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6章 帰郷!エルフの里へ ~2人の婚約者編~

マハト村に到着 ~たまにはこんな休憩を*~

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メラルダに向かっている途中、休憩や野営をしながら順調に魔法特訓をしているうちにマハト村という村に着いた。ここも海に面している場所だが、特産品は魚よりもイカ、タコなどの軟体動物のようで、ゼノで売られていたイカ焼き・・・もといテイン焼きはここで捕れたテインを魔法で鮮度が落ちないよう出荷しているらしい。

そして、ゼノほどではないがここでも海水浴をしている地元の人がおり、陸から肉眼で見える小さな島もこの村の人が管理している遊泳区域のようだ。観光客というより地元の人の遊び場みたいな感じだね。

マハト村に着くと、カルステッドさん達はまず宿の手配と馬車を預けに行くということで別行動になった。
以外だったのはクラリスさんがリンダについて行ったことだ。
トルク村ではあれだけエルにくっついたり、あたしにいろいろ言って来てたのに、何か言いたげな顔はするけど特に何か言ってくるわけじゃない。・・・でもものすごく視線は感じる。

お願いだから言いたいことがあるならはっきり言って欲しい!
こっちは気になって仕方がないんだよ~~~!!

別行動になったあたし達は、ミナトちゃんがお昼寝タイムということでセイルがカイトくんも連れて森へ一度戻り、今はエルとベルナートさんと一緒に村を散策している。

「はわぁ~・・・タコだ、タコがいる!タコ焼き食べた~~~~い!!」
「ん?タコ?このオクトパのことか?」
「そう!この世界ではオクトパって言うんだね」
「サーヤ、このうねうねした生物知ってるの?」
「この世界のは初めて見たけど、前いた世界にも同じような生物が食材としてあったんだ」

色がオレンジであたしが知ってるタコとちょっと違うけど、見た目はまさにタコそのものだった。
テインと共に大量に取れるらしいが、大体切って焼いて調理することが多いみたい。

「オクトパって生で食べることはできないのかな?」
「海の生物と言っても微量の魔素を含んでいる魔物だからな・・・加熱しないと人体に影響を与えることもあるから生で食べる奴はいないだろう」
「そうなの??!!」

そうか・・・じゃあお刺身は難しいってことなんだね。せっかくトルク村で醤油が手に入ったのに残念だ・・・

「サーヤ、カイトだったらオクトパから魔素だけなくすことができると思うよ」
「え、そうなの?」
「たぶんね。カイトの魔法ってちょっと変わってるから」

元々料理に使う気満々だったので、気持ち多めにテインとオクトパを購入して魔法袋に入れておく。
ホントに収納力抜群でしかも中の時間がとまったままというエル特製の魔法袋はありがたい!
気兼ねなく買い物できちゃうもんね!!・・・お金を払ってくれてるのはエルなんだけどさ。

「ねぇ、エル。この村って冒険者ギルドはあるの?何かあたしにもできそうなクエストってないかな?」
「ん?どうした急に」
「だって、旅行中に買ったものはすべてエルのお金でしょ?少しだけでも自分で稼ぎたいの」
「はぁ・・・お前はまだそんなこと気にしてたのか?今まで使う機会がなく貯まり続けた金をお前のために使えるならいくら使ったって良いと言っただろう」
「うぅ、そうだけど・・・」

そうなのだ。エルは元々お城の魔法省で働いてた頃からかなりの高給取りで、その後森で隠居しながら薬草や魔道具を売って収入を得ている。
必要最低限以外の消費しかしないし、たいていの物は自分で何でも作れてしまうエルは、とにかくお金を使う機会がない。
大きなお金を使ったことと言えば、あたしがお菓子作りのためにお願いした砂糖くらいなのだ。
家の地下にある倉庫的な場所に乱雑に放り込まれたお金やら装飾品やらを初めて見たときは、お城の宝物庫かと思ってしまった。

お金に困っていない、自分で何もかもできてしまう、そんなエルがあたしに求めてくることと言ったら・・・

「そう思うなら、今夜はお前が頑張ってくれたら俺はそれで満足なんだが?」
「!!!」

意地悪な笑みを浮かべながら、サラッと耳元でドS発言をするエル。
ホントにこういうときだけは楽しそうなんだからっ!そんな顔も大好きだよっ、バカぁ!!

ホント、悔しいくらいにエルがあたしだけに見せてくれる顔が大好きでときめいてしまう。
もちろん好きなのは顔だけじゃないんだけど、なんかもう意地悪でも優しくてもなんでもエルだと許せちゃうのが悔しいというかなんというか・・・あたしの“好き”はこのドSな俺様にちゃんと伝わってるんだろうか?

「サーヤ、どうしたの?顔赤い」
「!!・・・だ、大丈夫だよ!もうちょっと村を散策しようか!!」
「あっちに冒険者ギルドがあるみたいだが行ってみるか?」
「行くっ、行きたい!!」

ほらね、なんだかんだ言っても、こうしてちゃんとあたしのことを考えて行動してくれるエル。
はぁ・・・ホントにもうまいっちゃう・・・

「ん?サーヤどうし・・・」
「好き・・・」
「!!・・・サーヤ、好きって・・・」

エルの服をきゅっと掴んで、“好きだなぁ”と心の中で言ったつもりだったけど、もしかして口に出してた?!
え、嘘っ!なんだそれ、恥ずかしすぎるっ!!!

「や、あのっ・・・」
「駄犬、ちょっと俺達は急用ができたから、そこの冒険者ギルドで初心者向けのクエストがあるか見て来い」
「え、ぁ、うん。わかった」

ベルナートさんはエルの言葉に困惑しながらも、言われた通りに冒険者ギルドのある方へ向かった。

「お前はこっちだ」
「え?」

エルはあたしの手を引いて冒険者ギルドとは違う方向へ歩いて行き、無言のまま数分歩いた先の、宿屋にも見える建物に入って行く。

「あの、エル、ここって・・・?」
「茶屋だ」
「茶屋?」

よくわからないまま受付らしきところでエルが手続きをし、また手を引かれて部屋に入った。
そして、部屋に入ったところで理解した。

「ラブホか・・・」
「らぶほ?何だそれは」
「・・・男女がいちゃいちゃするための場所です」
「ほぅ、そんな言い方もあるのか。初めて知った」

そりゃ、前の世界での言い方ですもの。エルが知らないのも当然です。

部屋の中心に大きなベッドがあり、奥のドアは恐らく洗面所やお風呂なんだろう。
あたしが知っているような鏡張りとか照明がピンクとかいう演出はない普通の部屋なのに、“ベッドしかないこの部屋で思う存分愛し合ってください”と言われているみたいで、逆にいやらしく感じてしまう。

「・・・いい加減部屋ではなく俺を見ろ」
「!!・・・んっ、ぁ、エルっ・・・ふぁ、ん、ちゅ、はぁ・・・」
「んっ、はぁ・・・くくっ、さっきはずいぶんと可愛いことを言ってくれたものよ」
「あ、あれは・・・」

壁に押し付けられ、キスされながらシャツのボタンを外して服を脱がされていく。
じっくり口唇を堪能するようなキスで、エルに舌を絡めとられながらあたしはエルの首にしがみ付き、夢中でキスに応える。
気が付けば身につけているのは羽織っているシャツと下着だけで、ブラはすでにホックが外されていた。

耳を甘噛みされながら、エルの手がす―――っとお腹をなぞりながら下へ向かうと、くすぐったくて身体をよじらせてしまった。

「んっ、くすぐったい」
「くすぐったいだけか?ココはもう濡れてるんじゃないか」
「やぁ、耳元で囁いちゃ、ぁ、やぁ・・・きゃぅっ」

お腹からそのまま下着の中に滑らせたエルの手は、秘裂をゆるゆると数回なぞって濡れているのを確認すると、人差し指と薬指でくぱぁっと秘部を広げ、中指を挿入れてきた。

「もうこんなに濡らしおって・・・そんなに触って欲しかったのか?」
「あぁぁっ、違っ・・・くないけど、ぁ、んんっ、エルのいじ、わるっ・・・」
「人がせっかく夜まで我慢してやろうと思っていたのに煽りおって・・・」
「んんっ、ぁ、はぁ・・・」

エルは耳や首にキスマークをつけながら、指を増やしてぐちゅぐちゅと蜜壺を掻きまわすが、胸は一切触れてこない。時折シャツにこすれて刺激される乳首はきっとすでにピンっと立っているに違いないのに、触れられないのがなんだかもどかしい。

「はぁっ、はぁ・・・エル、あのっ、胸・・・」
「あぁ、まだ禁止されているからな。触れるわけにはいかんだろう」
「!!」

“触れて欲しかったら言ってみろ”と言わんばかりの今の意地悪な笑みで、守ってくれてるのが優しさなのかそうなるように仕向けられたのかよくわからなくなってきた。
ただ、今は胸も含めて全部エルに触れて欲しい、それしか頭になかった。

「ぉ、願い、も、触って・・・乳首もちゅって、んんっ、いっぱい・・・」
「ふっ、もう禁止にしないというのなら触ってやっても良いぞ」
「あっ、もうしないっ、しないから・・・おねがっ、あぁぁぁぁぁっ」

元々与えられていた秘部への快楽と同時に欲しかった刺激を与えられ、軽く達してしまうあたしの身体。
足がプルプルと生まれたての小鹿のようになってしまい、立っていることができなかった。

そして、倒れる前にすかさずエルに抱きあげられ、今度は2人でベッドに沈む。
スプリングが少し硬いのか、ギシッという音がした。


「今度は、エルも一緒に気持ち良くなろう?」
「!!・・・ふっ、今日はずいぶんと素直だな。可愛い奴め」
「!!!」




素直になるとエルはイジメるのではなく、“可愛い”と言ってくれるんですねっ!あたし、学んだっ!


この後は言葉でいじめられることもなく、チェックアウトの時間まで甘く蕩けるような時間をエルと過ごしました。
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