今は身体を最優先にしてくれ」
「やったぁ!ありがと、エル♡」

あたしが喜んでいる傍ら、アレク兄様の隣で外を見ていたクラリスさんは、こちらを向くことなくずっと外の景色を見ていた。あたしの位置からは表情は伺えず、終始無言のクラリスさんは、宿の前に馬車を停めてカルステッドさんが部屋を抑えに行っている間もずっと外の景色を見ていて、アレク兄様と会話することもなかった。

・・・どうしたんだろう。2人とも顔すら合わせない・・・というか、アレク兄様は変わらないけどクラリスさんがアレク兄様を避けてる感じ?


吐き気まではないものの、食堂でご飯を食べることが難しいあたしは、夕食も部屋でとることになった。
宿の人に事情を説明すると、“妊婦さんでも食べれる料理です”と言って出された料理がミルクリゾット(ここではミルヒライスと呼ばれている)で、「米!お米があるの?!欲しいっ!!お米をくださいっ!!!」と興奮しすぎてエルに怒られた。






お米!!まさかこの世界で会えるなんて思わなかった!!!
トルク村に醤油っぽいモノももあったし、もしかしたら・・・って思ってたけどホントにあるなんて嬉しすぎるっ!!!これで和食を作れるね!!!!


大好きなお米に出会えたことで、森に帰る楽しみがまた1つ増えたなぁと嬉しくなりながら、夕食のミルクリゾットを美味しくいただきました。
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